出版社勤務の兄・桂一と保育士の妹・晃。新婚夫婦を装い新天地で暮らし始めた2人の秘密とは?実は兄妹だった2人の複雑な感情と葛藤を繊細に描く、切なくも美しい恋愛ストーリー。社会の枠に収まらない愛の形に、読者の心は揺さぶられる。タブーに挑む緊張感と、日常の温かみが交錯する珠玉の物語。
「さらば、佳き日」はどこで読める?
COMIC itにて連載を開始し、その後はpixivコミックなどで連載。
8巻完結。
2023年6月12日からテレビ東京のドラマプレミア23で放送されました。
以下の方法で読むことができます
- 電子書籍:Kindle、eBookJapan、ブックライブなどで配信中。
多くの電子書籍ストアでは、無料で試し読みできます。 - 紙の書籍:全国の書店で発売中。オンライン書店でも購入可能です。
8巻完結
作品基本情報
タイトル:
「さらば、佳き日」
(さらば よきひ)
著者:茜田 千
ジャンル:
恋愛ドラマ
心理描写
家族関係
ターゲット読者層:
20代後半から30代の青年層
女性読者が中心
複雑な人間関係や倫理的な葛藤に興味がある読者
現代社会の規範や価値観に疑問を持つ読者
主要キャラクター 相関図
広瀬 晃(ひろせ あきら)
桂一の3歳年下の妹で、幼い頃から頼りない兄の世話を焼き続けてきたしっかり者です。保育士として働いており、その仕事ぶりは真面目で熱心です。
晃は兄である桂一に対して特別な感情を抱いており、それは単なる家族愛を超えたものです。中学生の頃から、その気持ちに気づき始めましたが、兄妹という関係性のため、その思いを抑え続けてきました。
高校時代、修学旅行先の京都で保育士の仕事に憧れを抱き、その道を選択します。大学進学を機に実家を出て一人暮らしを始めますが、これは桂一との距離を置くための決断でもありました。
広瀬 桂一(ひろせ けいいち)
桂一は、晃の3歳年上の兄です。出版社に勤務しており、特に絵本の制作に携わっています。性格はのんびりとしていて、やや頼りない面があります。
幼少期から晃と常に一緒に過ごしてきた桂一は、妹に対して特別な感情を抱いています。しかし、その感情の正体に気づくのは晃よりも遅く、長い間、兄妹としての愛情の範疇だと思い込んでいました。
高校時代は演劇部に所属し、大学では児童文学サークルに入るなど、創造的な活動に興味を持っています。就職後は、過酷な労働環境やパワハラに悩まされながらも、晃が家を出た後の寂しさから、なかなか実家を離れることができませんでした。
森 珠希(もり たまき)
晃の親友である女性です。彼女の人生は、複雑な家庭環境によって形作られています。母親が若い男性と蒸発して以来、父親と二人暮らしをしています。
中学時代、珠希はバドミントン部の先輩から誘われて危険な目に遭いそうになった経験があります。この出来事は彼女に深い影響を与え、その後の人間関係や恋愛観に影響を及ぼしています。
珠希は晃と同じ高校に進学し、その後も交流を続けています。しかし、晃が突然姿を消したことで深く悩み、彼女を探し続けることになります。この行動は、珠希の友情の深さと、失った母親の代わりに大切な人を守りたいという無意識の願望を表しています。
珠希は、牧嶋剛に対して特別な感情を抱いていますが、それを素直に表現できずにいます。この片思いの苦しみは、物語全体のテーマである「叶わない恋」と呼応しています。
牧嶋 剛(まきしま ごう)
牧嶋剛は、森珠希の幼なじみであり、広瀬桂一の友人です。外見的には女性からモテる男性として描かれていますが、同性愛者を自称しています。
高校時代、剛は女子生徒からの告白を断ったことがきっかけで、同性愛をカミングアウトしました。しかし、周囲はそれを本気にしておらず、むしろそれをネタとして楽しんでいる様子が描かれています。
実は剛は桂一に対して特別な感情を抱いています。しかし、その思いを直接的に表現することはなく、親友としての立場を貫き通しています。
広瀬 奈緒美
晃と桂一の母親です。アパレルメーカーに勤務しており、もともとバイヤーとして海外を飛び回る生活を送っていました。しかし、晃が大学入学後に異動となり、広報担当になったことで自宅での生活を送るようになります。
自身の理想の世界で生きることに固執する傾向があります。仕事を最も大切なものとし、子育てにはあまり関与していませんでした。特に晃に対しては冷淡な態度を取ることが多く、この態度の背景には彼女自身の複雑な過去があることが示唆されています。
