
「結婚商売」は、贅沢な悪妻として蔑まれ、孤独に死んだ伯爵夫人が18歳へ回帰し、破滅の運命を書き換えていく韓国発のロマンスファンタジーです。原作はKEN、作画はAntstudio。全編フルカラーで描かれる装飾やドレスの描き込みが評判を呼び、韓国では1億3千万ビューを超える人気作となりました。
ところが本作を読み始めた人の感想は、序盤でくっきり二つに割れます。回帰したはずの主人公が高圧的なまま毛皮を買い、召使を鞭で打つ。そこで手を止める読者と、その理由を知って夢中になる読者がいるわけです。
この記事では、結末までのネタバレあらすじ、通常版と完全版の収録差、原作小説と続編の現状、主要キャラクター、そして作中に残された余白の考察までを一本にまとめました。ザカリーは生き残るのか、ジャコブが最期に囁いた言葉は何だったのか。読む前に確かめたい答えを、順を追ってお届けします。
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「結婚商売」あらすじ・ネタバレ
作品名:結婚商売
作者:KEN(原作)/Antstudio(漫画)/hanheun(脚色)
出版社:KADOKAWA(FLOS COMIC)/電子はリバース(恋々バニラ)
ステータス:完結(全141話)
巻数:既刊6巻(2026年8月時点)
連載媒体:カカオページ/カカオウェブトゥーン
メディアミックス
原作Web小説
KENによる韓国のWeb小説が原作で、韓国では完結済みです。漫画版はこの小説を下敷きにしていますが、聖人という設定の扱いやジャコブの最期など、要所で独自のアレンジが加えられています。日本語の翻訳版は2026年8月時点で配信されていません。
続編「結婚商売2〜忘れられない詩〜」
本編の完結を受け、2025年8月2日から韓国で連載が始まった正統続編です。原作KEN、脚色hanheun、作画Antstudioという前作の布陣がそのまま引き継がれました。日本語版の配信も2025年8月15日にスタートし、2026年5月時点で第47話まで進んでいます。主人公はビアンカとザカリーの娘アレクサンドラと、若き王シリル。シリルがアレクサンドラを失った未来から10年前へ回帰し、彼女を守ろうとする物語です。
実写・アニメ
2026年8月時点で、実写化・アニメ化の発表はありません。
通常版・完全版・原作小説 ー 版の違いを整理する
本作は日本語の電子配信が三系統に分かれており、購入前に取り違えると読み直しの手間が出ます。まず「タテヨミ」が通常版で、全141話が配信されて完結しています。結末まで読み切れるのはこちらだけです。
次に「完全版」があります。通常版では省略されていた夫婦の夜の描写が収録された大人向けエディションで、韓国では19禁の完全版として提供されてきました。日本語版も配信中ですが、2026年8月時点で第113話までで、まだ最終話に届いていません。分冊版に加えて巻単位でまとめた特装版もあり、こちらは1冊748円(2026年8月時点)です。
紙の単行本はKADOKAWAのFLOS COMICから刊行されていて、2026年8月時点で6巻まで出ています。7巻は2026年10月16日発売予定で、定価1,320円。収録内容は馬上槍試合の決勝と初夜の場面にあたるため、紙で追う場合は物語の三分の一あたりを進んでいる段階と考えてください。
整理すると、結末まで一気に読みたい人は通常版のタテヨミ、描写の濃さを重視する人は完全版、手元に残したい人は紙という住み分けになります。原作小説を日本語で読む手段は、残念ながら今のところ用意されていません。
あらすじ ー 打算から始まる二度目の人生
