
結婚初夜に「今後、きみを愛するつもりは一切ない」と言い放った次期公爵が、庭で泥だらけになって野菜を育てる没落令嬢に、自分でも制御できない速さで落ちていきます。
本作の面白さは、その一言が本人の足枷になり続けるところにあります。ユリウスがどれだけ溺愛しても、エルサ側は「契約上の演技」として受け取ってしまうため、糖度だけが上がって関係は一向に進みません。2026年7月からはTVアニメの放送も始まりました。この記事では、契約結婚の裏にある政治的な事情、ヤルモがエルサに執着する理由、原作小説の有無と単話版・単行本の違い、そして最新5巻までの流れをまとめてお届けします。
コミックシーモアなら、1話から買える。気になった話だけ読める。
「きみを愛する気はない」と言った次期公爵様がなぜか溺愛してきます あらすじ・ネタバレ
作品名:「きみを愛する気はない」と言った次期公爵様がなぜか溺愛してきます
作者:三沢ケイ(原作)/水埜なつ(漫画)
出版社:フレックスコミックス(ポラリスCOMICS)
ステータス:連載中
巻数:既刊5巻(2026年8月時点)
連載媒体:COMICポラリス/COMICアーク(きら星ポータル)
メディアミックス
TVアニメ
2026年7月4日より、テレビ朝日系全国24局ネットの「NUMAnimation」枠で放送が始まりました。BS朝日でも毎週月曜の夜に放送されており、地上波を見逃した場合はTVerからも追いかけられます。
エルサ役は石川由依さん、ユリウス役は斉藤壮馬さん。王太子アレクシス役に木村良平さん、ハンネス役に榎木淳弥さん、レベッカ役に山村響さんと、脇を固める顔ぶれも厚くなっています。オープニングはりりあ。さんの「いつかちゃんと。」、エンディングはsoratoさんの「最終回」が担当します。
ボイスコミック
ブックライブの公式YouTubeチャンネルでは、漫画のコマに声をあてたボイスコミックが公開されています。エルサ役は高野麻里佳さん、ユリウス役は斉藤壮馬さん。アニメ版とはエルサ役が異なるため、二人分の解釈を聴き比べられるのも楽しいところです。
スピンオフ「これは政略結婚だ」と言った王太子殿下からなぜか溺愛されています
2024年9月から、COMICポラリスとCOMICアークでスピンオフの連載も始まっています。原作は三沢ケイ先生が続投し、作画は坂田ユイ先生。本編で不器用な二人を面白がって眺めていた王太子側の物語が読める形になっており、本編を追いかけている方には嬉しい広がり方です。
原作小説はある? 単話版と単行本、どちらを買うべき?
「小説家になろう」で連載されていた原作を探して見つからず、戸惑った方は多いはずです。結論から書くと、本作に先行する原作小説は存在しません。三沢ケイ先生はなろう発の作品を数多く手がけていますが、本作については漫画のためにシナリオを書き下ろしており、小説版が先にあったわけではないのです。「原作:三沢ケイ」という表記は、小説の原作者ではなくストーリー担当という意味になります。
ただし文章で読める番外編はあります。単行本には三沢先生による書き下ろしの短編小説が収録されており、本編では描かれない二人の日常が文章で補われています。小説を読みたい方は、単行本のおまけページを目当てにするのが正解です。
もうひとつ迷いやすいのが、単話版と単行本の使い分けです。本作は1話ずつの単話版が先行して配信され、それがまとまって単行本になる形をとっています。2026年8月時点で単行本は5巻まで、単話版は第26話まで配信されているため、先の展開を追いたいなら単話版、書き下ろし小説やおまけまで含めて手元に置きたいなら単行本、という住み分けです。単話版は1話165円、単行本は1冊693円(いずれも2026年8月時点)ですので、まず数話だけ試したい場合の負担は単話版のほうが軽く済みます。
