司馬遼太郎の国民的ベストセラー「竜馬がゆく」のコミカライズ。鈴ノ木ユウが描く坂本竜馬の波乱万丈の人生を徹底解説。幕末の激動期を生きた竜馬の成長、剣術修行、そして明治維新への道のりを、迫力あるアクションシーンと共にお届け。歴史ファン必見の大河コミック。
「竜馬がゆく」はどこで読める？
「竜馬がゆく」最新話は週刊文春にて連載中。
既刊9巻。おおよそ3ヶ月ペースでリリースされています。
以下の方法で読むことができます
- 電子書籍：Kindle、eBookJapan、ブックライブなどで配信中。
多くの電子書籍ストアでは、無料で試し読みできます。 - 紙の書籍：全国の書店で発売中。オンライン書店でも購入可能です。
作品基本情報
タイトル：「竜馬がゆく」
原作：司馬 遼太郎
漫画：鈴ノ木 ユウ
ジャンル：
歴史
大河コミック
ターゲット読者層：
幕末の歴史や坂本竜馬に興味がある10代後半から40代の読者
登場人物
坂本 竜馬（さかもと りょうま）
佐藩の郷士の家に生まれた幕末の志士です。幼少期は泣き虫で、12歳になっても寝小便の癖が治らず、勉強もできない子供でした。しかし、亡くなった母の期待に応えるため、強い男になろうと決意します。
小栗流日根野道場に入門後、めきめきと剣術の腕を上げ、別人のようなたくましい青年に成長します。19歳で小栗流の目録を手にし、剣術修行のために江戸へと旅立ちます。
竜馬は人を惹きつける魅力的な性格の持ち主で、多くの人々から慕われます。特に、女性よりも男性が惚れる傾向があるようです。また、好奇心旺盛で、新しいものや知識に対する興味が強いです。
物語が進むにつれて、竜馬は剣術の達人としてだけでなく、幕末の政治情勢にも関心を持ち始めます。彼の柔軟な思考と行動力は、後の明治維新において重要な役割を果たすことになります。
坂本 乙女（さかもと おとめ）
竜馬のすぐ上の姉です。母親代わりとして竜馬の教育を担当し、厳しくも愛情深く弟を育てます。乙女は竜馬に対して「たくましく育ってほしい」という生前の母の期待を伝え、竜馬の成長に大きな影響を与えます。
乙女は竜馬を叱咤激励しながらも、常に弟を見守り、支え続けます。彼女の存在は、竜馬が困難を乗り越え、成長していく上で重要な役割を果たしています。
武市 半平太（たけち はんぺいた）
土佐藩の「白札」という、郷士の上だが上士の最下級という独特の階級に属する人物です。竜馬とは年齢差がありますが、同じ志を持つ仲間として描かれています。
半平太は「瑞山塾」という塾を開き、土佐藩内で勤王倒幕の思想を広めようとします。彼は愛妻家でもあり、妻を大切にする一面も持っています。
物語が進むにつれて、半平太は薩摩、長州との連合を模索し、土佐藩の藩論を勤王倒幕へ統一しようと奔走します。しかし、参政の吉田東洋との対立や、土佐藩の厳しい身分制度に苦悩する姿も描かれています。
桂 小五郎（かつら こごろう）
長州藩の武士で、神道無念流・練兵館塾頭を務める人物です。竜馬より5歳年下の23歳で登場し、文武両道の俊才として知られています。
小五郎は8歳の時に武家の桂家に養子に入り、その後、吉田松陰に学びます。彼は非常に聡明で、わずか1年で練兵館の塾頭になるほどの実力の持ち主です。
竜馬との出会いは、長州陣地での視察中に起こります。最初は敵対的な関係から始まりますが、互いの志の高さに惹かれ、やがて意気投合します。二人は日本の未来について語り合い、生涯の盟友となっていきます。
小五郎は、その後の歴史において重要な役割を果たすことになる人物であり、竜馬との友情は物語の重要な要素となっています。
岡田 以蔵（おかだ いぞう）
土佐藩の郷士の家に生まれた人物です。彼の遠祖は伊予国伊予郡岡田村の出身とされています。
以蔵は物語の中で不穏な存在として描かれており、その性格や行動は他の登場人物とは一線を画しています。竜馬とは幼少期から知り合いであり、物語の中で何度か遭遇します。
彼の存在は、幕末という激動の時代における暗い側面を象徴しているようです。以蔵の行動や思想は、当時の社会の矛盾や葛藤を反映しており、物語に緊張感をもたらす重要な役割を果たしています。