アルノー伯爵夫人ビアンカは、浪費を重ねる悪妻として家中から疎まれていました。夫ザカリーが戦場で命を落とすと領地も財産も失い、身寄りもないまま辺境の修道院で38歳の生涯を閉じます。息を引き取る間際、彼女は女神像の前で祈りました。やり直せるなら、今度は誰かを愛し、愛されたいと。
目を開けると、鏡に映っていたのは結婚して間もない18歳の自分でした。前世の記憶を抱えた彼女が最初に立てた方針は、恋愛ではありません。跡継ぎを産んで自分の立場を固めるという、徹底して打算的な生存戦略でした。ところがその提案は、夫にあっさり退けられてしまいます。
計画を失った彼女が次に選んだのは、修道院時代に覚えたレース編みを産業に育てるという道でした。10年先の技術を知る強みを活かし、下女のイボンヌや執事長ヴァンサンを巻き込んで工房を立ち上げます。領地が潤うにつれ、悪妻を見る家臣たちの目つきが変わっていきました。戸惑いながら妻を見つめ直す寡黙な夫と、王都で彼女に取り憑かれた第二王子。保身のために始まった人生が、いつしか愛する者を守る戦いへ姿を変えていきます。
ここから先は結末まで踏み込みます。以下で触れる巻数と話数は、いずれも2026年8月時点の配信状況にもとづくものです。
「結婚商売」のネタバレあらすじ ー 聖人の正体、ジャコブの末路、そして最終話の蘇生まで
【ネタバレ注意】「結婚商売」の結末まで読む(タップで開きます)
孤独死からの回帰と、頓挫した跡継ぎ計画(1〜2巻・回帰編)
18歳へ戻ったビアンカは、その日のうちに夫ザカリーの部屋を訪ね、あなたの子供を産む準備ができましたと切り出します。前世で夫を戦場に失い、跡継ぎがいないまま追い出された経験から導き出した、合理的な結論でした。ところがザカリーはその話は今度にしようと答え、提案は不成立に終わります。彼が拒んだのは妻を嫌っていたからではなく、自分を産んだ直後に亡くなった実母のことが頭を離れなかったためでした。痩せて幼い妻の身体を案じる不器用な気遣いは、口下手なせいで一言も伝わりません。並行してビアンカは執事長ヴァンサンに領地運営の指導を願い出て、浪費家の汚名を返上する動きを始めます。監視のつもりで護衛をつけた夫との夫婦喧嘩も、この時期の出来事です。
レース工房の設立と、覆る悪妻の評判(3〜5巻・アルノー領編)
跡継ぎという切り札を失ったビアンカは、自分が有用な資産だと示す方向へ舵を切ります。前世の修道院で身につけたレース編みの技術は、この時代のアルノー領にはまだ存在しないものでした。彼女は下女のイボンヌを味方に引き入れ、ヴァンサンに実務を支えさせ、才能のある少年ニコラを見出して工房を設立します。領内の女性たちを職人として雇用したことで、家門の財政は目に見えて潤い始めました。ソヴール、ガスパル、ロベルといった軍部長たちも、当初は夫人を軽んじていたものの、次第に忠誠を示すようになります。ザカリーがセブラン王国の救国の英雄として伯爵位に昇ったのも、この時期の出来事でした。
王都の馬上槍試合、そして初めての夜(7巻収録予定・王都編)
昇爵の祝賀と国家行事のため、夫婦は王都ラホズへ向かいます。第一王子ゴティエやオデリー王女には歓迎されたものの、第二王子ジャコブはビアンカの美しさに一目で取り憑かれてしまいました。ジャコブは吟遊詩人フェルナンに大金を渡して彼女を誘惑させようと企てます。フェルナンは前世でビアンカが孤独の末に溺れ、最後には彼女を裏切った相手でしたが、回帰後の彼女は迷わず拒絶しました。激昂したジャコブは、貴婦人に悪戯した罰という名目でフェルナン自身の首を刎ねてしまいます。続く馬上槍試合でザカリーは準決勝でジャコブを圧倒し、決勝も制して勝利の薔薇をビアンカに捧げました。その夜、二人はようやく本当の夫婦になります。
額に浮かんだハトの聖痕と、回帰の正体(電子先行・聖人編)