あらすじ ー 野菜を育てる令嬢と、愛を閉ざした公爵の契約結婚
ラルト国の由緒ある公爵家に生まれながら、エルサの日常は食べる物にも困る極貧生活でした。そんな彼女のもとに、国でも指折りのエリート貴族である次期公爵ユリウスから求婚の報せが届きます。実家の負債を肩代わりし、弟ハンネスの学費まで面倒を見るという破格の条件。家族を救うため、エルサは一度も会ったことのない相手との結婚をその場で決めました。
挙式の日、ユリウスは穏やかに彼女を迎えます。ところが二人きりになった夜、その表情から温度が消えました。「今後、きみを愛するつもりは一切ない」。新妻に向けるにはあまりに冷たい言葉でしたが、エルサは落ち込むどころか「お互いの利害が一致していて気が楽です」と受け止めてしまいます。
冷え切った新婚生活が始まるかと思いきや、エルサは屋敷の庭を耕して野菜を育て、メイドたちと裁縫を楽しみ、驚くほど機嫌よく暮らし始めました。社交界の駆け引きの中で育ったユリウスにとって、泥のついた手で笑う公爵夫人は理解の範囲外の存在です。人の好意には必ず裏があると学んできた男の前に、裏のない好意が毎日置かれていきます。
拒絶から始まった関係が、土の匂いのする日常によって少しずつ形を変えていく。そこに旧王家の血をめぐる政治の影が差し込んでくるところから、物語は本題に入っていきます。
【ネタバレ注意】深掘りあらすじを見るにはここをタップ
契約結婚の裏にあった国家の事情(1巻・婚姻編)
ユカライネン公爵家は、ラルト国の建国に関わった旧王家の血を引く家柄です。実態は極貧の没落貴族でしたが、その血筋は王政に対立する勢力にとって「担ぎ上げる象徴」としての価値を持っていました。第一王子アレクシスは、エルサが婚姻適齢期を迎えたことで反王政派に利用される危険を察知し、最も信頼する側近ユリウスに彼女との婚姻を命じます。ユリウスの求婚は、恋愛感情ではなく上司からの任務として始まったものでした。挙式後の夜、彼はエルサに「公爵の妻らしく振る舞うこと」「自分に干渉しないこと」「人前では仲睦まじいふりをすること」という三つの条件を突きつけ、愛する気はないと宣言します。両親が冷え切った仮面夫婦だった記憶を抱えるユリウスにとって、それは相手を遠ざけるためというより、自分が感情に流されないための誓いでした。
土のついた手と、はじめての誕生日(1〜2巻・お茶会編)
公爵夫人となったエルサは、自分で育てた野菜を使ったデザートで最初のお茶会を開きます。そこへユリウスに強い好意を寄せるパルニラ伯爵令嬢セラフィーナが現れ、貧しい生まれや家格を持ち出してエルサを見下そうとしました。ところが悪意のかけらも疑わないエルサはすべてを善意として受け取ってしまい、マウントは空振りに終わります。セラフィーナは追い打ちとして、預かっていたユリウスのカフスボタンをわざとエルサに渡しました。親密さを見せつけるつもりだったのに、エルサは「親切に届けてくださった」と信じ込み、そのまま夫の手に返してしまいます。嫉妬の素振りすら見せない妻にユリウスは動揺し、同時に彼女の人柄から目を離せなくなっていきました。決定打になったのが誕生日です。エルサは幼馴染のレベッカからユリウスの誕生日を聞き出し、手縫いのドレスシャツと夕食を用意して待っていました。祝われた記憶のない男の防壁が、ここで最初の亀裂を起こします。
向日祭の告白未遂と、看病の夜(2〜3巻・恋心自覚編)
エルサへの感情が恋だと自覚したユリウスは、建国を祝う大祭「向日祭」を機に彼女を誘い出し、気持ちを伝えようと決意します。ところが当日は邪魔が入り続け、告白の言葉は最後まで口から出ませんでした。極度の緊張と睡眠不足に雨が重なり、彼はそのまま高熱で寝込んでしまいます。うなされる中で見たのは、両親の不仲を眺めていた幼い日の記憶でした。目を覚ますと、そばでエルサが休まず看病を続けています。「私達は家族ですから」と微笑む彼女に、ユリウスは生まれて初めて家庭の温度というものを知りました。その後、彼はセラフィーナを呼び出し、二度と妻に誤解を与える行動をとらないよう面と向かって釘を刺します。夜会でヘルコ子爵に口説かれるエルサを「大切な私の妻」と公言して守ったのもこの時期で、周囲から見れば溺愛はすでに隠しようがなくなっていました。
