
自分の性別が分からない少年・織生空弦と、街で一番自由な“彼”・御堂蓮利。「ヴィラン」は、互いに性の秘密を抱えた二人が、それでも相手を選び取るまでの物語です。
この記事では、御堂蓮利の正体が何巻で明かされるのか、二人が結ばれるまでの結末はどうなるのかを、答えから先に書いています。全8話の配信状況と、紙の単行本の現状もまとめました。急ぐ方はQ&Aへ、順を追って読みたい方はネタバレあらすじへ。ネタバレ部分はすべて折りたたんであります。
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「ヴィラン」あらすじ・ネタバレ
作品名:ヴィラン 【連載版】
作者:てにをは(原作・監修)/ふじた(漫画)/ねここ(キャラクターデザイン)
出版社:一迅社(HOWLコミックス)
ステータス:完結
巻数:電子分冊版 全8冊(2026年9月時点)
連載媒体:comic HOWL(一迅プラス)

メディアミックス
アニメ化・実写化・小説版はありません。本作の出発点は、ボカロP・てにをはが発表した楽曲「ヴィラン」です。社会の側から一方的に「悪役」と名指しされる感覚を歌ったこの曲を、てにをは自身が原作・監修に入る形で漫画化したのが本作にあたります。読む前に一度聴いておくと、空弦と蓮利が置かれた立場の意味が掴みやすくなります。
あらすじ ー 街で一番自由な“彼”に恋をした、性別の分からない少年
織生空弦は、自分の性別が分からないまま高校生活を送る少年です。市長選を控えた父からは「男らしく」あることを求められ、家でも学校でも本当の自分を出せる場所がありません。息の詰まる日々のなかで空弦がたどり着いたのが、街外れの廃ビルでした。
そこに居座っていたのが、御堂蓮利です。乱暴な口をきき、誰にも縛られずに生きている“彼”は、空弦の些細な変化にはすぐ気づくのに、踏み込んだ詮索をしてきません。空弦は生まれて初めて、何も取り繕わずにいられる場所を見つけます。憧れはやがて恋心に変わりました。ただし相手は同性です。空弦はその気持ちを、誰にも言えないまま胸の奥にしまい込みます。
ところが、蓮利の側にも人に言えない秘密がありました。それを空弦が偶然知ってしまったところから、二人の距離は静かに狂い始めます。作画を担当するのは「ヲタクに恋は難しい」のふじた。表情と沈黙だけで内面を運ぶ筆致が、この題材と正面から噛み合っています。
秘密を抱えた者どうしが、それでも相手を選び取れるのか。本編は全6話、電子の分冊版では8冊で、その答えのところまで描き切られています。
「ヴィラン」のネタバレあらすじ ー 蓮利の正体が明かされる巻と、空弦が「好きだ」と言うまで
【ネタバレ注意】「ヴィラン」の結末まで読む(タップで開きます)
自由な“彼”に恋をした(1巻・第1話)
廃ビルで出会った御堂蓮利は、乱暴な言動の裏に細やかさを持つ人物でした。空弦の表情の変化にはすぐ気づくのに、理由を問い詰めてはきません。その距離感に救われた空弦は、男性同士という壁を意識しながらも恋心を募らせていきます。ところが第1話の終盤、シャワーから出てきた蓮利を偶然目撃したことで、空弦は決定的な事実を知りました。街で一番自由な“彼”は、身体としては女性だったのです。何も言えずに立ち尽くす空弦の姿で、1冊目は幕を閉じます。
打ち明けられない恋と、弟の助言(2〜3巻・第2〜3話)
相手が女性だったという事実に打ちのめされた空弦は、食欲を失い、廃ビルへ足を向けられなくなります。異変に気づいた中学生の弟・織生昏馬に相談すると、昏馬は「きちんとお別れしなよ」と区切りをつけるよう促しました。決意して向かった道中で蓮利と鉢合わせ、そのまま一緒に食事をとることになりますが、別れの言葉は最後まで出てきません。第3話では市長選を控えた父から交友関係を咎められ、家のなかの居心地も悪くなります。それでも蓮利は「今のままの空弦でいろよ」と声をかけ、空弦を抱き寄せました。
暴かれた秘密と、決裂の一言(4巻・第4話)
均衡を崩したのは、蓮利の過去を知る不良・滝登オザムの登場でした。オザムは「女を殴る趣味はない」と嘲笑いながら、蓮利が女性であることをその場で暴露します。この一言で、蓮利は空弦が以前から自分の身体のことを知っていたと気づいてしまいました。黙っていた理由を説明する時間は与えられません。蓮利は「最悪だ。気持ち悪ィんだよ」と泣きながら言い捨て、空弦の前から去っていきます。互いの秘密が最悪の形で交差し、二人の関係はここで一度断ち切られました。