奈緒美は、親からひどい扱いを受けた経験を持っています。そのため、自身も子供を持つことに対して歪んだ価値観を持っているようです。桂一を家を継がせるため、晃を老後の面倒を見させるために産んだという考えを持っており、これは彼女自身が受けた扱いの影響を強く受けています。
用語集
夫婦ごっこ
実の兄妹である桂一と晃が、新婚夫婦を装って始めた生活のことです。二人は互いに惹かれ合っていますが、兄妹という関係のため、本当の夫婦にはなれません。そのため、表向きは夫婦として暮らしながら、実際には兄妹としての線引きを保つという複雑な関係を指します。
佳き日
このマンガのタイトルにも使われている言葉で、通常は「良き日」と書きますが、あえて「佳き」という字を使っています。桂一と晃にとっての「佳き日」とは、兄妹という関係を超えて一緒にいられる日々を指していると考えられます。しかし、それは社会的に認められない関係であるため、「さらば」と別れを告げなければならない日でもあります。
月虹社
桂一が就職した絵本専門の出版社の名前です。「月」は桂一、「虹」は晃(光)を表しているとも解釈でき、二人の運命的な結びつきを象徴しているとも考えられます。
伝屋
桂一と晃が富山県で滞在することになった古民家のレストハウスです。ここで二人は「夫婦」として生活を始めることになります。伝屋の経営者夫婦や息子など、周囲の人々との交流を通じて、二人の関係性が試されることになります。
あらすじ
新婚夫婦の秘密
福井県のとある地方都市に引っ越してきた広瀬桂一と広瀬晃。新婚夫婦として周囲に紹介されていますが、実は彼らは兄妹だったのです。出版社に勤める桂一と保育園で働く晃は、穏やかな日々を過ごしていますが、その裏には誰にも言えない秘密を抱えていました。二人の関係性や過去が徐々に明らかになっていく中で、兄妹としての絆と恋愛感情の間で揺れ動く二人の姿が描かれていきます。
晃の想いの芽生え
高校生時代、桂一が同級生の女子高生タカハシを家に連れてきたことがきっかけで、晃は自分の中にある桂一への特別な思いに気づきます。しかし、それは兄妹という関係性ゆえに決して実ることのない、切ない片思いでした。
晃はその思いを胸に秘めたまま、誰にも打ち明けることなく過ごしていきます。
剛の秘めた想い
桂一の親友である牧嶋剛は、高校時代に桂一が晃のことを特別に思っていることに気づきます。そして、同時に自分自身も桂一に対して恋愛感情を抱いていることを自覚します。しかし、剛は自分の気持ちを抑え、桂一の友人として接し続けます。
別れと再会
晃は大学進学を機に、桂一と離れて一人暮らしを始めることを決意します。互いへの想いを抑えきれなくなった二人は、一度は離ればなれになります。
しかし、時が経ち、社会人となった桂一は仕事に行き詰まり、晃を探し始めます。そして、ついに再会を果たした二人は、お互いへの想いを確認し合い、新たな関係へと踏み出すことを決意するのです。
偽りの夫婦生活
再会後、桂一と晃は富山県へ移り住み、表向きは夫婦として生活を始めます。しかし、実際には兄妹である二人の関係は、常に罪悪感と幸福感の間で揺れ動きます。周囲の人々との関わりの中で、嘘をつき続けることへの葛藤や、本当の関係を隠し通すことの難しさに直面していきます。二人の「夫婦ごっこ」は、幸せそうに見えながらも、常に危うさを孕んでいるのです。
珠希の苦悩
晃の親友である珠希は、就活の失敗や家族との問題に悩みながら、突然姿を消した晃を心配します。珠希自身も、家族を捨てた母親との複雑な関係に苦しんでいます。そんな中、珠希は晃の行方を必死に探し始めます。
ハンナとの出会い
富山での生活中、桂一は絵本作家のハンナと出会います。ハンナとの交流は、桂一と晃の関係に新たな波紋を投げかけます。晃はハンナと桂一の関係を誤解し、心を痛めます。
この出来事は二人の関係を見つめ直すきっかけともなり、お互いの気持ちをより深く理解することにつながっていきます。
母親との対峙
桂一と晃の母親は、二人の関係に気づき始めます。母親は自身の複雑な過去や価値観から、二人の選択を受け入れることができません。この対立は、桂一と晃が自分たちの関係と向き合い、決断を下す重要な転機となります。家族との葛藤を通じて、二人の絆はさらに強まっていくのです。
剛の決意