孤児院をめぐる誤解と、規格外の解決(3巻・孤児院編)
街で見かけた教会の孤児院が困窮していることを知ったエルサは、教員のボランティアとして通い始めます。ところがその行き帰りに、パルニラ伯爵家のヤルモと偶然出くわしてしまいました。妻が自分以外の男性と二人で話している場面を目撃したユリウスは、密会を疑って激しい嫉妬に飲まれ、自室にこもってしまいます。誤解が解けたのは、孤児院のシスターがロイアス邸を訪ねてきたときでした。エルサが見返りを求めず子供たちのために動いていたこと、ヤルモとの接触が偶然にすぎなかったことを知り、ユリウスは自分の狭量さを深く恥じます。そして彼が選んだ償いは、孤児院の土地と建物を丸ごと買い取って寄付するという規格外の行動でした。愛していないと宣言した人物の振る舞いとしては、どう見ても筋が通っていません。
視察先の倉庫と、揺さぶられるエルサ(4巻・地方視察編)
ユリウスの地方視察に、エルサも同行することになりました。この旅に、ユリウスへ強い対抗心を燃やす同僚ヤルモが合流したことで空気が変わります。ヤルモは二人の関係に違和感を嗅ぎ取っており、それを壊すために視察先の紡績工場で罠を仕掛け、自作自演でエルサと倉庫に閉じ込められました。暗がりの中、彼はエルサを口説きながら「あなたはユリウスに利用されているだけだ」と現実を突きつけます。契約結婚という自分の立場を改めて言葉にされ、エルサは涙をこぼしました。ただの契約なら、なぜこれほど胸が痛むのか。答えを出せないまま揺さぶられる彼女のもとへ、異変を察したユリウスが倉庫の扉を力任せに蹴破って現れます。ヤルモを敵に回すことも辞さない構えで妻を取り戻したこの一件を境に、二人の距離は契約という建前を大きくはみ出していきます。
二度目の向日祭と、エルサが辿り着いた答え(5巻の到達点)
王都に戻ると、幼馴染のレベッカが冷淡な夫エドモンド侯爵に耐えかねて公爵邸へ家出してきました。エルサとレベッカは四六時中一緒に過ごすようになり、妻との時間を奪われたユリウスはすっかり居場所を失います。それでも彼は表に出さず、裏でエドモンドを説得して夫婦の関係を修復させる方向に動きました。この頃のユリウスを縛っていたのは、「エルサに何かを望んだら、それは命令になってしまう」という遠慮です。立場の差を自覚しているからこそ、望みを口にすることそのものが暴力になると考えてしまい、想いはますます行き場を失っていきました。そんな折、孤児院の子どもたちが「エルサ先生とユリウス様は、夫婦のフリをしてる」と何気なく言い放ちます。取り繕いようのない言葉に、エルサは自分でも整理できない動揺を抱えることになりました。さらに実家の状況が好転して王都を訪れた両親が、周囲の噂を耳にして娘の結婚を案じ、何があっても帰ってきていいと告げます。それを聞いてしまったユリウスは、離縁されるかもしれないという恐怖に飲まれました。そして迎えるのが、二人にとって二度目の「向日祭」です。一年前は告白の言葉を飲み込んだまま終わった祭りが、今年はまるで違って見える。去年と同じ景色の中でエルサが辿り着いた気持ちの答えが、5巻の最大の山場になっています。互いを想い合いながら最初の宣言だけが二人の口を塞いでいる状態は続いており、物語はここから次の段階へ進みます。
みさきガチ評価・徹底考察

- 政治の陰謀と野菜作りという泥臭い日常の対比が、恋愛ものに厚みを与えている
- 恋愛未経験どうしの心理変化が段階を飛ばさず、感情の動きに無理がない
