
光り輝くヒーローの姿に、どこか息苦しさを感じた経験はありませんか。
今回ご紹介する「レッドブルー」は、栄光への憧れや純粋な夢ではなく、たった一人への暗い「嫌悪」を原動力に頂点を目指す、異色の作品です。
この記事では、「レッドブルー」が多くの読者を惹きつけてやまない理由を深く掘り下げます。ネタバレに配慮した序盤のあらすじや個性的な登場人物の紹介はもちろん、作品の構造的な面白さ、ファンから寄せられる様々な感想、そして具体的な購読方法まで、知りたい情報を網羅的にまとめました。
なぜ、その歪んだ執念はこれほどまでに私たちの心を揺さぶるのか。作品の持つ本当の熱量に触れる一助となれば幸いです。
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作品名:「レッドブルー」
作者:波切敦
ステータス:連載中
巻数:14巻
連載:少年サンデー
以下の方法で読むことができます。
- 電子書籍:Kindle、eBookJapan、ブックライブなどで配信中。
多くの電子書籍ストアでは、無料で試し読みできます。 - 紙の書籍:全国の書店で発売中。オンライン書店でも購入可能です。
「レッドブルー」とは?【作品概要とあらすじ】
まずは基本情報をチェック
作者の波切敦先生は、前作「switch」をはじめ、一貫してスポーツを題材に、躍動感あふれる描写で手腕を発揮してきた作家です。数々の著名なスポーツ作品でアシスタントを務めた経験が、その確かな画力と構成力を支えています。本作では、従来の爽やかな作風から一歩踏み込み、人間の内なる暗い情熱を深く掘り下げる、新たな挑戦をされています。
ジャンルとテーマ解説
本作は、総合格闘技(MMA)を題材としたスポーツ作品に分類されます。しかし、単に肉体がぶつかり合うだけでなく、対戦相手の思考を読み、精神を揺さぶる緻密な心理戦が色濃く描かれるため、「格闘技版の心理スリラー」とも言えるでしょう。
中心にあるのは、友情や憧れといった普遍的なテーマではなく、一人の天才に対する「嫌悪」と「執着」です。負の感情を否定せずに武器へと変え、常識外れの戦略で強者を打ち破っていく過程こそが、この作品の核となっています。
王道的な展開に物足りなさを感じている方や、人間の複雑な心理描写、あるいは知略で強敵に挑む構成に関心がある方には、特に深く響くはずです。
原作やアニメ化は?関連展開まとめ
本作は波切敦先生によるオリジナル作品のため、原作となる小説はありません。また、2025年7月現在、アニメ化の発表もされていません。
しかし、「レッドブルー」はその独特な魅力から、漫画という枠を越えた二つの大きな展開を見せています。一つは実写ドラマ化、もう一つは作中の大会を現実世界で再現したイベントの開催です。
2024年放送の実写ドラマ版

