経済的困窮から「パパ活」に手を染める大学生・椿の葛藤を描く衝撃のヒューマンドラマ。リアルな心理描写と社会問題への鋭い切り込みが特徴。パパ活相手との危険な関係や、恋人との葛藤を通じて、現代社会の闇と若者の苦悩を赤裸々に描く。読者の価値観を揺さぶる問題作。

「私がわたしを売る理由」はどこで読める？

「私がわたしを売る理由」はサイコミにて連載。既刊6巻。
作品はオムニバス形式で、第一章「親ガチャ」、第二章「余命」、第三章「いちばん」と続きます。

以下の方法で読むことができます

電子書籍：Kindle、eBookJapan、ブックライブなどで配信中。
多くの電子書籍ストアでは、無料で試し読みできます。
紙の書籍：全国の書店で発売中。オンライン書店でも購入可能です。

作品基本情報

タイトル：「私がわたしを売る理由」

夏子久

ジャンル：
社会派ヒューマンドラマ
青春ラブストーリー
サスペンス要素を含む現代社会批評

ターゲット読者層：
18歳以上の若年層から30代前半
女性読者が中心
社会問題や若者の生き方に関心がある層
リアルな人間ドラマを好む読者

親ガチャ編登場人物

松本椿（まつもとつばき）

第一章の主人公です。都内の有名大学に通う女子学生で、両親からの経済的支援がなく、奨学金とバイト代で学費と生活費を賄っています。緊急事態宣言によりバイトを失い、生活が逼迫したことをきっかけにパパ活を始めます。

最初は恐怖心を抱きながらもパパ活を続け、次第に金銭的余裕を得ていきます。しかし、パパ活相手の和也にストーカー被害を受けるなど、トラブルに巻き込まれていきます。大学の友人である蒼真と恋人関係になりますが、パパ活を続けていることに罪悪感を覚え、葛藤します。

佐藤蒼真（さとうそうま）

椿の大学の同級生で、後に恋人となる人物です。さわやかで人当たりの良い性格の持ち主で、大学内でも人気者です。椿がストーカー被害に遭った際に助け、自宅に匿うなど、椿にとって心の支えとなる存在です。

蒼真は椿のパパ活については知らず、彼女の苦悩に気づいていません。椿に対して純粋な愛情を持っており、彼女の幸せを願っています。

和也（かずや）

椿のパパ活相手となる中年男性です。最初は無口で控えめな印象でしたが、次第に椿に対する執着心を強めていきます。椿の学生証を見て個人情報を入手し、ストーカー行為に及びます。

和也は椿の家の前で待ち伏せをしたり、監視カメラを設置したりするなど、エスカレートしていく執着心を見せます。彼の行動は椿を精神的に追い詰めます。

礼（れい）

椿の大学の友人で、自信家で真っ直ぐな性格の持ち主です。おしゃれに目がなく、常に自分を磨いている女性です。最初は椿のような地味な女性を毛嫌いしていましたが、椿からおしゃれの相談を受けたことをきっかけに、次第に仲良くなっていきます。

礼は椿に対して、メイクや服装のアドバイスをするなど、外見的な変化をサポートします。また、椿の精神的な支えとなり、彼女の成長を見守る存在でもあります。

椿の父

父親は、登場は少ないものの、椿の人生に大きな影響を与える存在です。椿の幼少期からあまり家族に関わりを持たず、無関心な態度をとっていました。

父親は腰の治療費を椿に要求します。この出来事は、椿がさらにパパ活に深入りするきっかけとなり、彼女の精神的な負担を増大させます。椿は父親との関係修復を期待しつつも、利用されているのではないかという疑念に苛まれます。

用語集

パパ活

若い女性が年上の男性と食事やデートをし、その見返りとしてお金や物品をもらう活動を指します。椿が経済的困難から始めることになるパパ活が重要な要素となっています。椿は最初、恐怖心を抱きながらもパパ活を始め、次第に金銭的余裕を得ていきますが、同時に様々な問題にも直面することになります。

親ガチャ

生まれながらにして決定される家庭環境や経済状況を、ガチャ（ランダムに景品が出るゲーム）に例えた表現です。椿が経済的に恵まれない家庭に生まれたことを「親ガチャ」の結果として描いています。椿の家庭環境が彼女の人生選択に大きな影響を与えており、この概念は物語全体を通じて重要なテーマとなっています。