お田鶴（おたず）
土佐藩家老の福岡宮内の妹として登場します。土佐で一番の美人だと噂に高い女性です。
彼女は女正月の日に正体を隠してお詣りしていた時、偶然坂本竜馬と出会います。竜馬の素直で飾らない性格に惹かれ、二人の間に初恋の感情が芽生えます。
しかし、お田鶴は土佐藩家老の妹であり、竜馬は郷士の身分です。この身分差は二人の恋の大きな障害となります。お田鶴と竜馬の関係は、土佐藩の厳しい身分制度を象徴する物語の一つとして描かれています。
用語集
郷士
土佐藩における特殊な身分階級の一つです。長曾我部氏の遺臣とその子孫たちがこの身分に属しています。上士と呼ばれる山内家の家臣たちよりも下位に位置づけられ、厳しい差別を受けていました。坂本竜馬もこの郷士の家に生まれています。郷士たちは上士から軽んじられ、弾圧されながら生きてきた歴史があり、この身分制度が物語の重要な背景となっています。
上士
土佐藩における高位の武士階級です。山内家とともに土佐にやってきた家臣たちとその子孫がこの身分に属しています。郷士よりも上位に位置し、藩内で大きな権力を持っていました。上士と郷士の間には大きな身分差があり、この差別的な制度が物語の中で様々な軋轢や葛藤を生み出す要因となっています。
白札
土佐藩特有の身分階級で、郷士の上ではあるものの、上士の最下級に位置する中間的な立場です。武市半平太がこの身分に属しています。白札は郷士よりは藩に対する愛着が強い傾向にありますが、上士と郷士の間で板挟みになることも多く、複雑な立場に置かれています。
土佐勤王党（とさきんのうとう）
武市半平太が構想し、結成した政治団体です。土佐藩の郷士三百人で構成され、藩論を勤王倒幕へまとめることを目的としています。この団体の活動は、土佐藩内での政治的な動きの中心となり、物語の重要な要素の一つとなっています。しかし、藩の重鎮である吉田東洋らの反対にあい、その活動は困難を極めることになります。
北辰一刀流（ほくしんいっとうりゅう）
江戸時代後期に千葉周作が創始した剣術の流派です。坂本竜馬が江戸で修行した剣術の流派であり、物語の中で重要な位置を占めています。竜馬は江戸の千葉道場で修行し、その腕前を認められて塾頭にまで上り詰めます。この剣術の修行が、竜馬の人格形成や人脈形成に大きな影響を与えています。
寝待ノ藤兵衛（ねまちのとうべえ）
物語に登場する架空の人物です。竜馬に命を救われ、子分となる泥棒という設定です。藤兵衛は諜報活動を行う能力を持っており、物語に彩りを添える重要なキャラクターの一人です。彼の存在は、当時の社会の裏側や、情報の重要性を示す役割を果たしています。
女正月（おんなしょうがつ）
1月15日頃の行事を指します。この日、お田鶴は正体を隠してお詣りに出かけ、偶然坂本竜馬と出会います。この出会いが、二人の初恋のきっかけとなります。女正月という特別な日に設定されたこの出会いは、物語の中で重要なロマンスの始まりを象徴しています。
安政の大獄（あんせいのたいごく）
1858年から1859年にかけて、幕府が尊王攘夷運動の関係者を一斉検挙した出来事を指します。この事件は、物語の中で重要な歴史的背景として登場します。多くの志士たちが捕らえられ、処罰されたこの出来事は、竜馬たち若い志士たちの行動や思想に大きな影響を与えています。
桜田門外の変（さくらだもんがいのへん）
1860年3月に起こった歴史的出来事で、水戸藩の浪士たちが江戸城桜田門外で大老井伊直弼を暗殺した事件を指します。この事件を契機に、日本の政治情勢が大きく動き始めます。物語の中では、この事件をきっかけに薩摩・長州・土佐の三藩の若き志士たちによる会議が江戸で行われ、歴史の流れが大きく変わっていく様子が描かれています。
あらすじ
泣き虫竜馬の成長
12歳になっても寝小便の癖が治らず、勉強もできない泣き虫だった坂本竜馬は、近所の子どもたちから「寝小便（よばあ）ったれ」と呼ばれていました。