2024年12月から、MBS/TBS系列での放送とNetflixでの配信という形で実写ドラマ化が実現しました。
キャスティングにはFANTASTICSやTHE RAMPAGE、IMP.といった人気音楽グループのメンバーが多数起用され、作品の認知度を大きく広げるきっかけとなったのは間違いありません。試合シーンの迫力などを称賛する声があった一方で、原作のファンからは様々な意見も見られました。
特に、全8話という構成では、原作の緻密な心理描写やMMA甲子園での長期にわたる戦いを十分に描き切るのが難しかったようです。そのため、キャラクターの行動原理がやや駆け足に感じられたり、一部のキャスティングに賛否があったりと、ドラマ版ならではの脚色が原作の読後感とは異なる印象を与えたと言えるでしょう。
現実世界で開催「MMA甲子園」
メディアミックスとして特に注目すべきは、作中に登場する高校生格闘技大会「MMA甲子園」が、現実のイベントとして開催されている点です。
これは2023年に発足した、15歳から18歳までを対象とするアマチュア総合格闘技の全国大会です。プロ団体も運営に関わり、優勝者にはプロへの道が開かれるなど、本格的な育成の場として機能しています。
この試みは、単なる販促活動を超えた、非常に巧妙な共生関係を築いています。漫画が現実の大会に物語性とブランド価値を与え、一方で現実の大会が漫画に圧倒的な本物らしさを与える。このフィードバックループによって、「レッドブルー」は作品の枠を超え、次世代の格闘技界そのものに貢献するユニークな文化的存在となっています。
核心には触れずに解説「レッドブルー」序盤のあらすじ
物語の主人公は、鈴木青葉。喘息持ちで病弱、内向的な性格の彼は、ただ平穏な高校生活を望んでいました。彼の同級生には、赤沢拳心という正反対の存在がいます。総合格闘技界で「神童」と称されるU-18全国王者であり、誰からも愛される、まさに光り輝くヒーローです。
青葉は幼い頃から、この拳心が持つ底抜けの明るさや、無意識の「ポジティブの押し売り」に強い嫌悪感を抱いていました。ある日、いじめられていたところを拳心に助けられた青葉は、彼からかけられた悪意のない一言、「お前、空っぽだな…」によって、内に燻っていた憎悪を爆発させます。
彼の目的は「最強になる」ことでも「栄光を掴む」ことでもありません。ただひたすらに、大嫌いな赤沢拳心を「一発殴る」ため。その歪んだ、しかし純粋な衝動だけを胸に、青葉は総合格闘技(MMA)という未知の世界へ足を踏み入れていくのです。
覚悟はよろしいですか?【⚠️ここからネタバレを含みます】
【ネタバレ注意】深掘りあらすじを見るにはここをタップ
始まりの憎悪とシャークジム入門
赤沢拳心への憎悪を原動力に、彼を殴るための力を求めた鈴木青葉。元いじめ相手の岩瀬三之助を半ば脅迫するようにして、彼が通う「シャークジム」の門を叩きます。そこで出会ったのは、酒浸りで一見ダメ人間ながら、かつてはプロのリングで「生粋のヒール」として鳴らしたコーチ、時和金成。青葉の歪んだ動機に興味を抱いた時和のもと、彼の過酷な格闘技人生が幕を開けます。
MMA甲子園編:復讐の牙を研ぐ
拳心と同じ舞台に立つための第一歩として、青葉は高校生最強を決める全国大会「MMA甲子園」での優勝を目指します。当初は打撃も寝技も素人だった彼は、ジムで出会った「サイコパスなサラリーマン」の異名を持つ寝技師(グラップラー)・雨地渉に師事。その指導の下、相手をコントロールし、知略で仕留める寝技に特化したスタイルを確立していきます。大会では、過去のいじめを克服しようとする同級生・玉松光太、腰に古傷を抱える人気者・羽鶴結雅、強烈な打撃を持つ九州の不沈艦・鵺路雁丸、頭脳で戦う医大生・柊愛矛といった強敵たちと激突。青葉は持ち前の観察眼と執念で相手の弱点や心理を突き、汚いと罵られながらも、一つずつ勝利を重ねていきます。そして決勝戦、圧倒的なフィジカルを誇るレスリングエリート・鉢屋守との壮絶な消耗戦の末、満身創痍で優勝を掴み取りました。
プロフェッショナルステージ編:修羅の道へ
MMA甲子園王者となった青葉は、ついにプロの世界へ。しかし、彼のプロデビュー戦は、徹底的に相手を抑え込む「漬物石」の異名を持つベテラン・根嶋との対戦。プロの壁の厚さを痛感させられる厳しい戦いの末、青葉は初黒星を喫します。この敗北を糧に、青葉はさらなる成長を誓います。そして、次なる舞台として選んだのは、かつてコーチの時和が追放された日本最大の格闘技団体「BOOST」が開催するトーナメントでした。これは、拳心への道を切り拓くと同時に、師である時和の過去の因縁にも向き合う戦いの始まりを意味していました。
BOOSTトーナメント序盤戦:新たな試練
BOOSTトーナメントの初戦、青葉の前に立ちはだかったのは、超人的な身体能力を持つ謎の選手「むーすけ」。しかし、そのセコンドには、かつてMMA甲子園で頭脳戦を繰り広げた柊愛矛の姿がありました。実質的に「1対2」という極めて不利な状況で、フィジカルの怪物と天才軍師を同時に相手取ることになった青葉。彼はこの前代未聞の難局を乗り越えるべく、新たな戦略と技術を駆使して戦いに挑んでいます。
登場人物と作品の深掘り【キャラクター&レビュー】
登場人物
鈴木青葉(すずき あおば)

本作の主人公。根暗で病弱、平穏な日常を望む高校生です。あるきっかけで、同級生の天才・赤沢拳心への積年の嫌悪感を「憎悪」へと変え、彼を殴るためだけに格闘技の世界へ足を踏み入れます。優れた観察眼と執念深さを武器に、知略で戦う寝技師(グラップラー)として成長していきます。
赤沢拳心(あかさわ けんしん)

