
借金取りのアルファ、ヨ・テジュと、幼い弟を抱いて海へ入っていったオメガのキム・イヒョン。「水辺の夜」は、最悪の出会いから始まった二人が本物の家族になるまでの物語です。
この記事では、イヒョンの妊娠と流産がどうなるか、父キム・サヒョクの末路、そして結末がハッピーエンドかどうかを、答えから先に書いています。1部の暴力描写で読むのをやめようか迷っている方にも判断材料になるはずです。急ぐ方はQ&Aへ、順を追って読みたい方はネタバレあらすじへ。ネタバレ部分はすべて折りたたんであります。
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「水辺の夜」あらすじ・ネタバレ
作品名:水辺の夜
作者:euja(ウジャ)
出版社:レジンエンターテインメント(レジコミ フーシア × BeLTOON)/フロンティアワークス(ダリアコミックスユニ)
ステータス:完結
巻数:タテヨミ版 全117巻/日本語単行本 既刊1巻(2026年9月時点)
連載媒体:ボムトゥーン(韓国)/BeLTOON・レジコミ フーシア(日本語版)
メディアミックス
アニメ化は2026年1月20日に発表され、制作の統括はSOYOMOが担いました。シーズン1のパート1は全5話で、1話あたり約10分、原作の1話から12話までの範囲を映像化したものです。公開は2026年6月29日から7月27日まで、毎週月曜に1話ずつSOYOMOのアプリで進みました。日本語を含む複数言語の字幕にも対応しています。
視聴の仕組みが少し変わっていて、映像はフィギュア同梱の映像パッケージを購入した人だけが観られます。フィギュアの底に付いたQRコードをアプリで読み込むと視聴が解禁される方式です。このパッケージの販売は2026年3月13日に終了しており、2026年内は大手の配信プラットフォームで公開する予定がないと告知されています。実写化や小説版の情報は、2026年9月時点で出ていません。
あらすじ ー 死のうとした男を、借金取りが引き上げた
キム・イヒョンは、父が残した1億8千万ウォンの借金を背負ったオメガの青年です。父キム・サヒョクは酒と博打に溺れ、息子たちに手を上げ、最後は借金だけを置いて行方をくらませました。手元に残ったのは、まだ小学校にも上がっていない腹違いの弟キム・イヨンだけです。
取り立ての男を殴り倒して逃げ場を失った夜、イヒョンは弟を抱いたまま海へ入っていきます。その体を後ろから力ずくで引き戻したのが、貸金業を営むアルファのヨ・テジュでした。ただし彼は救い手ではありません。借金を返すまで死ぬことは許さないと言い放ち、イヒョンを自分の事務所へ連れていきます。
体を売って返す道を拒んだイヒョンに、テジュは別の条件を出します。自分に抱かれるなら、住む場所も働き口も用意してやる。弟を守る手段がほかにないイヒョンは、その取引を飲むしかありませんでした。憎しみと支配から始まったこの関係が、117巻をかけてどこへ行き着くのか。それがこの作品の全部です。
「水辺の夜」のネタバレあらすじ ー 妊娠と流産の顛末、加害者たちの退場まで
【ネタバレ注意】「水辺の夜」の結末まで読む(タップで開きます)
拇印ひとつで背負わされた1億8千万ウォン(1〜29巻・1部)
キム・サヒョクは眠っているイヒョンの指を取って勝手に拇印を押し、1億8千万ウォンの借金を負わせたまま姿を消します。取り立てに現れたク・ヨンドはオメガであるイヒョンに手を出そうとして返り討ちに遭い、二か月にわたって昏睡状態で入院しました。追い詰められたイヒョンは弟のイヨンを抱えて海へ歩き出し、その体を引き上げたのがヨ・テジュです。テジュはイヒョンの住まいを競売にかけ、それでも残る六千万ウォンを盾に、弟を人質同然に置いたまま体を要求しました。働き口として紹介された天仙館では、体を触ってきた客の頭をトレイで殴り返し、取り囲まれたところをテジュに助け出されます。店の売上を穴埋めする代わりにもう一度寝ろと持ちかけられ、イヒョンは二度目の関係を受け入れました。
隣人ヘソンが照らした「普通の生活」(30〜62巻・2部)