福岡への転勤が決まった剛は、長年抱え続けてきた桂一への想いに決着をつけようと決意します。
剛の行動は、物語全体に大きな影響を与え、登場人物たちの関係性に変化をもたらします。剛の決断は、自分の気持ちと向き合うことの大切さを物語っています。
真実の告白
様々な出来事を経て、桂一と晃はついに互いへの想いを正直に伝え合います。兄妹という立場を超えて、二人で生きていく決意を固めるのです。この告白シーンは、物語の中で最も感動的で重要な場面の一つとなっています。
二人の決断は、周囲の理解を得られないかもしれませんが、自分たちの幸せを選ぶ勇気を持ったことを示しています。
結末
物語は、桂一と晃が互いへの想いを確認し、新たな人生を歩み始めるところで幕を閉じます。
二人の選択が正しいかどうかは分かりませんが、自分たちの幸せを追求する決意を固めたことは確かです。タイトルの「さらば、佳き日」には、過去の慣習や常識に別れを告げ、自分たちなりの幸せを見つける決意が込められているようです。
見どころ
兄妹の切ない恋
この作品の一番の見どころは、なんといっても桂一と晃の兄妹愛です。普通なら許されない関係なのに、お互いを想い合う気持ちが切なくて胸が痛くなります。特に、晃が「私と子作りしませんか?」と桂一に迫るシーンは衝撃的でした。二人の関係性がどんどん変化していく様子が丁寧に描かれていて、読んでいてドキドキが止まりません。
登場人物たちの複雑な心情
桂一と晃以外のキャラクターたちの心情描写も素晴らしいです。特に、桂一の親友である剛の切ない片思いや、晃の親友である珠希の複雑な家庭環境など、脇役たちの物語も深みがあって興味深いです。
それぞれのキャラクターが抱える悩みや葛藤が丁寧に描かれていて、読者の共感を呼びます。
繊細な心理描写
作者の茜田千さんの繊細な心理描写には驚かされます。特に、桂一と晃が互いの気持ちに気づきながらも、兄妹という立場ゆえに素直になれない様子が細やかに描かれています。二人の表情や仕草、内心の独白など、言葉以上に多くのことを伝えてくれる描写力に引き込まれます。
美しい絵柄と象徴的な表現
絵柄が本当に美しいんです。特に、桂一と晃の表情や仕草が繊細で、二人の心情がよく伝わってきます。また、象徴的な表現も印象的です。例えば、七夕の短冊に晃が「桂ちゃんとずっと夫婦でいられますように」と書くシーンは、二人の関係性を象徴していて心に残ります。
社会的タブーへの挑戦
兄妹愛というタブーなテーマに真正面から取り組んでいる点も、この作品の大きな特徴です。社会的に許されない関係に悩む二人の姿を通して、「正しさ」や「幸せ」の定義について考えさせられます。読者の中には違和感を覚える人もいるかもしれませんが、それでも二人の純粋な愛に心を揺さぶられずにはいられません。
タブーに挑戦しながらも繊細な心理描写と美しい絵柄で読者の心を掴む、深みのある作品です。社会通念や倫理観と向き合いながら、真の幸せとは何かを考えさせてくれる、読む価値のある漫画だと思います。
ドラマ化について
放送情報
『さらば、佳き日』は、2023年6月12日から7月31日まで、テレビ東京系列の「ドラマプレミア23」枠にて放送された連続ドラマです。全8話で、毎週月曜日23:06から23:55に放送されました。
キャスト
主演は山下美月と鈴木仁が務めました。山下美月は広瀬晃役を、鈴木仁は広瀬桂一役を演じています。その他の主要キャストには、加藤小夏(森珠希役)、伊藤あさひ(牧嶋剛役)、小沢真珠(広瀬奈緒美役)などが名を連ねています。
スタッフ
原作は茜田千の同名漫画で、脚本は川﨑いづみが担当しました。監督は柴山健次、祖山聡、坂梨有剋の3名が務めています。チーフプロデューサーは大和健太郎(テレビ東京)、プロデューサーは中島叶(テレビ東京)、祖山聡(PROTX)、難波裕介(PROTX)が担当しました。
音楽
オープニングテーマは珀の「糠星の備忘録」、エンディングテーマは泡く、脆く。の「昨日の僕より君を唄う」が使用されました。劇中音楽は山田航平が担当しています。
制作・製作
制作はテレビ東京とPROTXが担当し、製作著作は「さらば、佳き日」製作委員会が行いました。
ストーリー
ドラマは、出版社に勤める広瀬桂一と保育士の広瀬晃という兄妹が、新婚夫婦を装って同居する姿を描いています。原作漫画の世界観を忠実に再現しつつ、テレビドラマならではの演出や表現で、兄妹の複雑な感情や周囲の人々との関係性を描き出しています。