青葉の同級生であり、宿命のライバル。U-18全国王者の実績を持つ、格闘技界の「神童」です。誰からも好かれる明るく前向きな性格で、まさに「光」を体現した存在。しかし、その完璧さこそが青葉の憎悪を掻き立てる根源となります。
時和金成(ときわ かねなり)

青葉が所属する「シャークジム」の会長兼コーチ。普段は酒浸りで一見すると頼りないですが、その正体はかつてプロのリングを沸かせた「ヒール(悪役)」選手です。青葉の歪んだ動機に興味を抱き、彼の才能を引き出していきます。
雨地渉(あまち わたる)

シャークジムに所属するサラリーマンで、青葉に寝技を教える師匠的な存在。物静かながら「サイコパス」な一面を持つ、ジム最強の寝技師です。青葉の内に秘めた暗い執念に同類の匂いを嗅ぎ取り、その成長を助けます。
岩瀬三之助(いわせ さんのすけ)

青葉の同級生。当初は拳心への劣等感から青葉をいじめていましたが、青葉の常軌を逸した行動に巻き込まれる形で、彼の最初で最も忠実な練習仲間となります。
玉松光太(たままつ こうた)

青葉の中学時代の同級生で、MMAを始めてからの最初の対戦相手。裕福な家庭で育ち、弱い自分を変えるために格闘技を始めました。青葉との試合を経て、後にシャークジムへ移籍します。
鉢屋 守 (はちや まもる)

MMA甲子園の決勝で青葉の前に立ちはだかる「フィジカルモンスター」。レスリングで鍛え上げた圧倒的な身体能力を誇り、青葉が技術と精神力の限りを尽くして挑む大きな壁となります。
柊 愛矛 (ひいらぎ あむ)

MMA甲子園の準決勝で対戦する医大受験生。明晰な頭脳と卓越した観察眼を武器に、相手の思考を読んで戦うクレバーなファイターです。彼のロジックを、青葉が型破りな発想で打ち破ろうとします。
鵺路 雁丸 (ぬえじ がんまる)

「北九州の不沈艦」の異名を持つ、MMA甲子園の強敵。純粋なケンカから磨かれた強烈なパンチを武器とするタフな打撃家で、青葉の戦略性が真っ向から試される相手です。
私がハマった理由!見どころ&魅力を語らせて!
王道へのアンチテーゼ ー 負の感情で戦う主人公
多くの作品が「夢」や「憧れ」を原動力とする中で、本作の主人公・鈴木青葉を突き動かすのは、たった一人への強烈な「嫌悪」です。その動機は、一般的なヒーロー像とは正反対の位置にあります。
しかし、この設定こそが、現代に生きる私たちの心に深く刺さるのではないでしょうか。誰もが抱く嫉妬や劣等感といった負の感情。それを克服すべき弱さではなく、磨き上げるべき武器として肯定する姿勢は、既存の価値観への鮮やかなアンチテーゼです。彼の歪んだ執念が力へと変わるたびに、私たちは不思議なカタルシスを感じずにはいられません。
「欠陥者」たちの輝き ー シャークジムという名の聖域
主人公が身を投じる「シャークジム」は、社会の光が当たらない「欠陥者」たちの集まりとして描かれます。元いじめっ子、ストレス過多のサラリーマン、過去に挫折したコーチ。彼らは決して互いの傷を慰め合うのではありません。
むしろ、それぞれの歪みや暗さを共通言語として繋がり、互いを高め合うのです。完璧な人間などいないという現実を突きつけながら、弱さこそが強さに転化しうるという希望を示す。このシャークジムという空間は、社会に馴染めない者たちにとっての、かけがえのない聖域(サンクチュアリ)として機能しており、物語に深い奥行きを与えています。
肉体だけでなく“思考”で戦う、MMAの知的な面白さ
本作における総合格闘技(MMA)の描写は、単なる肉弾戦に留まりません。それは、相手の思考を読み、弱点を探り、戦略の罠にかける、極めて知的な頭脳戦です。
特に主人公が選択する「寝技(グラップリング)」は、彼の執念深い性格と分析能力を象覚徴する戦闘スタイル。派手な打撃戦とは対照的に、相手をじわじわと支配していく過程は、さながら盤上のチェスのような興奮を呼び起こします。格闘技に馴染みがない方でも、この緻密に組み立てられた心理と戦略の応酬に、夢中になるはずです。どのように成長していくのか、また時和の試合がどのような結果となるのかが注目されます。
物語の深層を読む「レッドブルー」に仕掛けられた伏線と未解明の謎