- 水埜なつ先生の描線が、視線が揺れる一瞬や言葉を飲み込む表情を的確に拾っている
- 刊行の間隔が長く、すれ違いが解けるまで現実の時間で待たされる
「みさきの総評」 ー 自分でかけた呪いに苦しむ男と、土の温もりでそれを解く少女の再生譚。
冷たい契約から始まった関係が、見返りのない日常の積み重ねだけで本物へ変わっていく過程に説得力があります。
最初の一言が呪縛になる ー 契約結婚が生んだ感情のねじれ

読み進めるほど気になってくるのが、「なぜこの二人はここまですれ違い続けるのか」という一点です。答えの鍵は、初夜にユリウスが放った一言と、それを律儀に守り続けるエルサの誠実さにあります。
ユリウスの「愛さない」は、誰に向けた言葉だったのか
多くの読者が最初につまずくのがこの場面でしょう。優しく式を終えた男が、その夜だけ別人のように冷たくなる。理不尽に見えますが、あの宣言にエルサへの悪意はありません。
不仲な両親の間で育ったユリウスにとって、愛情は安心をもたらすものではなく、裏切りとセットで訪れる危険な要素でした。愛せば傷つく。傷つく前に、愛さないと決めてしまえばいい。あの言葉は妻を遠ざけるための刃であると同時に、自分の感情を封じるために引いた防衛線だったと読むのが自然です。任務として引き受けた結婚を、感情抜きで完遂するための誓約でもありました。
皮肉なのは、その誓約が最も深く刺さった相手が自分自身だったという点です。エルサの飾らない日常に触れるほど、彼は自分で立てた壁の内側で身動きが取れなくなっていきます。冷たければ冷たいほど、後から漏れ出す溺愛との落差が大きくなる。読者を惹きつける仕組みは、あの一言の時点ですでに完成していました。
泥のついた手が氷を溶かした理由
ユリウスが生きてきたのは、言葉の裏を読み合い、好意すら手札として使われる社交界です。誰かが差し出す親切には目的があり、その目的を先回りして測ることが彼の職務でもありました。
そこへ現れたエルサは、公爵邸の庭を耕し、種を蒔き、実るまで待って、収穫した野菜で料理を作る人でした。土を相手にする営みには、駆け引きの入り込む隙がありません。時間をかけないと実らないという一点において、嘘のつきようがない行為だからです。
野菜嫌いの夫の健康を気にかけ、誕生日を調べて手縫いのシャツを用意し、弟の将来を案じる。そのどれもが政治的な計算とは無縁の場所から出てきたものでした。読み解くべき裏がないという事実そのものが、ユリウスにとっては未知の体験だったのです。防壁は攻撃で崩れたのではなく、攻撃してこない相手の前で意味を失って崩れました。
三つの条件は、提示した本人から先に壊れていきます
ユリウスがエルサに課した条件は三つ。公爵の妻らしく振る舞うこと、自分に干渉しないこと、人前では仲睦まじいふりをすること。物語はこの三つを一つずつ無効化していく構造で進みます。
「妻らしく振る舞う」は、エルサがお茶会を主催し孤児院の教壇に立った時点で、形式的な演技ではなく実質を伴った公務に変わりました。「干渉しない」に至っては、嫉妬で街を捜索し、孤児院を丸ごと買い取ったユリウス自身が真っ先に破っています。「仲睦まじいふりをする」も、夜会でエルサを大切な妻だと公言した瞬間から、もう「ふり」ではなくなっていました。
条件を出した本人が誰よりも早く枠組みを壊し、条件を受けた側だけが最後まで律儀に守り続ける。読者が身悶えするのは、両想いであることが誰の目にも明らかなのに、「契約」という言葉だけが二人をつなぎ止め、同時に縛り上げているからです。
そして忘れてはならないのが、その契約の根に王太子の密命があるという事実です。恋愛の障害として置かれた足枷は、実は国家の事情から生まれたものでした。甘い焦れったさの下に政治の話が一貫して流れているところが、本作を単なる日常ラブコメと分けています。
登場人物・キャラクター分析