なぜ自分だけが未来の記憶を持って過去に戻れたのか。答えを求めたビアンカは大聖堂を訪ね、フランシス大司教と向き合います。返ってきたのは、回帰など存在しないという断言でした。あるのは神が選んだ聖人に最悪の未来を夢として見せ、破滅を回避させる未来予知の奇跡だけだと大司教は説きます。納得しかねるビアンカでしたが、判別の儀式に臨むと額にハトの聖痕が浮かび上がり、本物の聖人であることが証明されました。神の目的は、英雄ザカリーの死による国家の崩壊を防ぎ、二人の間から未来を救う存在を生ませることにありました。聖人が現れたという噂は信心深い敵国アラゴンにも届き、戦争は一時的な休戦へ入ります。
偽りの訃報と、アルノー領防衛戦(電子先行・戦争編)
均衡を崩したのはジャコブでした。王位を狙う彼は第一王子ゴティエを落馬事故に見せかけて暗殺し、国内の政情を一気に揺るがします。混乱に乗じてアラゴン軍が再侵攻を始め、王国の盾であるザカリーはアルノーの騎士を率いて出征しました。ビアンカは自分が聖人であることを打ち明けて引き留めようとしますが、夫は領地と国を守るために戦地へ発ちます。その隙にジャコブは、アラゴンと内通してザカリーが戦死したという偽の訃報を流し、未亡人となった聖人を手に入れるべく軍を率いてアルノー領を襲撃しました。夫の死を信じないビアンカは家臣とともに城を閉ざし、降伏勧告を退けて籠城戦を戦い抜きます。彼女は自ら聖人の証を敵兵に見せつけ、信心深い兵たちの戦意を根こそぎ削ぎ落としました。
ジャコブの最期、難産、そして蘇生(電子先行・全巻の到達点)
アルノー軍が限界に近づいた瞬間、生き延びていたザカリーが軍部長ソヴールたちを率いて帰還します。彼は異母兄ウィグ子爵ローランが仕掛けた暗殺の罠を逆手に取り、戦死を装って黒幕をあぶり出していました。ローランは退路を断たれ、ソヴールに捕らえられます。謀反と暗殺の罪を暴かれたジャコブは王族の地位と爵位を剥奪され、最後の悪あがきとしてテラスでビアンカを人質に取り、無理心中を図りました。彼女は隠し持っていた短剣で刺して抵抗し、その一瞬の隙にザカリーの矢が急所を貫きます。ジャコブは地面へ転落して息絶えました。戦後、病衰した国王に代わってオデリー王女が女王に即位し、ザカリーは公爵位を授けられます。ビアンカは難産の末に娘アレクサンドラを産み落としたものの、出血多量で心臓が止まって一度死亡しました。死後の世界で彼女は、前世の最期にザカリーを救うため自ら聖人の宿命を志願していた記憶を取り戻します。家族のもとへ帰りたいという訴えが届き、天から光が差し、使命の完遂を告げるラッパの音が鳴り響くなかで心臓が動き出しました。数年後、お転婆に育った娘と夫とともに穏やかな日々を送る彼女の手で、女性を家門の道具として扱う結婚商売という悪習は歴史から消えていきます。
続編「結婚商売2」で描かれる十年後(続編・参考)
物語はここで終わりません。続編ではアレクサンドラが15歳に育ち、令嬢ではなく騎士の道を志す時代が描かれます。名ばかりの王として即位したシリル・イレオン・ド・セブランは、家臣の裏切りで毒殺され、最愛のアレクサンドラも戦場で命を落とすという最悪の未来を迎えました。ところが目覚めた彼は10年前、5歳の姿に戻っていたのです。啓示を受けたシリルはアレクサンドラを騎士として育て、アルノー家の没落を防ぐ使命を背負います。川に流されて死ぬ運命だったヴァンサンを自ら飛び込んで救い、コルシカ伯爵エミリオの陰謀にも立ち向かっていきました。第47話までの時点で、シリルの正体はエヴァに気づかれ、彼は教皇庁へ向かっています。
みさきガチ評価・徹底考察

- ドレスの刺繍から陽の陰りまで描き込まれた、全編フルカラーの作画
- 保身のための打算が愛情へ変質していく、ビアンカの成長軌道
- 敵役ジャコブにまで同情が集まるほど厚みのある人物造形
- 序盤のビアンカが高圧的で、共感するまでに時間がかかる
「みさきの総評」 ー 打算で始まった契約が、本物の夫婦愛に化けるまで