(サンデーうぇぶり https://www.sunday-webry.com/episode/3269754496660551554 より引用)
「レッドブルー」の魅力は、ただ直進する物語の熱量だけではありません。注意深く読み進めると、作中には数多くの伏線が巧みに配置されており、それらが回収される瞬間に、私たちは物語の奥深さに改めて気づかされます。
ここでは、すでに見事に回収された伏線の妙と、これから物語が向かう先を占う上で重要な、未だ解き明かされていない謎について考察していきます。
伏線① 羽鶴の古傷が示した、青葉の「戦い方」
MMA甲子園の予選決勝、青葉は人気と実力を兼ね備えた空手家・羽鶴結雅と対戦します。この試合に先立ち、羽鶴が腰に古傷を抱えていることが示唆されていました。そして試合本番、青葉はその弱点を執拗なまでに、そして一切の情けを介さずに攻め立てて勝利を掴みます。
この展開は、単なる試合の駆け引きに留まりません。青葉がスポーツマンシップのような一般的な規範よりも、勝利という結果を優先する冷徹なリアリストであることを読者に強烈に印象付けました。彼のキャラクター性を決定づけた、見事な伏線とその回収だったと言えるでしょう。
伏線② 敗者の技を受け継ぐ、貪欲な成長
青葉は、自らが打ち破った相手の技術を吸収し、自身の武器とする場面が度々描かれます。MMA甲子園本戦では、羽鶴から教わった三日月蹴りを、プロデビュー戦では決勝で死闘を演じた鉢屋から伝授された秘策を駆使しました。
これは、単に「敵が味方になる」という単純な構図ではありません。青葉が勝利のために利用できるものは全て利用するという、彼の貪欲さと合理性を示す巧妙な仕掛けです。彼の成長が、彼一人の力だけでなく、彼が関わってきた全ての人間関係の上に成り立っていることを示唆しており、物語に一層の深みを与えています。
未解明の謎① 最終対決「青葉 vs. 拳心」の行方
本作を貫く最大のテーマであり、最大の謎が、主人公・青葉とライバル・拳心の最終対決です。いつ、どのような形で二人は拳を交えるのでしょうか。
個人的な考察ですが、この対決は純粋な技術戦ではなく、壮絶な心理戦になると考えられます。作中で拳心は寝技の練習を嫌う描写があり、グラップラーである青葉にとって明確な標的です。しかし、それ以上に彼の弱点は、その圧倒的な「ポジティブさ」そのものではないでしょうか。青葉は拳心の些細な言動に対する不満をリストアップしており、彼の神経を逆撫でする方法を知り尽くしています。青葉の勝利は、拳心の拠り所である世界観そのものを破壊することによってもたらされるのかもしれません。
未解明の謎② 時和と雨地、二人の師が抱える過去
青葉を導く二人の師、時和と雨地もまた、未解明の過去を抱えています。時和が日本最大の格闘技団体「BOOST」を追放された理由。そして、類稀な才能を持ちながらプロの道を諦めた雨地の引退の真相。
これらは単なる背景設定ではなく、物語の今後の展開を左右する重要な要素です。特に時和の過去は、青葉がBOOSTのトーナメントに参戦することで、回収が目前に迫っていると考えられます。青葉の戦いが、師である時和の代理戦争という側面を帯びてくる可能性も否定できません。彼らの過去が明らかになる時、物語は新たな局面を迎えるはずです。
読者はどう見たか「レッドブルー」に寄せられたリアルな声
本作について、実際に手に取った方々からはどのような声が寄せられているのでしょうか。主なご意見の傾向をまとめてみました。
「最高!」「人生変わった!」共感の嵐 ポジティブな口コミ
本作の感想で最も多く見られるのは、やはり「主人公・鈴木青葉の型破りなキャラクター性」に対する称賛です。彼の根暗で執念深い性格が、従来の少年漫画のヒーロー像を覆すものとして、多くの読者に新鮮な驚きと共感をもって受け入れられています。
また、主人公を取り巻く「シャークジム」の面々の人気も非常に高いです。特に、青葉の師匠となるサラリーマン寝技師の雨地や、元いじめっ子から相棒となる岩瀬など、完璧ではない人間味あふれる登場人物たちに魅力を感じるという声が目立ちます。
物語の面では、単なる肉弾戦に留まらない、緻密な「心理戦」や「知的な戦略の応酬」が高く評価されています。読み進めるほどにその面白さに引き込まれ、夢中になったという意見も多く、じっくりと味わえる作品であることがうかがえます。
「ちょっと難しい?」「好みが分かれるかも?」気になる意見もチェック
一方で、本作の魅力である特異な設定が、一部では「好みが分かれる点」として挙げられています。特に、物語の原動力となる主人公の暗い動機付けに、すぐには感情移入しにくいと感じる方もいるようです。
また、「序盤は少し展開がゆっくりに感じた」という声も散見されます。数巻読み進めてから面白さが加速するという意見が多いため、少し辛抱強く読み続ける必要があるかもしれません。格闘技の描写に関しても、寝技中心の攻防が続くと、派手な展開を好む読者にはやや地味に映る可能性も指摘されています。
【わたしのガチ評価】漫画好き女子が本音レビュー!