感想・考察
禁断の愛が生み出す葛藤と切なさ
最初に感じたのは深い切なさです。兄妹という血のつながりがありながら、恋愛感情を抱いてしまった桂一と晃の姿に胸が締め付けられました。社会的には許されない関係だと分かっていながらも、互いへの想いを断ち切れない二人の苦悩が痛いほど伝わってきます。
特に印象的だったのは、晃が「幸せになれなくてもいいんです」と言うシーンです。
この言葉には、桂一との関係が社会的に認められないことを理解しつつも、それでも一緒にいたいという強い想いが込められています。この覚悟が、読者の心に深く刺さるんです。
一方で、この作品は単純な禁断の恋物語ではありません。桂一と晃を取り巻く人々の人間関係や、それぞれの抱える問題にも焦点が当てられています。例えば、珠希の家族問題や剛の片思いなど、登場人物たちがそれぞれ複雑な事情を抱えているのが分かります。
この作品は「幸せとは何か」を問いかけているように感じました。社会的な正しさと個人の幸せの間で揺れ動く登場人物たちを通して、私たち読者も自分自身の価値観を見つめ直すきっかけをもらえるんじゃないでしょうか。
家族の形と愛情のあり方
「家族」という概念について深く考えさせられました。桂一と晃の関係は確かに社会的には認められないものですが、二人の絆の強さや互いを思いやる気持ちは、むしろ理想的な家族像のように感じられるんです。
例えば、晃が幼い頃から桂一の世話を焼き、頼りない兄を支え続けてきた様子は、まるで母親のような愛情深さを感じさせます。一方で、桂一も晃のことを何よりも大切に思い、彼女のために変わろうとする姿勢には、家族としての強い絆を感じます。
しかし同時に、二人の実の母親である奈緒美の存在も見逃せません。彼女自身も複雑な家庭環境で育ち、その影響が子育てにも及んでいることが示唆されています。この設定は、家族の在り方や親子関係の難しさを浮き彫りにしているように思います。
「家族とは血のつながりだけで決まるものなのか」という問いを投げかけているように感じました。社会的な常識や倫理観と、個人の感情や絆の間で揺れ動く登場人物たちを通して、私たち読者も「家族」や「愛情」について改めて考えさせられるんです。
社会の価値観と個人の幸せの狭間で
強く感じたのは、社会の価値観と個人の幸せの間で揺れ動く登場人物たちの姿です。特に、主人公の桂一と晃の関係性は、この葛藤を最も鮮明に表しています。
兄妹という血のつながりがありながら恋愛感情を抱いてしまった二人は、常に社会の目を気にしながら生きていかなければなりません。例えば、新天地で「新婚夫婦」として暮らし始めた時の緊張感や、周囲の人々との関わりの中で感じる罪悪感など、二人の苦悩が細やかに描かれています。
しかし、この作品は単に「禁断の恋」を美化しているわけではありません。むしろ、「正しさ」や「幸せ」の定義について読者に問いかけているように感じます。社会的に認められない関係であっても、そこに本当の愛情があるのならば、それは尊重されるべきなのでしょうか。それとも、社会の秩序を守ることの方が大切なのでしょうか。
この作品は簡単な答えを提示しているわけではありません。むしろ、読者一人一人に「幸せとは何か」「正しい生き方とは何か」を考えさせる、深い問いかけをしているように思います。そして、その問いに対する答えは、読者それぞれの価値観や経験によって異なるのかもしれません。
読者の声
とても穏やかな生活とその中で見え隠れする緊張
COMIC it連載作品を読むのは初めてかも知れません。とある秘密を抱えた「新婚夫婦」のお話で、彼らの「現在」と、そこに至るまでの中学・高校・大学時代の出来事が、主要な登場人物たちのそれぞれの視点で語られていくお話です。
いかにもBLジャンルも描いている作家さんらしく、人間の心の機微を描くことを重視した作品で、人物の表情やセリフはもちろん、床に落ちたモノや窓の外の雨なんかが仄めかしや比喩的表現として活用されているのがいいかんじ。久しぶりに買ったその日に繰り返し読みをしてしまいました。
Amazonより引用
心が揺り動かされる
兄のヘタレっぷりが見事に描かれ、こんな奴なのになぜ晃は...。といった感じです。
まだ描かれていない小さい頃のエピソードがあるのかもしれませんが、それでも晃の好きというずっと変わらぬ思いに胸が熱くなります。