序盤の不快さを越えた先に、壊れた関係を組み直す痛みと歓びが待っている再生のロマンスファンタジーです。
「結婚商売」に残された3つの余白

完結した今も読者の解釈が割れている箇所を、3つに絞って掘り下げます。どれも答えが一つに定まらないよう、作者が意図的に空白を残した部分です。
歓声にかき消された、最後の言葉
テラスから落ちる寸前、ジャコブはビアンカに向かって何かを口にします。ところがその声は勝利に沸く周囲の歓声に飲み込まれ、読者には一言も届きません。作中で最も議論を呼んでいる場面です。
有力な読みは「愛している」でしょう。母親に自死で置き去りにされ、兄姉にも冷たくあしらわれ、損得抜きで自分を求める人間を一人も持たずに育った彼にとって、ビアンカは唯一の執着でした。その感情を愛と呼び分ける言葉を、彼は最後まで持てなかったのかもしれません。
逆に「許さない」「呪ってやる」といった呪詛だったとする解釈も根強く残っています。人質に取った相手に短剣で刺され、恋敵の矢に貫かれた男が、最後まで支配欲を手放さなかったと読むこともできるからです。
どちらを採るかで、この敵役の悲劇性はまるで変わります。歓声で消したという演出は、読者一人ひとりに彼の内面と向き合わせ、自分の答えを出させるための仕掛けだったと考えられます。
ビアンカが生きた38年は、本当に「あった」のでしょうか
ビアンカ本人は、38歳で死んで18歳に戻ったと確信しています。ところがフランシス大司教は、回帰など存在しない、あるのは神が聖人に見せる未来予知だけだと断言しました。物語の時間設定そのものを揺さぶる問いです。
矛盾を解く鍵は、視点の置き場所にあります。ビアンカの側からすれば、寂しさも痛みも実感を伴う38年間でした。神の側から見れば、これから起こるはずだった破滅の未来を彼女の意識へ流し込んだだけの予知に過ぎません。同じ出来事が、立つ位置によって別物になります。
重要なのは、どちらが客観的に正しいかではありません。破滅の記憶を抱えたまま現在を生きているという事実こそが、夫の死を回避するという使命へ彼女を突き動かしている。大司教の言葉は、過去を取り戻したのではなく未来を託されたのだという自覚を促す役割を担っていました。
そして最終盤、死後の世界で彼女は前世の最期に自ら聖人を志願していた記憶を取り戻します。神に一方的に選ばれたのではなく、自分で引き受けていた。この一点が明かされたことで、回帰か予知かという議論は「誰が決めたのか」という別の問いへ着地しました。
ザカリーが悔いた「傲慢」の正体は、独占欲でした
ビアンカと結ばれたあと、ザカリーは自分を振り返って傲慢な考えだったと悔やみます。口数の少ない彼にしては珍しい告白で、何を後悔したのか掴みかねた読者が多い場面でした。
この傲慢とは、妻はまだ若いのだから自分が理性で待てばいいという紳士的な自信を指しています。難産で母を喪った記憶が重なり、彼は欲望を制御できる自分を信じていました。跡継ぎの提案を退けたのも、その自信ゆえです。
ところが実際の彼は、妻に近づく男の気配ひとつで嫉妬を持て余しました。フェルナンの誘惑、ジャコブの執着、王都の視線。理性で抑えられるはずだった感情が、次々と輪郭を現していきます。
彼女を尊重して待てるという自負が、誰にも触れさせたくないという本能の前で崩れ落ちた。その事実を認めた瞬間の一言が、あの告白でした。不器用な男が自分の愛を言葉にできた、最初の場面だったわけです。
登場人物・キャラクター分析
主要キャラクター
ビアンカ・ド・アルノー

本作の主人公で、アルノー伯爵家の女主人です。ブランシュフォール伯爵家の長女として9歳で嫁がされ、実家からの手紙も届かないまま、商売道具のように扱われた孤独が彼女を高慢に育てました。前世では贅沢に溺れ、夫の戦死後にすべてを失って38歳で息を引き取ります。