幼少期に母を亡くしてから、ふさぎこむことが多かった竜馬でしたが、すぐ上の姉・乙女に叱咤激励され、「たくましく育ってほしい」という生前の母の期待に応えることを心に決めます。
小栗流日根野道場に入門後、竜馬はめきめきと剣術の腕を上げ、別人のようなたくましい青年に成長していきます。19歳で小栗流の目録を手にした竜馬は、剣術修行のために江戸へと旅立つことになります。
江戸での修行と出会い
江戸に到着した竜馬は、北辰一刀流の名門・千葉道場に入門します。そこで竜馬は、道場の跡取り息子で人のいい千葉重太郎と妹の千葉さな子から気に入られます。竜馬の素直で飾らない性格が、周囲の人々を惹きつけていくのです。また、江戸滞在中に竜馬は、土佐藩家老福岡家の姫・お田鶴様との初恋を経験します。身分差のある二人の恋は、土佐の厳しい身分制度が障害となります。
さらに、オリジナルキャラクターの寝待ノ藤兵衛という盗賊に子分にしてと頼まれるなど、様々な人々との出会いを通じて竜馬は成長していきます。
黒船来航と時代の変化
竜馬が江戸で修行を重ねる中、1853年に浦賀沖にペリー率いる黒船が来航します。この出来事は日本中に衝撃を与え、幕末の動乱期の始まりを告げるものとなります。
竜馬は黒船を一目見ようと、諸藩の警備の合間をぬって見物に行きます。
この経験は、竜馬の世界観を大きく広げ、後の彼の行動に影響を与えることになります。黒船来航を機に、日本は開国へと向かい、竜馬もまた時代の大きなうねりの中に身を置くことになるのです。
桂小五郎との運命的な出会い
竜馬は長州藩の桂小五郎と出会います。桂は長州藩士で神道無念流・練兵館塾頭の男性で、文武両道の俊才として知られていました。二人は初対面で斬り合いとなりますが、その後意気投合し、生涯の盟友となる関係を築きます。
桂との出会いは竜馬の人生に大きな影響を与え、後の彼の政治活動の基盤となっていきます。二人は日本の未来について語り合い、共に世の中を変えていこうという志を抱くようになります。
土佐への帰郷と身分制度の壁
江戸での修行を終えた竜馬は、土佐に帰郷します。しかし、故郷で竜馬を待っていたのは、厳しい身分制度の現実でした。土佐藩では、上士（山内家とともに土佐に来た者の子孫）と郷士（長曾我部の旧臣とその子孫）の間に大きな身分差があり、竜馬たち郷士は上士から軽んじられ、弾圧されながら生きていました。
現実に直面した竜馬は、「土佐は故郷と呼ぶには冷たすぎる」と感じ、土佐藩の閉鎖的な体制に疑問を抱くようになります。
池田寅之進の悲劇
土佐に帰郷した竜馬は、土佐藩を揺るがす大きな事件に遭遇します。上士の鬼山田という者が酔った勢いで中平忠一郎という郷士を無礼打ちにしたのです。駆けつけた忠一郎の兄・池田寅之進は腕が立ち、「弟の仇」と鬼山田を斬り殺してしまいます。し
かし、土佐藩の厳しい身分制度のもとでは、上士が郷士を斬り捨てても許されるのに対し、郷士が上士を斬ることは許されません。
結果として、池田寅之進は切腹を命じられてしまいます。この事件は竜馬に大きな衝撃を与え、土佐藩の不条理な身分制度に対する彼の怒りと疑問をさらに深めることになります。
武市半平太との出会いと土佐勤王党
竜馬は土佐で武市半平太と出会います。武市は既に帰国して「瑞山塾」という塾を開いており、土佐藩の政治改革を目指していました。武市は竜馬に「土佐勤王党」の結成を持ちかけます。これは土佐郷士三百人で作る組織で、土佐の藩論を勤王倒幕へまとめることを目的としていました。
しかし、武市の構想は土佐藩の重鎮である参政・吉田東洋によって退けられてしまいます。この挫折は武市を苦しめ、後に彼を過激な行動へと駆り立てることになります。
吉田東洋暗殺計画
武市半平太は、土佐勤王党の結成が阻まれたことで焦りを感じ始めます。特に、参政の吉田東洋の存在が大きな障害となっていました。武市は仲間の那須信吾に「東洋を殺してくれないか」と持ちかけます。
この計画を知った竜馬は大反対します。暗殺が成功しても、その後の土佐藩の混乱を危惧したためです。しかし、武市は計画を進めようとします。