- 少年漫画の王道に挑む、挑戦的なテーマ性に強く惹きつけられます。
- 完璧ではないからこそ応援したくなる、人間味あふれる登場人物が秀逸です。
- 格闘技を、知的好奇心をくすぐる頭脳戦として描く視点が斬新です。
- 物語の面白さが加速するまで、序盤は少し辛抱が必要かもしれません。
- 主人公の特異な性格は、読む人によっては好みがはっきりと分かれる可能性があります。
特に素晴らしいと感じた点
まず特筆すべきは、少年漫画の構造そのものへのアンチテーゼとも言える、その挑戦的なテーマ性です。主人公の原動力が「憎悪」や「嫉妬」といった負の感情であることは、読者に新鮮な衝撃を与えます。しかしそれは単なる奇抜さではなく、誰もが持つであろう複雑な内面を肯定し、力へと昇華させる現代的なカタルシスを生み出しており、物語に抗いがたい説得力を与えています。
そのテーマを体現するのが、欠点だらけで、だからこそ魅力的な登場人物たちです。光り輝くライバルとは対照的に、主人公が属する「シャークジム」の面々は、社会の片隅で挫折や劣等感を抱えています。彼らが互いの歪みを認め合い、絆を深めていく姿は非常に人間味にあふれており、読者は完璧なヒーロー以上に彼らを応援したくなるのではないでしょうか。
そして、総合格闘技(MMA)という題材を、単なる肉弾戦ではなく「知的な頭脳戦」として描き切っている点も見事です。特に主人公の戦術は、相手の心理を読み、思考の罠にはめるチェスのような面白さがあります。この知的好奇心を刺激する描写により、格闘技に詳しくない読者をも夢中にさせる、唯一無二の作品へと昇華されています。
留意しておきたい点
一方で、この作品の面白さが本格的に加速するのは、主人公が自らの戦い方を見出し、物語が大きく動き出す数巻を読み進めてからです。序盤は彼の内面描写にじっくりと時間が割かれるため、人によっては展開がややスローに感じられるかもしれません。
また、本作の核である主人公の特異な性格は、間違いなく読む人を選びます。彼の常識から外れた行動原理や、暗い執念に共感できるかどうかが、この作品を心から楽しめるかの一つの分かれ目になるでしょう。王道的な明るい主人公を求める方には、少し戸惑いがあるかもしれない点は、お伝えしておくべきだと感じます。
総合的な評価:★★★★☆ 4.5/5点
いくつかの留意点はあるものの、それを補って余りある知的な興奮と、新しい形のカタルシスを与えてくれる傑作です。物語の構成、キャラクターの深掘り、そしてテーマ性、いずれも非常に高いレベルでまとまっています。
王道の展開に少し物足りなさを感じている方や、人間の複雑な心理描写に興味がある方には、ぜひ一度手に取っていただきたい。きっと、あなたの心に深く刻まれる一作になるはずです。
Q&A・用語解説【疑問解決】
作品世界を深く知るためのキーワード解説
MMA(総合格闘技)
Mixed Martial Artsの略称。打撃、投げ技、寝技など、あらゆる攻撃が認められている格闘技です。作中では、このMMAを舞台に、多様なバックボーンを持つ選手たちが最強を目指して戦います。
グラップラー/グラップリング
「グラップリング」は寝技や組技のことで、「グラップラー」はそれを主体に戦う選手を指します。主人公の青葉が選択する戦闘スタイルであり、相手をコントロールし、関節技や絞め技で仕留める、知略と技術が求められます。
ストライカー/ストライキング
「ストライキング」はパンチやキックなどの打撃技のことで、「ストライカー」はそれを主体に戦う選手を指します。ライバルの拳心が得意とするスタイルであり、爆発的なパワーとスピードで相手をKOする華やかさがあります。
シャークジム
主人公の青葉が所属する総合格闘技ジム。コーチの時和が経営していますが、経営は芳しくありません。社会に馴染めない、一癖も二癖もある「欠陥者」たちが集う、作品の重要な舞台です。