緊急事態宣言

新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐために政府が発令する特別措置のことです。緊急事態宣言の発令により、椿のアルバイトが減少し、経済的に追い込まれるきっかけとなっています。これは椿がパパ活を始める直接的な原因となり、物語の展開に大きな影響を与えています。

ストーカー行為

椿のパパ活相手である和也が行うストーカー行為が重要な要素となっています。和也は椿の個人情報を入手し、彼女の家の前で待ち伏せをしたり、監視カメラを設置したりするなど、エスカレートしていく執着心を見せます。このストーカー行為は椿を精神的に追い詰め、物語の重要な転換点となっています。

奨学金

奨学金は、学生の学業を経済的に支援するための制度です。椿が大学の学費と生活費を賄うために奨学金を利用していることが描かれています。しかし、奨学金だけでは十分ではなく、アルバイトも併用しなければならない状況が、椿の経済的困難を表しています。

親ガチャ編あらすじ

経済的困難から始まるパパ活

都内の有名大学に通う椿は、両親からの経済的支援がなく、奨学金とバイト代で学費と生活費を賄う忙しい日々を送っています。ある日、緊急事態宣言が発令され、バイトをクビになってしまいます。慌てて他のバイトを探す中で「パパ活」という言葉を見つけ、お茶するだけで高額な報酬がもらえることに魅力を感じ、アプリをダウンロードしてしまいます。

椿は最初、恐怖心を抱きながらもパパ活を始めます。慣れない男性との会話や食事に戸惑いながらも、短時間で高額な報酬を得られる魅力に抗えず、何度もパパ活を繰り返すようになっていきます。

パパ活相手・和也との危険な関係

パパ活を続ける中で、椿は和也という固定客を持つようになります。和也は無口で、椿とも会話があまり続きませんでしたが、それなりにうまくやっていました。ある日、和也にノートパソコンを買ってもらう代わりにメールアドレスを交換することになります。

しかし、椿が学割のために出した学生証を和也に見られてしまいます。和也は突然、不気味な笑みを浮かべ、椿の個人情報を記憶します。それ以降、和也は椿をストーカーするようになり、大学の前で待ち伏せをしたり、椿の家の前に監視カメラをつけたりするようになります。ついには家の前まで現れ、椿は恐怖で家に帰れなくなってしまいます。

蒼真との出会いと葛藤

ストーカー被害に遭い、家に帰れなくなった椿は、大学の友達である蒼真に助けを求めます。蒼真は椿を自宅に匿い、彼女を守ろうとします。二人の関係は次第に深まり、蒼真は椿に告白し、恋人関係になります。

しかし、椿は蒼真に秘密でパパ活を続けていることに強い罪悪感を覚えます。蒼真との幸せな時間を過ごすたびに、自分がパパ活をしていたことが汚く思えてしまい、心が苦しくなります。椿は蒼真との関係と、パパ活を続けることの間で深く葛藤します。

実父との再会と新たな苦悩

椿が蒼真との関係に悩む中、突然実父が椿のもとに現れます。父は腰の治療費を椿にせがみます。椿は父との関係があまり良くありませんでしたが、父の腰が完治すれば、また家族で笑い合えると信じ、父に定期的にお金を渡すことを約束してしまいます。

この約束により、椿の経済的負担はさらに重くなります。蒼真と会う時間を削り、バイトを増やしても出費が間に合わず、椿はますます追い込まれていきます。結局、椿は父へ渡すお金を稼ぐため、和也とのパパ活を再開せざるを得なくなってしまいます。

結末

椿は、自分を取り巻く複雑な状況に耐えきれなくなり、大きな決断を下します。パパ活や周囲との関係について、自分なりの答えを見つけ出そうとする椿の姿が描かれます。物語は椿の成長と、彼女が直面する現実の厳しさを通して、現代社会における若者の苦悩と自立の難しさを鮮明に描き出しています。

見どころ

リアルな大学生の経済的苦境

大きな魅力は、主人公・椿の経済的苦境をリアルに描いているところです。奨学金とバイトで何とか生活を維持しようとする椿の姿は、現代の多くの大学生が直面している問題を反映していて、とても共感できます。緊急事態宣言でバイトを失い、追い詰められていく様子は、私たちの身近にも起こりうる出来事として描かれており、読んでいてハラハラしてしまいます。