二つに割れた心(5巻・第5話前半)
拒絶された空弦の内側では、正反対の声がぶつかり合います。このまま終わるほうが互いのためだという諦めと、こんな終わり方は受け入れられないという執着が、別々の人格のように立ち上がってきました。作中ではこの葛藤が、二人の空弦が言い争う形で描かれます。逸脱した性を抱えて生きてきた自分と、過去のトラウマ。その両方に正面から向き合った末に、空弦は自分の気持ちをごまかさないと決めました。弱さを認めたうえで、傷ついた蓮利のもとへ走り出します。
割り込んだ告白と、警察の介入(6巻・第5話後半)
たどり着いたギャラリーの前では、オザムと蓮利が激しく揉み合っていました。体力の差で追い詰められる蓮利に対し、空弦は身を挺して二人の間に割り込みます。そこで空弦は、ずっと隠してきた気持ちを「好きだ」と言葉にしました。ただしこの場面は、二人だけの時間としては終わりません。騒ぎを聞きつけた警察が介入し、空弦と蓮利はその場から走って逃げることになります。告白の返事を受け取らないまま、6冊目はここで区切られました。
父への告白と、明かされる姉の存在(7巻・第6話前半)
第6話前半で、空弦は父と正面から向き合います。「男らしく」あることを求めてきた相手に、自分がどういう人間なのかを自分の言葉で伝える場面です。同じ回で、第3話に登場した「蓮利と親しげな女性」の正体も明かされました。彼女は蓮利の姉であり、蓮利が男性として生きていることを知ったうえで、その生き方を受け止めてきた人物です。姉から蓮利の苦悩と覚悟を聞かされた空弦は、もう一度あの廃ビルへ向かう決意を固めます。
昏馬との対立と、返ってきた言葉(8巻の到達点)
最終話にあたる第6話後半で、それまで兄思いに見えていた弟・昏馬が別の顔を見せます。空弦を引き止めようとする昏馬は「頼るべきは俺だったよね!」と激昂し、それでも蓮利のもとへ向かおうとする兄を前に「なんで僕じゃないんだ」と崩れ落ちました。オザムが電話をしていた相手が昏馬であるかのような演出も、この回に置かれています。家を出るためにベランダから飛び降りた空弦は、蓮利に改めて「好きだ」と伝えました。返ってきたのは「俺も好きだぜ」という言葉で、二人はキスを交わし、手を繋ぎます。
結末は8巻(第6話後編)。コミックシーモアで全8巻をまとめて読めます。
みさき疑問を解消(Q&A)
読む前に確かめられることの多い点から順に答えます。ネタバレを含む3問は、質問をタップすると答えが開く形式です。
【⚠️ネタバレ注意】御堂蓮利の正体は何ですか?
身体としては女性です。街では男性として振る舞い、一人称も「俺」で通しています。空弦がその事実を知るのは第1話の終盤、シャワーから出てきた蓮利の姿を偶然目にしてしまう場面でした。蓮利本人は隠しているというより、そう生きているという形で日々を過ごしています。
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【⚠️ネタバレ注意】裏切り者や黒幕はいるのですか?
「いない」とは言い切れません。蓮利の秘密を暴露した滝登オザムの背後に、弟の織生昏馬がいたことをうかがわせる演出が最終話に置かれています。オザムが電話をしていた相手が昏馬であるかのように描かれ、昏馬自身も「頼るべきは俺だったよね!」と兄に激昂し、蓮利のもとへ向かう空弦を見て「なんで僕じゃないんだ」と崩れ落ちました。兄思いの弟という序盤の印象は、ここで大きく塗り替わります。
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【⚠️ネタバレ注意】二人は結ばれるのですか?
結ばれる結末です。第5話後半の喧嘩に割り込んだ空弦が一度「好きだ」と告げますが、警察の介入で返事を聞けないまま逃げることになります。決着がつくのは最終話でした。ベランダから飛び降りて家を出た空弦が想いを伝え直すと、蓮利からは「俺も好きだぜ」という返事が返ってきます。二人はキスを交わし、手を繋いだところで物語は幕を閉じました。
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みさきガチ評価・徹底考察