登場人物相関図

主要キャラクター
エルサ・ユカライネン

旧王家の血を引くユカライネン公爵家の長女です。家名だけは立派でも暮らしは極貧で、その環境が彼女に家事も畑仕事も裁縫もこなす生活力を授けました。初夜に突き放されても卑屈にならず、翌日には庭を耕し始める切り替えの早さが持ち味です。悪意を悪意として受け取らないため、嫌がらせを仕掛けた側が勝手に自滅していくという場面も多く見られます。物語が進む中で、自分がユリウスに向けている感情の正体と正面から向き合うことになり、二度目の向日祭で彼女なりの答えに辿り着きます。
ユリウス・ロイアス

ロイアス公爵家の長男で、王太子アレクシスの側近として宰相補佐官を務める超エリートです。仕事の場では隙のない切れ者ですが、冷え切った両親を見て育った記憶から恋愛そのものを信じられず、エルサに「愛する気はない」と告げて契約結婚を始めました。ところが妻の飾らない優しさに触れるうちに嫉妬も独占欲も抑えられなくなり、街を走り回ったり孤児院を買い取ったりと行動が派手に暴走していきます。自分で放った最初の一言に縛られ、想いを言葉にできないまま苦しんでいる姿が、本作最大の見どころになっています。
アレクシス・ヨーセフ・ラルト

ラルト国の第一王子であり、この契約結婚を仕掛けた張本人です。旧王家と現王家の血を併せ持つエルサが反王政派に担ぎ上げられる事態を防ぐため、最も信頼できる側近であるユリウスに婚姻を命じました。国政では冷静に手を打つ一方、不器用な二人の歩みを面白がって眺める気楽さも併せ持っています。命じた本人が一番楽しんでいるあたり、彼の食えなさがよく出ています。
脇を固める重要人物たち
ハンネス・ユカライネン

エルサの弟で、姉思いの秀才少年です。突然の縁談に裏があるのではないかと真っ先に疑う鋭さを持ち、姉を守ろうとする姿勢を隠しません。ロイアス家の支援で名門校へ編入した後は実力を認められ、王宮に出入りするほどの存在になりました。街で姉と並んで歩いていたところをユリウスに目撃され、本人が知らないうちに義兄の嫉妬に火をつけてしまった場面もあります。
ヤルモ・パルニラ

パルニラ伯爵家の長男で、ユリウスとは王立学校時代からの同窓かつ職場の同僚です。物腰は柔らかいものの、その内側には養子として引き取られた過去に由来する強い劣等感と、政治的な野心が同居しています。ユリウスとエルサの関係の綻びを嗅ぎ取り、視察先で罠を仕掛けてエルサを追い詰めましたが、そこで彼女の無防備な信頼に触れて自分のほうが本気になってしまいました。政敵と恋のライバルを兼ねる、本作で最も厄介な立ち位置の人物です。
セラフィーナ・パルニラ

ヤルモの妹で、ユリウスに一方的な好意を寄せる伯爵令嬢です。欲しいものは手に入れないと気が済まない性分で、お茶会や夜会のたびにエルサへ小細工を仕掛けてきました。ところが相手が悪意をまったく認識しないため、仕掛けは毎回不発に終わります。ユリウスから二人きりの場で明確な拒絶を告げられた後は大きく気勢をそがれ、それでも執着を手放しきれずにいる様子です。
レベッカ・リーコネン

リーコネン侯爵夫人で、ユリウスの幼馴染にあたります。裏表のないさっぱりした性格と社交界の情報網を併せ持ち、人の感情の動きにも敏感です。エルサの純真さに惹かれて大親友となり、セラフィーナの嫌がらせから庇う場面も少なくありません。夫エドモンドの冷たい態度に耐えかねて公爵邸へ家出してきた一件は、結果的にユリウスとエルサが自分たちの関係を見つめ直すきっかけになりました。
エドモンド・リーコネン
レベッカの夫であるリーコネン侯爵で、ユリウスとも古い付き合いです。学者気質で、研究に没頭すると周囲が見えなくなる不器用さを抱えています。妻に家出されるという失態を演じたものの、ユリウスが裏で動いたことで関係修復の糸口をつかみました。すれ違う夫婦の先例として、ユリウスに自分の立ち位置を考えさせる役目も担っています。