晴天道場
ライバルの拳心が所属する、彼の父親が経営する大手ジム。多くのプロ選手を輩出するエリート集団であり、設備も充実しています。まさに光の当たる場所として、シャークジムとは対照的に描かれます。
MMA甲子園
高校生最強を決める、年に二度開催されるアマチュアMMAの全国大会。プロへの登竜門とされており、物語前半で青葉が拳心と同じ舞台に立つための、最初の大きな目標となります。
BOOST
作中に登場する日本最大のプロMMA団体。かつて時和が所属し、追放された因縁の場所でもあります。物語の後半、プロに転向した青葉が挑む、より過酷な戦いの舞台となります。
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【注意喚起】漫画を読む際の違法サイト利用について
時折、「レッドブルー raw」といった検索を通じて、非公式なウェブサイトで漫画を閲覧しようとされる方がいらっしゃるようですが、これは非常に危険な行為ですので、絶対におやめください。
いわゆる海賊版サイトや、漫画のrawファイル(未加工データ)を違法にアップロード・ダウンロードする行為は、著作権法に違反します。利用者自身が法的な責任を問われる可能性があるだけでなく、これらのサイトにはウイルスやマルウェアが仕込まれている危険性が極めて高いのが実情です。安易にアクセスすることで、個人情報が盗まれたり、お使いのデバイスが故障したりする深刻な被害に繋がる恐れがあります。
そして何より、このような違法な閲覧は、作品を生み出してくださった作者の方々や、出版に関わる方々の正当な利益を奪い、新しい素晴らしい作品が生まれ続けるための創作活動そのものを脅かす行為に他なりません。作品への愛情や敬意を示すためにも、必ず正規の配信サービスや電子書籍ストアを通じて、安全に作品を楽しまれることを強くお願いいたします。
作者について
波切 敦
なみきり あつし
日本の漫画家。男性。町田・デザイン専門学校卒業。「黒子のバスケ」や「ハイキュー!!」のアシスタント経験あり。2017年「ガリバク合気」で、第79回「小学館新人コミック大賞」佳作を受賞。同年、「週刊少年サンデー」41号に読切作品「貫通」を掲載。2018年、同誌20号よりバスケットボールを題材にした「switch」で連載デビューを果たす。2022年には、同誌にて総合格闘技を題材にした「レッドブルー」を連載。
この深い読書体験を あなたにも
「レッドブルー」は、単なる格闘を題材とした作品ではありません。それは、私たちが普段目を背けがちな、心の暗い部分に光を当て、その中にこそ強さの源泉があることを教えてくれる、現代のための寓話です。王道のヒーロー像に疑問を投げかけ、負の感情を力に変えるという新しいカタルシスは、他のどの作品でも味わうことのできない、本作ならではの価値と言えるでしょう。
ページをめくるたびに、私たちはきっと自分自身の内なる「青葉」と出会うはずです。光り輝くものへの違和感、拭いきれない嫉妬、そして、それを乗り越えようとする歪んだエネルギー。読み終えた時、心に残るのは単純な感動ではなく、自らの内面を静かに見つめ直すような、深く豊かな余韻に違いありません。
私自身、この作品を通して、欠点やコンプレックスもまた、その人だけの輝きになり得るのだと、改めて気づかされました。誰もが同じ「光」を目指す必要はない。日陰に咲く花にも、力強い美しさがあるのです。
もしあなたが、ありきたりの展開に少しだけ退屈しているのなら。もしあなたが、自分自身の不完全さにもがいているのなら。ぜひその目で、彼らの生き様を、そしてその結末を見届けてください。きっと忘れられない一作となることを、心からお約束します。