同じアパートに住む薬学部生ド・ヘソンは、イヨンが起こしかけた火災を防いだことでイヒョンと知り合います。二十四歳の名門大生で、暴力とも裏社会とも縁のない相手でした。意識を取り戻したク・ヨンドが再びイヒョンを襲おうとしたとき、それを見つけて追い払ったのもヘソンです。彼はイヒョンに気持ちを伝えますが、答えが返ることはありませんでした。同じ時期、イヨンを産んだ実の親であるオメガの男性が現れ、生活が安定したからと息子を引き取っていきます。ところが愛着はどうしても育たず、兄を恋しがったイヨンが幼稚園を抜け出して行方不明になる騒ぎが起きました。テジュから警告を受けた実の親は自分の身勝手さを認め、兄弟はふたたび一緒に暮らし始めます。59巻では、髪を金色に染めて逃げ回っていたキム・サヒョクがついに姿を現しました。
ラットの夜と、知らないまま失った子(63〜100巻・3部)
3部に入ると、テジュのラットが引き金になって二人は強引に関係を持ちます。イヒョンはその後も無理を押して働き続け、腹の痛みで倒れて運ばれた病院で流産を告げられました。自分が妊娠していた事実を、子を失ったあとに初めて知る形になります。テジュはこの一報で、自分がイヒョンに何を積み上げてきたのかを正面から突きつけられました。一方、テジュに追われる立場になっていたク・ヨンドは、身を隠していたキム・サヒョクを探し当てて手を組みます。二人はテジュの敵対勢力であるウナ建設に接触し、イヒョンを拉致する計画を持ちかけました。計画は実行に移され、イヒョンは連れ去られます。
拉致事件の決着と、退場していく加害者たち(100巻・3部 完)
拉致は、テジュ側のヨジョンとウナ建設が交渉の席についたことで計画そのものが崩れました。イヒョンは救出され、ク・ヨンドはテジュに捕らえられて凄惨な最期を迎えます。キム・サヒョクは一年ほど逃げ延びたのちカジノで捕まり、テジュの前へ引きずり出されました。それでもイヒョンを口にして煽ったため、逃げ場のないクラブへ売られ、書類の上でも死亡した扱いにされています。救出に協力した施行社の委員長は見返りとして孫娘との縁組を求め、テジュの従妹ヨ・ウォニョンがその政略結婚を引き受けました。テジュ自身はイヒョンのために裏の仕事から完全に手を引き、本編は100巻で幕を下ろします。
11年後、テコンドー道場の館長になった男(117巻の到達点)
外伝は101巻から始まり、二人の結婚と、息子ヨ・ヘウォルの誕生が描かれます。テジュの一族はイヒョンを迎え入れ、アルファの後継ぎにこだわっていた祖父も、父ユ・ジュインの説得を経て態度を改めました。挨拶に訪れたイヒョンには、まとまった金と新型のSUVが贈られています。112巻の特別編は本編から11年後の日常で、続く113巻からの外伝2で物語は終わりました。高校生になったキム・イヨンはピアノのコンクールで賞を集めながら、演奏家になる気はないと言い切って受験勉強を選びます。テジュを嫌う態度だけは昔のままです。イヒョンのほうは弟がやっていたテコンドーに自分がのめり込み、最終話では道場の館長になっていました。
結末は最終117巻。コミックシーモアなら全117巻をまとめて読めます。
みさき疑問を解消(Q&A)
読む前に確かめておきたいことから、読み終えたあとに気になる細部まで、検索で多く聞かれる質問に答えていきます。ネタバレを含む3問は最後にまとめ、開かないと読めない形にしてあります。
【⚠️ネタバレ注意】イヒョンは妊娠しますか?その子はどうなりますか?
3部でテジュのラットをきっかけに関係を持ち、イヒョンは妊娠します。ただし本人はそれに気づかないまま働き続け、腹の痛みで倒れて運ばれた病院で流産を告げられました。妊娠の事実を知るのが子を失ったあとになるという順序が、この作品でもっとも痛い場面です。この出来事を境に、テジュは自分の加害を正面から引き受ける側へ回ります。
→ この場面は3部(63〜100巻)。コミックシーモアで確認する
【⚠️ネタバレ注意】借金を作った父キム・サヒョクは最後どうなりますか?
死にはしません。ただし救いのない終わり方をします。一年ほど逃げ延びたのちカジノで捕まり、テジュの前へ引きずり出されたところで、なおイヒョンを口にして煽ったことが決定打になりました。逃げ場のないクラブへ売り渡され、書類の上でも死亡した扱いにされて物語から消えます。イヒョンを拉致させたク・ヨンドのほうは、テジュに捕まって凄惨な最期を迎えました。
→ この場面は3部(63〜100巻)。コミックシーモアで確認する
【⚠️ネタバレ注意】二人は結ばれますか?子どもは生まれますか?