タイトル「さらば、佳き日」には良くない結末のイメージがするのですが、二人で、いつまでも楽しく暮らしてもらいたいと願っています。
続きがあるから生きていける。今の時代に生きていて本当に良かったと思えるマンガです。
作者に感謝です。
Amazonより引用
後半は著者の迷いが感じられる
総じて素晴らしい作品で何度も読み返しています。もともともはネカフェで既刊3巻まで読んで「こりゃ面白い!次を早く読みたい!」と思ってそのまま忘れてました。このたび8巻完結していると知り、改めて第1巻から一気に通読しました。何度読んでも1巻のお話の作り方がすごく好きで何度も読み返すため、なかなか2巻に進みません。
茜田先生は恐らくかなり完全に近いプロットを持って3巻程度の尺で完成させる目論見で作品を書き始めたに違いありません。それは作品タイトルからも伺えます。ただ、先生の予想を遥かに越えて作品の尺が長くなったために、新たに付け加えた設定や登場人物を活かすことが出来なかったように感じます。例えばハンナは兄妹カップルにひび割れを生じさせる重要な役回りなのですが、無難な人物像過ぎた気がします。彼女自身のトラウマが桂一に重なりはしますが、結局のところ桂一との絡みが「取ってつけたような誤解ラブシーン」だけで人物描写や関係性の掘り下げが不十分なため、エピソードの底が浅くなってしまった感があります。
母親が突然晃に執着していく展開も突然加えられた設定感が否めません。そもそも桂一を特別に愛していたとは物語の前半からは読み取れませんでした。愛してやまない息子が自分から離れたのなら、代わりを晃に求めることは理解出来ますが、それでもやはり唐突な感じがします。恐らく茜田先生も担当編集さんも悩まれたと思いますが、不躾ながら長編のストーリーを書ききる力量が少しばかり不足していたんだろうと思います。
誤解してほしくないのですが、私は「さらば、佳き日」を否定しているわけではないのです。大好きな作品ですし、今後も折を見ては読み返すであろう作品です。ただより良い作品に仕上げることは出来たはずだろうと思います。恐らく、一番悔しい思いをされているのは茜田先生ご本人及び担当編集さんではないかと思う次第です。次回作で茜田先生のお話を早く読みたいと思います。
Amazonより引用
「さらば、佳き日」をお得に読むには?
無料・試し読み
eBookJapanで試し読みできます。
試し読みの利点:
- 作品の世界観や魅力を事前に体験できます
- 作者の独特な表現や画力を直接感じ取れます
- 本編購入の判断材料として活用できます
お得に購入
eBookJapanでお得に購入できます。
キャンペーン、割引セールをチェック
会員登録は無料!初回は70%オフクーポンが貰えて3000円分無料に!
Tポイント獲得や、ポイント還元などがお得なキャンペーンが多数!
毎週金曜日のpaypayキャンペーンでさらにお得になる!
クーポンを利用すればまとめ買いでもお得に購入できる
\ 初回ログインで70%OFF!/
作者について
茜田 千
あかねだ ゆき
漫画家。2015年から、KADOKAWA「COMIC it」および「Comic Walker」にて『さらば、佳き日』を連載。その他の作品に『ユア・マイ・サン』など。
作者のSNSリンク
「さらば、佳き日」まとめ
- 連載状況:「さらば、佳き日」は「COMIC it」に2015年vol.1から掲載されていた作品
- 作者:茜田 千
- コミックス情報:全8巻完結
- 読むには:割引クーポンを使えば、eBookJapanでお得に読める
- 関連情報:2023年6月12日から7月31日まで、テレビ東京系列の「ドラマプレミア23」枠にてドラマ放送。
- 作品の魅力:兄妹の禁断の恋を繊細かつ丁寧に描いた心揺さぶるラブストーリー。日常の中に潜む切なさや葛藤が巧みに表現されている
- キャラクター:頼りない兄・桂一としっかり者の妹・晃を中心に、周囲の人物も含めて深みのある人物描写がなされている
- テーマ性:禁断の恋、家族の在り方、社会の常識と個人の幸せの対立など、重厚なテーマを扱っている
- ジャンルの新規性:兄妹恋愛という題材を真正面から描き、社会通念に挑戦するような内容。恋愛マンガの中でも独特の位置づけにある
- 読者の感想:切ない、辛い、でも引き込まれるという意見が多い。キャラクターの心情描写や繊細な表現に高評価がある一方で、テーマの重さに戸惑う声もある