パパ活の光と影

パパ活という現代的なテーマを扱っているのも、この作品の大きな特徴です。椿がパパ活を始める経緯や、そこで感じる葛藤が細やかに描かれていて、読者の心に深く響きます。特に、最初は恐怖心を抱きながらも、次第にのめり込んでいく過程が丁寧に描かれているのが印象的です。パパ活の危険性や、それに手を染めてしまう若者の心理が鮮明に描かれていて、社会問題としての側面も強く感じられます。

和也のストーカー行為がもたらす緊張感

パパ活相手の和也がストーカー化していく展開は、この作品のサスペンス要素として非常に効果的です。最初は無害に見えた和也が、次第に椿の個人情報を入手し、執着していく様子は本当に怖いです。椿の家の前に監視カメラを設置したり、大学の前で待ち伏せしたりする描写は、現実でも起こりうる脅威として描かれており、読んでいてヒヤヒヤします。この展開は、パパ活の危険性を強く訴えかけていて、社会的なメッセージ性も感じられます。

蒼真との純粋な恋愛

ストーカー被害に遭った椿を助ける蒼真との恋愛模様も、この作品の魅力的な要素の一つです。パパ活という複雑な状況に置かれた椿が、純粋な恋愛を経験することで感じる幸せと葛藤が繊細に描かれています。特に、蒼真に対して感じる罪悪感や、自分の過去を隠そうとする椿の心情描写が秀逸で、読んでいて切なくなります。この純粋な恋愛が、椿の人生にどのような影響を与えていくのか、続きが気になってしまいます。

「親ガチャ」が象徴する現代社会の格差

「親ガチャ」は、この作品全体を通じて重要なテーマです。椿が経済的に恵まれない家庭に生まれたことが、彼女の人生選択に大きな影響を与えている様子が描かれており、現代社会の格差問題を鋭く指摘しています。特に、突然現れた父親が治療費を要求するシーンは、家族関係の複雑さと、それが若者に与える影響を如実に表現しており、心に残る展開です。

現代社会が抱える問題を若者の視点から鋭く描き出し、読者に深い共感と考察を促す力強い物語となっています。パパ活や経済的困難、家族関係など、複雑な問題を丁寧に描きながら、主人公の成長を通じて希望も感じさせる、読む価値の高い作品だと思います。

感想・考察

パパ活の闇と若者の生きづらさ

「私がわたしを売る理由」の第1章を読んで、現代社会の厳しさを痛感しました。主人公の椿が、経済的な理由からパパ活に手を染めていく過程が、リアルに描かれていて胸が締め付けられる思いでした。

パパ活は簡単にお金を稼げる方法に見えて、実は大きなリスクを伴うものだということが、この漫画を通じてよく分かります。椿がパパ活を始めたきっかけは、緊急事態宣言でバイトがなくなり、生活が苦しくなったからです。でも、そこから徐々にパパ活にのめり込んでいく様子を見ていると、一度その世界に足を踏み入れると抜け出すのが難しいんだなと感じました。

特に印象的だったのは、椿がパパ活相手の和也にストーカー被害を受けるシーンです。最初は無害に見えた相手が、突然豹変する恐怖が生々しく描かれていて、ゾッとしました。これって、パパ活の危険性を端的に表している例だと思います。

この漫画は「親ガチャ」という言葉に象徴される、現代の格差社会の問題を鋭く突いているんです。椿のように、親からの援助がなく、自力で学費や生活費を稼がなければいけない学生の苦労が、とてもリアルに描かれています。これって、多くの若者が直面している問題だと思うんです。

社会のセーフティネットの重要性を改めて考えさせられました。誰もが安心して学べる環境づくりや、若者への経済的支援の充実が、今の日本には必要なんじゃないでしょうか。そうすれば、椿のように追い詰められて危険な選択をする若者を減らせるかもしれません。

罪悪感と自己否定の連鎖

椿の心理描写に、すごく引き込まれました。パパ活を始めた後の彼女の葛藤が、本当によく描かれているんです。

最初は経済的な理由で始めたパパ活ですが、次第に椿の心を蝕んでいきます。お金は手に入るけど、同時に自分を偽り続けなければいけない。その結果、自己嫌悪や罪悪感に苛まれる椿の姿に、胸が痛くなりました。

恋人の蒼真との関係性が深まるにつれて、椿の葛藤がより鮮明になっていくのが印象的でした。蒼真との幸せな時間を過ごせば過ごすほど、自分がパパ活をしていることへの罪悪感が強くなっていく。この負のスパイラルが、とてもリアルに描かれています。