結ばれます。本編が100巻で終わったあと、101巻から始まる外伝で二人は正式に結婚し、息子のヨ・ヘウォルが生まれました。テジュの一族はイヒョンを家族として迎え入れ、アルファの後継ぎにこだわっていた祖父も態度を改めます。112巻の特別編は11年後の日常で、117巻まで穏やかな時間が続きました。ハッピーエンドと呼んで差し支えない着地です。
→ この場面は外伝(101〜111巻)。コミックシーモアで確認する
みさきガチ評価・徹底考察

- 加害を引き受けきる後悔攻めの徹底ぶり
- 117巻を1部・2部・3部・外伝で刻み、関係の変化を段階で見せる構成
- 外伝と特別編の17巻が本編の重さを最後まで回収する
- 1部の暴力と合意のない関係が読者を強く選ぶ
「みさきの総評」 ー 加害から始めた物語を、逃げずに着地させた一作
1部の拒否反応を越えた読者だけが受け取れる贖罪と再生が、117巻の先に用意されています。
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読者を二分しながら、それでも読み通される構造

この作品の評価は、国内と海外でも、読者どうしでもきれいに割れます。割れ方には理由があり、そこを押さえると自分が読める側かどうか判断できるはずです。三つの角度から整理していきます。
最初の一夜が、この作品の評価を決めています
1話でテジュがイヒョンにしたことは、どう言い換えても合意のない性行為です。しかも相手は弟と心中しようとした直後の、判断力を奪われた状態にありました。この一点をどう扱うかで、読者の立ち位置がそのまま決まります。
海外の読者コミュニティでは、後半のテジュがどれだけ尽くしても最初の加害は消えない、という批判が今も繰り返し投稿されています。被害者が加害者を許す展開そのものが現実の被害を軽く見せてしまう、という指摘も強い言葉で並びました。これは作品への誤読ではなく、正面から向き合った結果の拒絶です。
興味深いのは、作品側もこの加害を美談に置き換えていない点です。テジュは償いの過程で一度も「あれは仕方なかった」と語りません。1話を許すか許さないかは読者に委ねられたまま、物語だけが先へ進みます。この居心地の悪さごと差し出す姿勢が、賛否の両方を生んでいます。
テジュの贖罪は、どこから始まったのでしょうか
テジュが自分の気持ちに名前を付けるきっかけは、隣人ド・ヘソンの存在です。暴力とも借金とも無縁な二十四歳の薬学部生が、イヒョンに普通の生活を差し出そうとする。その光景に耐えられなかったとき、テジュは自分が何を欲しがっていたのかを知ります。
ここで重要なのは、愛の自覚と罪の自覚が同時に届くことです。好きだと気づいた瞬間、自分がその相手に何をしてきたかも同じ強さで返ってきます。作者はX上で、テジュは後悔攻めで間違いないと明言しました。設計として最初から組み込まれていた反転です。
贖罪が本当に動き出すのは、3部の流産です。イヒョンが妊娠に気づかないまま働き続け、子を失ってからそれを知る。テジュは自分の行為の帰結を、取り返しのつかない形で受け取ります。ここから彼は事業のやり方まで変え、最終的には裏の仕事から完全に手を引きました。言葉で謝るのではなく、生き方を差し出す形の償いです。
自分を愛せない受と、他人を愛せない攻
本編最終話のあとがきで、作者は二人の関係をこう説明しています。テジュは自分しか愛せない人間で、イヒョンは他人を愛せるのに自分だけは愛せない人間である、と。この非対称が二人を噛み合わせる歯車になっています。
テジュはイヒョンが弟へ向ける愛し方に憧れ、同じやり方で相手を愛そうと動き始めました。イヒョンのほうは、無条件に大事にされる経験を通して、初めて自分という存在に価値を見出していきます。互いの欠けた部分を相手が埋めるのではなく、相手の愛し方を学ぶことで自分の欠損が塞がる。この設計が、単なる執着ものと本作を分けています。
その到達点が、外伝の最終話でイヒョンがテコンドー道場の館長になっている場面です。趣味を持つ時間さえなかった男が、自分のために何かを選べるようになった。派手な告白よりも、この一コマのほうが二人の11年を語っています。
登場人物・キャラクター分析