この出来事は、武市と竜馬の間に溝を作り、二人の進む道を分けることになります。
桜田門外の変と幕末の動乱
1860年3月、江戸城桜田門外で大老井伊直弼が暗殺される事件（桜田門外の変）が起こります。この事件を契機に、薩摩・長州・土佐の三藩の若き志士たちによる会議が江戸で行われます。この会議には長州の桂小五郎、久坂玄瑞、高杉晋作、薩摩の樺山三円、そして土佐の武市半平太、中岡慎太郎らが参加しました。彼らは各藩の藩論を勤王倒幕に統一すべく、それぞれの藩へ戻っていきます。
幕末の動乱期を本格的に始動させ、竜馬たち志士たちの活動にも大きな影響を与えることになります。
竜馬の脱藩への道
土佐藩の閉鎖的な体制や厳しい身分制度に疑問を感じ続けていた竜馬は、次第に脱藩を考えるようになります。彼は河田小竜という土佐藩の絵師から、ジョン万次郎の取り調べで得た英語や西洋事情などの知識を学びます。この新しい知識は竜馬の視野をさらに広げ、日本の未来について深く考えるきっかけとなります。
土佐藩の枠にとらわれない竜馬の考え方は、彼を脱藩へと導いていきます。竜馬は、より大きな舞台で日本の未来のために行動することを決意するのです。
今後の展望
竜馬の脱藩とその後の活動が描かれると予想されます。
竜馬は土佐を出て、薩摩藩や長州藩の志士たちと交流を深め、幕末の政治情勢に深く関わっていくことでしょう。特に、薩長同盟の仲介や海援隊の設立、そして大政奉還への働きかけなど、竜馬の重要な活動が描かれると考えられます。
また、竜馬と親交のあった中岡慎太郎や後藤象二郎との関係、そして最後の恋人となるお龍（おりょう）との出会いなども描かれる可能性があります。
さらに、幕末の重要な出来事である禁門の変や長州征伐なども物語の背景として登場するでしょう。竜馬の活動と共に、日本が近代国家へと変貌していく過程が描かれていくものと期待されます。
見どころ
幼少期の竜馬 – 意外な一面
「竜馬がゆく」の最大の魅力は、坂本竜馬の意外な一面から始まる人間的成長です。幼少期の竜馬が泣き虫で寝小便たれだったという設定は、多くの読者を驚かせます。しかし、この意外性こそが竜馬の人間味を引き出し、読者の共感を呼ぶのです。家族や周囲の人々の愛情を受けながら成長していく姿は、とてもリアルで魅力的です。鈴ノ木ユウ先生の素朴な絵柄が、この人間味溢れる竜馬を見事に表現しています。
剣術シーンの躍動感
本作の見どころの一つは、迫力ある剣術シーンです。特に、桂小五郎との剣術試合は圧巻です。鈴ノ木先生の絵が、動きのある場面を見事に描き出し、まるで目の前で繰り広げられているかのような臨場感を与えます。読者の中には、「バガボンド」を思わせる躍動感に息を呑む人も多いでしょう。この剣術シーンは、竜馬の成長と強さを視覚的に伝える重要な要素となっています。
幕末の激動を生きる – 歴史との交差
「竜馬がゆく」の魅力は、竜馬の個人的な成長と幕末の激動する時代背景が見事に融合している点です。黒船来航や桜田門外の変など、歴史的な大事件が次々と描かれ、その中で竜馬が何を思い、どう行動するのかが丁寧に描かれています。これにより、読者は単なる歴史の勉強ではなく、まるでタイムスリップしたかのような臨場感を味わえます。歴史好きの読者にとっては、この作品を通じて幕末の空気を肌で感じられる点が大きな魅力となっています。
人間関係の深み – 武市半平太との友情
本作では、竜馬を取り巻く人々との関係性が丁寧に描かれています。特に、武市半平太との友情は印象的です。二人の関係性の変化や、互いに影響し合う様子は、人間ドラマとしても非常に興味深いものです。また、中岡慎太郎との出会いや、お田鶴をはじめとする女性キャラクターたちとの関わりも、竜馬の人間性を多面的に描き出しています。これらの人間関係を通じて、竜馬の魅力がより一層引き立てられているのです。
「土佐は故郷と呼ぶには冷たすぎる」- 竜馬の葛藤