椿の心の動きを追っていくと、自分を大切にすることの難しさを感じます。経済的な理由で始めたことが、どんどん自分を傷つけていく。でも、一度始めてしまったら簡単には抜け出せない。この悪循環が、現代社会を生きる若者たちの苦悩を象徴しているように思えます。

椿は蒼真との関係を断ち切ることを選びます。自分を守るための決断だったんでしょうが、同時にとても孤独な選択でもあります。この結末には複雑な気持ちになりました。椿の決断を応援したい気持ちもあるけど、もっと誰かに頼ることはできなかったのかなとも思います。

この漫画は、自己肯定感の大切さを改めて考えさせてくれます。経済的な困難や社会的なプレッシャーの中で、いかに自分を大切にし続けられるか。それが現代を生きる若者たちの大きな課題なんだと、強く感じました。

友情が照らす希望の光

「私がわたしを売る理由」の中で、椿と礼の友情の描写に心を打たれました。この作品は暗い話題が多いけど、二人の関係性が希望の光のように感じられたんです。

最初、礼は椿のことをあまり気に入っていませんでした。おしゃれに無関心な椿を、ちょっと見下していたような感じさえあります。でも、椿がおしゃれについて相談したことをきっかけに、二人の関係が変わっていくんです。

礼は椿にメイクやファッションのアドバイスをしながら、同時に自信を持つことの大切さも教えていきます。この過程で、椿が少しずつ自分に自信を持ち始める様子が描かれていて、すごく温かい気持ちになりました。

特に印象的だったのは、礼が椿のことを「妹みたい」と言うシーンです。椿にとって、家族以外の人から大切に思われるという経験が、とても新鮮だったんだろうなと想像します。この関係性が、椿の心の支えになっていったんだと思います。

友情って、時に人生を変えるくらいの力を持っているんだなと感じました。礼との出会いが、パパ活に追い込まれていた椿に、新しい可能性を見せてくれたように思います。自分の価値は、お金や容姿だけじゃない。そんなことを、礼との友情を通じて椿が少しずつ気づいていく過程が、とても心に響きました。

この漫画は、友情の持つ力を改めて教えてくれます。経済的な困難や社会的なプレッシャーに直面したとき、友人の存在がどれだけ大きな支えになるか。それを椿と礼の関係を通じて、強く感じることができました。困難な状況でも、誰かとつながることで希望を見出せる。そんなメッセージがこの作品には込められているんじゃないでしょうか。

読者の声

奨学金を利用しないのはなぜ？

貧困家庭ゆえパパ活で生活費や学費を稼ごうとする女子大学生の話ですが、彼女のケースの場合、高等教育の修学支援新制度を利用できるはず。自宅外で暮らす私立大学生の場合、マックスで年額161万円が返済不要の給付奨学金として支給されます。または、卒業後に返済していくタイプの育英奨学金をマックス年額144万円借りられます。これだけ借りられたら授業料や家賃は十分賄えるのが現状です。さらに大学独自の奨学金や民間奨学金もあります。彼女は優秀なようですからそれらを利用することも可能なはず。コロナで困窮した学生への臨時給付金制度もありましたよ。

現在、大学生の半数近くがなんらかの奨学金を利用しています。しかし彼女は奨学金をマックスで受ける様子が全くなく、安易にパパ活を選択してしまうので少々話に無理があります。奨学金は入学後に申請することも可能なので、大学の学生生活課にまず相談しないのはなぜ？と連載時からコメント欄で読者から何度も指摘されていました。作者さんはどうしてもヒロインにパパ活をさせたかったのだと思いますが、説得力に欠ける気がしました。

真面目な貧困女子が堕ちていく悲哀をセンセーショナルに描きたかったのかもしれませんが、取材不足で現実感が薄いのを残念に感じます。
Amazonより引用

かわいい絵と・・・

絵がかわいくて読みやすい。ひょんなことからパパ活に手をだした椿。とても読みやすくて次々と読んでしまう。他のアプリで読んでました。時々、椿の親に対しての対応にイライラすることもありましたが、最後までよかった。今は、次の主人公の桜子の章で、全然違う面白さがあり、こちらも楽しく読んでいます。
コミックシーモアより引用

親ガチャかぁ……

広告で見つけて読んでみようと思って読んんでみた作品です。ちょっと胸が痛くなる話が多いですでも内容自体はすごくいいです。妙にリアルで「ここら辺で読むのやめとこう」と思っても読み進めちゃうような話でした。綺麗な絵とは裏腹に濁った世界を描いているような、そんな作品でした
コミックシーモアより引用