主要キャラクター
ヨ・テジュ

27歳のアルファで、身長193cm、体重は95kgから99kgのあいだ。金髪金眼にえくぼという派手な容姿で、誕生日は4月24日です。表向きは貸金業と現場整理を請け負っていますが、実際は大手建設会社ヨジョン建設の御曹司にあたり、その仕事は家業の裏側を支えるためのものでした。
両親はアルファ同士の男性カップルで、ユ・ジュインを「アパ」、ヨ・テファを「アボジ」と呼び分けています。上には双子の兄と姉がいる末っ子で、愛されて育った育ちの良さが、粗暴さの下にときどき顔を出します。趣味は歌と買い物、初めてやることでもだいたいうまくこなす器用さの持ち主です。
物語のなかで最も大きく変わるのが彼です。相手の尊厳に興味を持たない男から、自分の加害を引き受けて生き方ごと変える男へ。作者自身が後悔攻めだと明言しており、その徹底ぶりが本作の評判を作りました。
キム・イヒョン

27歳のオメガで、身長179cm、体重69kg。黒髪に灰色の目、目つきが鋭く、口調も性格もかなりシニカルです。誕生日は2月29日という、四年に一度しか巡ってこない日に設定されています。
打たれ強く、同じ体格の相手なら喧嘩で引けを取りません。オメガであることを隠して工事現場で働いてきた過去があり、高校を卒業できたこと自体が奇跡に近かったと作者が語っています。口は悪く手も早い一方で情には厚く、弟のイヨンに対しては兄であり母であり父でもある存在です。
この作品でイヒョンが辿るのは、自分を愛せるようになるまでの道のりです。趣味を聞かれて何もないと答えるしかなかった男が、外伝では運動にのめり込み、最終話では道場を構えるところまで行き着きます。
キム・イヨン
イヒョンの腹違いの弟で、初登場時は7歳、身長120cmのアルファです。生まれてすぐ実の親に置いていかれ、兄の手ひとつで育てられました。兄を物質的にも精神的にも頼りきっており、その兄を苦しめるテジュを最後まで警戒し続けます。
自分がアルファだと分かったとき、兄と同じオメガになりたいと泣いたエピソードが彼の全部を表しています。物語の途中で実の親に引き取られますが、愛着が育たず、幼稚園を抜け出して行方不明になる騒ぎを起こして兄のもとへ戻りました。
外伝の最終話では高校生になった姿が描かれます。ピアノのコンクールで賞を集めながら演奏家になる気はないと言い切り、受験勉強を選ぶ現実的な青年です。テジュを嫌う態度だけは11年経っても変わっていません。
脇を固める重要人物たち
キム・サヒョク
40代と推定されるアルファで、イヒョンとイヨンの生みの父にあたります。眠っている長男の拇印を勝手に押して1億8千万ウォンの借金を負わせ、そのまま逃亡しました。逃げている最中も息子の状況を耳にするなり、敵対する組織へ借金ごと売り渡そうとするなど、私益のためなら血縁も差し出す人物として描かれます。この作品でもっとも救いのない悪人です。
ド・ヘソン
24歳のアルファで身長188cm、名門大の薬学部に通う学生です。イヨンが起こしかけた火災を防いだことでキム兄弟と縁ができ、以後は襲撃から助けたり相談に乗ったりと支え役に回ります。イヒョンに気持ちを伝えるものの実らず、それでも二人のすれ違いを解く橋渡しまで引き受けました。卒業後は希望した企業に就職し、その裏でテジュが後ろ盾になっています。
ク・ヨンド
テジュとウォニョンが抱えていたチンピラの一人で、形質はベータです。サヒョクが逃げたあとイヒョンのもとを訪れ、乱暴を働こうとして逆に殴り倒され、二か月の昏睡状態に陥りました。目覚めたあとも執着を捨てず、二度目の襲撃を試みて追われる身になります。最後は身を隠していたサヒョクと手を組み、イヒョンの拉致を実行した張本人です。
ヨ・ウォニョン
27歳のアルファ女性で身長188cm、テジュの従妹にして同い年の事業パートナーです。同じ家で育ったため互いに目配せだけで通じ合う仲で、テジュがイヒョンに惹かれていることを本人より先に見抜いていました。仕事を放り出す従兄に業を煮やして衝突する場面もあります。拉致事件の後始末を引き受け、その代償として施行社委員長の孫娘との政略結婚を受け入れました。
ヨ・ヒジュ