- 表情と沈黙だけで内面の揺れを運ぶ作画
- 自分の性を扱いながら、説教にも啓発にも寄らない語り口
- 恋愛の裏で進む、弟の執着というもう一本の線
- 1冊25〜35ページの分冊版のみで、読み終えるまでの総量は少ない
「みさきの総評」 ー 短さを欠点にしない、答えの出る6話
秘密を抱えた二人が言葉一つで壊れ、言葉一つで戻ります。全8冊という短さで結末まで届く密度が、この作品の強みです。
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もう一段深く読むための三つの視点
短い作品ほど、細部に持たされた意味は重くなります。読み返すと見え方が変わる部分を三つ取り上げます。

(一迅プラス https://ichijin-plus.com/comics/83561571090710 より引用)
一人称「俺」は、最初から仕掛けとして置かれていました
第1話の蓮利は、一人称「俺」を使う男子として登場しました。読者は空弦とまったく同じ前提のまま読み進めることになります。この設計があるからこそ、終盤の一場面が読者にも同じ衝撃として届きました。
ただし、この仕掛けは読者を驚かせるためだけのものではありません。蓮利は嘘をついているわけではなく、そう生きているだけです。「本当は女性だった」という言い方をした瞬間に取りこぼされてしまうものが、この作品の中心に置かれています。
空弦が受けた衝撃も、相手が女性だったこと自体より、自分が何に恋をしていたのか分からなくなったことに由来します。性別で恋を説明できない地点に、二人は最初から立たされていました。
弟・昏馬が本当に望んでいたものは何だったのか
空弦の家庭には、市長選を控えた父がいます。父が求めるのは「男らしい」息子であり、その基準に自分を合わせられないことが、空弦の日常を絶えず圧迫していました。家の中で唯一の味方に見えたのが、弟の昏馬です。
ところが最終話で、昏馬は「頼るべきは俺だったよね!」と兄に激昂します。それでも蓮利のもとへ向かう空弦を見て「なんで僕じゃないんだ」と崩れる姿は、心配というより独占に近いものでした。オザムの電話相手が昏馬であるかのような演出も、この読み方を後押しします。
この視点で読み返すと、第2話の「きちんとお別れしなよ」という助言の色も違って見えてくるはずです。兄のためを思った現実的な提案にも読めますし、兄を蓮利から引き離す一手にも読めます。二通りに受け取れる台詞を、序盤のうちから置いてあったわけです。
原案楽曲と、漫画が足したもの
原案は、てにをはの楽曲「ヴィラン」です。社会の側から一方的に「悪役」と名指しされる感覚を歌った曲で、漫画版はその感覚を二人の関係に落とし込みました。
楽曲が一人の独白であるのに対し、漫画は相手役を用意しています。悪役と呼ばれる側が二人いて、互いを見つける。ここが漫画版の追加分です。
空弦と蓮利は、世間の物差しでは同じ棚に置かれます。その棚の中で相手を選び直したのが結末で、原案の叫びに対する一つの返答になっています。全8冊を読み終えたあとで曲を聴き直すと、歌詞の受け取り方が変わるはずです。
登場人物・キャラクター分析
主要キャラクター
織生 空弦(おりお あずる)

本作の主人公で、市長選を控えた政治家の息子です。自分の性別が分からないまま、父が求める「男らしさ」との間で息を詰まらせています。繊細で気弱に見えますが、最後は自分の弱さを認めたうえで動く強さを見せます。
御堂 蓮利(みどう れんり)