印象的なセリフの一つに「土佐は故郷と呼ぶには冷たすぎる」があります。このセリフは、竜馬の内面的な葛藤を端的に表現しています。土佐藩の厳しい身分制度や、改革の難しさに直面する竜馬の姿は、読者の心に強く響きます。故郷への複雑な思いと、それでも日本の未来を変えたいという強い意志。この葛藤こそが、竜馬という人物の魅力を一層深めているのです。
結論として、「竜馬がゆく」は単なる歴史マンガの枠を超えた傑作です。人間的な魅力にあふれる竜馬の成長、迫力ある剣術シーン、激動の幕末を生きる人々の姿。これらすべてが見事に調和し、読者を幕末の世界へと引き込みます。歴史好きはもちろん、人間ドラマが好きな方にも強くおすすめできる作品です。
「竜馬がゆく」の世界観に合う音楽
コミトラの独断で、マンガの世界観に合う音楽を紹介します！
葉加瀬太郎 – 情熱大陸
力強く壮大なメロディが、竜馬の大志と幕末の激動を表現しています。ヴァイオリンの情熱的な音色は、竜馬の熱い思いと重なります。
Joe Hisaishi – Summer
穏やかでノスタルジックなメロディが、竜馬の故郷・土佐への思いや、平和な日本への願いを想起させます。時に力強く、時に優しい曲調は、竜馬の多面的な性格にも通じます。
和楽器バンド – 千本桜
伝統的な和楽器と現代的なロックサウンドの融合が、幕末という旧体制と新しい時代の狭間を生きた竜馬の姿を象徴しています。激しいリズムは、剣戟シーンや政治的な駆け引きの緊張感にマッチします。
感想・考察
人間味溢れる英雄像 – 竜馬の成長に共感
「竜馬がゆく」を読んで、まず驚いたのは坂本竜馬の意外な一面です。幼少期の竜馬が泣き虫で寝小便たれだったなんて、想像もしていませんでした。でも、そんな竜馬が周囲の愛情を受けながら成長していく姿に、強く共感してしまいました。
私たちが知っている英雄的な竜馬像とはかけ離れた姿から始まるからこそ、彼の成長過程がより魅力的に感じられるのだと思います。鈴ノ木ユウ先生の素朴な絵柄が、この人間味溢れる竜馬を見事に表現していて、グイグイ引き込まれてしまいます。
例えば、竜馬が剣術の腕を上げていく過程や、様々な人との出会いを通じて視野を広げていく様子が丁寧に描かれています。これらのエピソードを通じて、竜馬の人間的な成長を身近に感じられるのです。
結局のところ、「竜馬がゆく」の魅力は、英雄を遠い存在ではなく、私たちと同じように悩み、成長する人間として描いている点にあるのではないでしょうか。そんな竜馬の姿に、読者である私たちも自分自身を重ね合わせ、共に成長していけるような気がするのです。
幕末という時代の空気感 – 歴史を肌で感じる
まるで自分が幕末にタイムスリップしたかのような感覚に陥ります。これは、単なる歴史マンガの枠を超えた本作の大きな魅力だと感じています。
幕末という激動の時代が、竜馬の目線を通して生き生きと描かれているのです。黒船来航や桜田門外の変など、歴史の教科書でおなじみの出来事が、まるで目の前で起きているかのように描かれています。そのリアルさに、思わずゾクゾクしてしまいます。
例えば、黒船来航のシーンでは、竜馬の驚きや興奮が伝わってきて、当時の人々が感じた衝撃を追体験できるような気がしました。また、土佐藩の厳しい身分制度や、志士たちの熱い思いなど、教科書だけでは伝わりきらない時代の空気感も、このマンガを通じて感じ取ることができます。
結果として、「竜馬がゆく」は単なる歴史の勉強ではなく、幕末という時代を肌で感じる体験を提供してくれるのです。これこそが、歴史マンガの醍醐味であり、本作の大きな魅力だと思います。
「恥など捨てねば世のことは成らん」 – 竜馬の生き方に学ぶ
特に印象に残ったのは「そもそも恥など捨てねば世のことは成らんと思うちょりますき」という竜馬のセリフです。この言葉には、竜馬の生き方そのものが凝縮されているように感じました。
このセリフは、単に恥知らずになれということではありません。むしろ、大きな目標を達成するためには、時には世間の常識や自分のプライドさえも捨てる覚悟が必要だという、竜馬の強い決意を表しているのだと思います。