53歳のアルファ女性で、ウォニョンの母、テジュにとっては父方の叔母です。ヨジョン建設の専務を務め、事業のやり方はかなり攻撃的ながら、建設から裏社会の人脈と暴力を切り離すべきだという信念を持っています。テジュとウォニョンがいつか完全に足を洗うことを願い続けてきた人物で、娘の結婚式では感極まって座り込むほど喜びました。
ユ・ジュイン
55歳のアルファで、テジュが「アパ」と呼ぶ父です。かつては組織の側にいましたが現在は足を洗っており、建設会社の後継者と組員という異例の政略結婚の当事者でもあります。本編では一族に事件が重なった局面で久々に前線へ出て、追い詰められたイヒョンを温かく労りました。家父長的な祖父がイヒョンを見下さないよう、先回りして盾になった人でもあります。
ヨ・テファ
50代のアルファで、テジュがもう一人の父として「アボジ」と呼ぶ相手です。31巻で初登場しました。テジュの整った容姿はこの人譲りですが、中身は正反対で、深く穏やかで品のある人柄をしています。その優しさゆえにイヨンがとりわけ懐いており、テファのほうも実の孫以上に可愛がりました。
ヨ・ヘウォル
外伝で生まれる、テジュとイヒョンの息子です。アルファの後継ぎに執着していた曽祖父が、この子の愛嬌にすっかり陥落してこだわりを手放すという役回りを担っています。本編でイヒョンが失った子とヘウォルは別の存在ですが、痛みを抱えたまま新しい家族を迎え入れるという着地の要になっているのが彼です。
「無理」と「最高」が同じ数だけ並ぶレビュー欄
一度脱落した読者が、戻ってくる作品です
国内のレビュー欄で目立つのは、心理描写の精度を挙げる声です。互いを想っているのにすれ違い、傷つけ合う過程の細かい感情が痛いほど伝わってくる、という感想が繰り返し書かれています。読み終わったあと語彙が追いつかなくなったと書き込む人までいるほどです。
受けの造形を評価する声も多く見られます。不幸を嘆くだけの弱いオメガではなく、テコンドー仕込みの蹴りでヤクザにも立ち向かう強気な人物だからこそ、その心が少しずつ開いていく過程に惹かれたという読み方です。序盤で挫折した人に向けて、外伝までたどり着けば報われると背中を押すレビューも並んでいます。
海外の読者が突きつける、更生アークへの疑問
一方、海外の掲示板ではかなり厳しい言葉が並びます。1話の加害があまりに重いため、後半のテジュがどれだけ変わろうと帳消しにはならない。被害者が加害者を許す展開そのものが、現実に苦しんでいる人の経験を軽く見せてしまう。そうした批判が具体的な場面を挙げて書き込まれています。
穏やかで誠実な隣人ヘソンと結ばれるべきだった、という声も根強く残りました。これに対して、追いかけて悔い改める物語である以上、最初から欠点のない相手ではこの話は成立しない、と冷静に整理する読者もいます。虐待的な関係から抜け出せなかった経験を持つ人が、もし現実の相手が変わってくれていたらという逃げ道としてこの作品を読んでいる、と打ち明ける書き込みもありました。
賛否がここまで割れること自体が、この作品が加害を曖昧にしなかった証拠でもあります。読むかどうかを決める材料としては、1部の描写に耐えられるかどうかがすべてです。そこを越えられるなら、残りの100巻以上は違う顔を見せてくれます。
「水辺の夜」を一番お得に読む方法・まとめ
死のうとした夜から、道場の朝まで
「水辺の夜」は、加害から始めた物語を逃げずに着地させた作品です。1億8千万ウォンの借金と、弟を抱いて海へ入った夜。そこから117巻をかけて、二人は対等な家族になります。途中には流産も拉致もあり、決して軽い読み心地ではありません。
それでも読み通す価値があるのは、テジュの償いが言葉ではなく生き方の変更として描かれるからです。裏の仕事を畳み、家族の側に立ち、11年後には穏やかな父親になっている。イヒョンのほうも、趣味を持つ余裕さえなかった男が自分の道場を構えるところまで辿り着きました。
1部の描写に耐えられるかどうかが、唯一にして最大の分かれ道になります。そこを越えられる方には、韓国発のオメガバースBLの代表作として自信を持っておすすめできる一作です。
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