廃ビルに居座る、街で一番自由な“彼”。口調は乱暴でも、空弦の変化にはすぐ気づく細やかさを持っています。誰にも明かしていない秘密を抱えており、それが暴かれたときに最も深く傷つく人物でもあります。
織生 昏馬(おりお くれま)

空弦の弟で、中学生。観察力が高く、兄の食欲が落ちたことにも真っ先に気づきます。序盤は父から兄をかばう味方として描かれますが、最終話でその印象は反転しました。「頼るべきは俺だったよね!」という激昂と、対立役との繋がりをうかがわせる演出が、彼の抱えていたものを示します。
滝登 オザム(たきと おざむ)

蓮利の過去を知る不良で、物語の対立役にあたる人物です。粗暴で容赦がなく、煽り立てるように相手の弱点を突きます。彼の一言が二人の関係を壊し、同時に空弦が本心を口にするきっかけにもなりました。
脇を固める重要人物たち
空弦の父
市長選を控えた政治家。世間体と「男らしさ」を重んじ、息子の交友関係にも口を出します。悪意で動いているわけではないぶん、空弦にとっては逃げ場のない圧力になっています。
蓮利の姉
第3話で蓮利と親しげに話しているところを空弦に目撃され、正体が明かされるのは第6話前半です。蓮利が男性として生きていることを知ったうえで、その生き方を受け止めてきました。彼女が語る蓮利の苦悩と覚悟が、最終話へ向かう空弦の背中を押します。
絵とテーマは絶賛、引っかかるのはジャンルの見え方
原案を知る人ほど刺さる、という声
感想でいちばん多いのは、原案楽曲の空気と作画が噛み合っているという評価です。曲を先に知っていた読者からは、絵柄とキャラクターデザインが好きだという声が繰り返し上がっています。あるレビューには、曲を聴いていなくても十分に入り込めた、という書き方もありました。
主人公の孤独に反応した感想も目立ちます。普通ではない自分を寂しく思う描写について、心を締め付けられるようだったと書いた読者がいました。設定の細かさを評価する意見も多く、コミックシーモアの平均評価は4.5前後で安定しています(2026年9月時点)。
「思っていた話と違った」という戸惑い
一方で、序盤の印象と実際の展開が違ったという戸惑いも見られます。男性どうしの恋として読み始めたところ、前提が変わったことに乗り切れなかった、という趣旨の感想です。この作品がどのジャンルの棚に置かれるのかは、たしかに一言では答えにくいところがあります。
結末がはっきりしているものが好きなので、続きそうな終わり方のこの作品は好みではない、というレビューもありました。ただしこれは配信の途中で書かれたものです。現在は最後の1冊まで配信が済んでいるため、いま読み始める人はこの不満に当たりません。
総量の少なさを惜しむ声も、少数ながらあります。裏を返せば、この二人をもっと読みたかったという期待の表れでもあります。
「ヴィラン」を一番お得に読む方法・まとめ
短いのに、読み終えたあと長く残る6話
「ヴィラン」が扱っているのは、恋の駆け引きではありません。自分の性をどう引き受けるか、という一点です。空弦にとっての苦しさは、誰かに嫌われることではなく、自分が何者なのか自分でも言えないことでした。
その空弦が最後に選んだのは、説明ではなく告白でした。分類が済んでいなくても、相手を好きだと言うことはできる。全6話が向かった先は、そういう地点です。世間の物差しで「悪役」の側に置かれた二人が、その棚の中で互いを見つけた話でもあります。
読み終えるまでにかかる時間は長くありません。それでも、恋の裏で進んでいた弟の線に気づいたあとで読み返すと、序盤の台詞の色が変わります。結末まで配信が済んでいるので、途中で待たされることもありません。
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初回購入70%OFFクーポン ー 合計2,000円分まで何冊でも
本作は1冊165円の分冊版なので(2026年9月時点)、全8冊をクーポンの枠内で購入できます。1話ずつの購入にも使えるうえ、有効期限は7日間あるため、どの話から買うか決めてから登録しても間に合います。
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