「もう言ってあげて」と画面に向かってつぶやく日々
溺愛が漏れ出す公爵様に、読者が悶える理由
レビューを追っていて目を引くのは、ユリウスの崩れ方に対する反応の熱量です。冷徹なエリートに見えた男が、エルサのことになると余裕を失い、一人で赤面し、ドジを踏む。その落差にニヤニヤが止まらないという声が繰り返し寄せられています。巻を追うごとに溺愛のブレーキが壊れていく、と表現した読者もいました。
ヒロイン側の評価も高く、「土いじりをする令嬢」という設定を挙げる感想が目立ちます。没落しているのにお高くとまらず、できることは自分でやる。その姿勢が好印象につながっているようです。悪意あるキャラクターの描写が控えめで、婚家でいびられる展開に食傷していた読者から歓迎されている点も、本作の特徴として押さえておきたいところです。
お互い想い合っているのに最初の契約が邪魔をして踏み込めない。この構造を、読者は苦しみながら楽しんでいます。条件はすべて揃っているのに心だけが追いつかない不器用さが、見守りたいという気持ちを引き出しているのでしょう。
刊行ペースへの不満が裏返す愛着の深さ
不満として最も多く挙がるのが、更新と刊行の間隔の長さです。前の話から半年以上空いて内容を忘れてしまった、盛り上がってきたところで生殺しにされる、といった悲鳴が単話のレビュー欄に並んでいます。すれ違いが解けるまで何年かかるのかと嘆く声も見かけました。
展開の遅さ自体を惜しむ意見もあります。ユリウスの過去の掘り下げがやや浅い、デレに転じるのが思ったより早かった、といった指摘は、もっとじっくり葛藤を見せてほしいという期待の裏返しでしょう。宿敵であるはずのヤルモに危機感が足りないという冷静な分析も見られました。
注目したいのは、そうした不満の多くが「それでも続きを買ってしまう」という結論に着地している点です。待たされることへの苛立ちは、待つ価値があると判断されている証拠でもあります。もどかしさの先にある温度が、この作品を手放せないものにしているのだと思います。
疑問を解消(Q&A)
読む前に引っかかりやすい点と、読み進める途中で浮かぶ疑問をまとめました。ここで不安を片付けてから本編に入ってみてください。
みさき「きみを愛する気はない」と言った次期公爵様がなぜか溺愛してきますを一番お得に読む方法・まとめ
泥だらけの手が差し出す、嘘のない愛のかたち
水埜なつ先生の線は、整っているだけではありません。ユリウスの視線が一瞬だけ揺れる瞬間や、エルサが言葉を飲み込んで微笑む表情の奥に、口に出されなかった感情がにじんでいます。画面越しでも二人の体温が伝わってくる繊細さが、この作品を支えている部分です。
「愛する気はない」という一言から始まった関係が、土を耕し、食卓を囲み、相手の好き嫌いを覚えるという地味な繰り返しによって本物へ変わっていく。そこにあるのは劇的な事件ではなく、誰かのために野菜を育てるような小さな誠実さの積み重ねです。傷つくことを恐れて心を閉じた経験のある方ほど、エルサのまっすぐさは深いところに届くはずです。
アニメの放送が始まり、物語への注目もいよいよ高まってきました。二人が互いの名前を呼び合い、契約ではなく自分の意志で隣にいることを選ぶ瞬間を、ぜひリアルタイムで追いかけてみてください。
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本作の単話版は1話165円(2026年8月時点)なので、10話以上をクーポンの枠内で購入できます。1話ずつの購入にも単行本のまとめ買いにも使えるうえ、有効期限は7日間あるため、どの話を買うか決めてから登録しても間に合います。
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