例えば、竜馬が藩の身分制度に疑問を持ち、それを乗り越えようとする姿勢や、敵対する立場の人々とも対話を試みる姿勢などに、この考え方が表れています。彼は、自分の信念のために、時には周囲の批判も恐れず行動する勇気を持っていたのです。
この竜馬の生き方は、現代を生きる私たちにも大きな示唆を与えてくれます。目の前の困難に立ち向かう勇気や、固定観念にとらわれない柔軟な思考など、竜馬から学べることは多いのではないでしょうか。
結局のところ、「竜馬がゆく」は単なる歴史マンガではなく、私たちに生き方を問いかける作品なのかもしれません。そう考えると、この作品の奥深さにますます引き込まれてしまいます。
読者の声
面白い！
小説の漫画化ってだいたい描ききれてないことが多いですが
この作品はさすが実績のある作家さんだけあって絵も筆致も見事ですね。
小説・竜馬がゆくを読んだのはもう30年近くも前ですが、あの頃のワクワクした気持ちを思い出せました。
続きも楽しみ！
Amazonより引用
若者にも読んで欲しい
文藝春秋は若い方は手に取りにくい印象がありましたが、この竜馬がゆくは特に若い方も読んだ方が良い作品ではないでしょうか。
表情豊かに内面が描かれているように思います。次が楽しみです
Amazonより引用
幕末の若い力、エネルギーを感じる
これが、史実に基づいた漫画である事を忘れるほどドラマチックだ。
幕末の、若者達のはじけるエネルギーが伝わってきて、引き込まれます。
Amazonより引用
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作者について
鈴ノ木 ユウ
すずのき ゆう
血液型B
概要
日本の漫画家。男性。中華料理屋の長男だったため、7歳の頃から中華包丁を握りチャーハンを作っていた。1980年『キン肉マン』と出会い、以後、模写やマンガ制作を始める。東海大学芸術学部で美術を学ぶが、卒業後はロックミュージシャンとして活動。2006年、漫画家の友人宅で突然、漫画を描くことを決意。2007年『東京フォークマン／都会の月』で、第52回「ちばてつや賞」に準入選。2010年には『エビチャーハン』で第57回「ちばてつや賞」に入選、翌2011年、同作が「モーニング」に掲載され、漫画家デビューとなった。2012年「モーニング」にて連載を開始した『コウノドリ』は、第40回「講談社漫画賞」一般部門を受賞。また実写ドラマ化されるヒットとなった。
SNSリンク
「竜馬がゆく」まとめ
- 連載状況：文藝春秋「週刊文春」2022年5月5・12日合併号より連載中
- 作者：原作 司馬遼太郎、漫画 鈴ノ木ユウ
- コミックス情報：現在9巻まで発売、連載中
- 読むには：割引クーポンを使えば、eBookJapanでお得に読める
- 関連情報：原作は司馬遼太郎のベストセラー小説『竜馬がゆく』
- 作品の魅力：幕末という激動の時代を背景に、坂本竜馬の生涯を描く歴史大河コミック。剣術のアクションシーンや、歴史上の出来事を絡めたストーリー展開が見どころ
- キャラクター：主人公の坂本竜馬は、人を惹きつけるカリスマ性と、時にコミカルな一面を持つ魅力的な人物として描かれている。お田鶴や桂小五郎など、個性豊かなキャラクターが物語を彩る
- テーマ性：個人の成長と歴史の大きなうねりが交錯する物語。人間の成長と可能性、時代を動かす個人の力について考えさせられる
- ジャンルの新規性：歴史マンガでありながら、現代の読者にも共感できる人間ドラマとしての側面を持つ。歴史ファンから漫画愛好家まで幅広い読者層に訴求
- 読者の感想：原作ファンからも高評価を得ており、鈴ノ木ユウの絵柄や演出が原作の雰囲気をうまく表現していると評価されている。剣術シーンの描写や竜馬のキャラクター性が特に好評
- 今後の展望：明治維新に向けて竜馬の活躍がさらに描かれていくことが予想される。土佐藩の身分制度との対峙や、幕府を倒し藩制度を撤廃するという思想の発展など、竜馬の志士としての成長が今後の展開の焦点となる可能性が高い