二度目の人生で選んだ手段は、恋愛ではなく跡継ぎを産んで立場を守るという冷徹な計算でした。その計画が破れると、前世で覚えたレース編みを産業に育て、領地に富をもたらします。神に選ばれた聖人としての使命を引き受け、最後は難産による心停止を越えて生還しました。
ザカリー・ド・アルノー

ビアンカの夫で、戦場では鉄血の伯爵と畏怖される武人です。異母兄に実家から無一文で追い出された過去を持ち、自らの腕一本で伯爵位、のちに公爵位まで登りつめました。表情に乏しく妻に無関心にも見えますが、内心は誰よりも彼女を気にかけています。
跡継ぎの提案を退けたのも、自分を産んで亡くなった母のことが頭を離れなかったからでした。妻の急変に戸惑い、他の男の影に嫉妬し、理性と本能の間で揺れながら自分の愛を認めていきます。前世では戦死する運命でしたが、罠を逆手に取って生還を果たしました。
ジャコブ・ド・セブラン

セブラン王国の第二王子で、物語最大の敵役です。整った容貌の裏に、他者を所有物として扱う支配欲を抱えています。実母に自死で置き去りにされ、肉親の誰からも愛されずに育った過去が、その歪みを形づくりました。
ビアンカに一目で取り憑かれ、吟遊詩人を雇って誘惑を仕掛け、拒まれるとその男の首を刎ねます。兄ゴティエを暗殺し、夫の偽の訃報を流してアルノー領を襲撃するに至りました。彼を単純な悪として片づけられないと語る読者が多く、愛を知らない気の毒な人だという声が方々から上がっています。
アレクサンドラ・ド・アルノー
ビアンカとザカリーの娘で、続編「結婚商売2〜忘れられない詩〜」のヒロインです。神に祝福された少女と呼ばれ、母譲りの美貌に父譲りの武の才を備えています。アルノー公爵家の唯一の後継者でありながら、令嬢の道ではなく騎士の道を選びました。
本編の最終盤では、母の命と引き換えのように生まれ落ちた赤子として登場し、数年後にはお転婆な少女に育っています。将来はセブラン国を統べる立場になることが示唆されており、続編ではその未来をめぐる攻防が物語の軸になります。
脇を固める重要人物たち
ヴァンサン

アルノー家の執事長で、家政と財政を一手に担う実務家です。ザカリーが無一文で放り出された時期から仕えてきた忠臣であり、実質的な家族でもあります。当初は浪費家の夫人を苦々しく見ていましたが、誰よりも早く彼女の変化に気づいた人物でもありました。
レース産業の立ち上げでは実務面を支え、経営者としてのビアンカを育てます。続編では川の濁流に飲まれて命を落とす運命にありましたが、回帰したシリルの介入で救われました。
イボンヌ

下女から専属侍女へ登用される、明るく気の利く女性です。回帰後のビアンカが最初に心を開いた相手で、レース工房の立ち上げにも走り回りました。孤独だった主人にとって、最初の理解者にあたる存在です。
軍部長ガスパルと身分差を越えて結ばれ、息子ガストンを授かります。続編ではアレクサンドラの乳母として仕えています。物語全体が彼女が幼い令嬢に語った昔話だったと最終盤で明かされる仕掛けもあり、語り手としての役目まで担った人物でした。
ガスパル

アルノー軍の軍部長を務める巨躯の男です。無口ですが一途で、ビアンカの専属護衛を任されてからは主人の身を体ひとつで守り続けます。イボンヌへの想いをまっすぐ育て、やがて夫婦になりました。
戦功により男爵位を授けられたものの領地は辞退し、妻とともにアルノー家に仕える道を選びます。出世よりも居場所を選んだ、この作品らしい人物です。
ソヴール
同じくアルノーの軍部長で、戦場の狂犬と呼ばれる実力派です。よく喋るお調子者に見えて、実務も戦闘も抜かりがありません。ザカリーの暗殺を企てたウィグ子爵を捕縛したのも彼でした。
オデリー・ド・セブラン
セブラン王国の王女で、ビアンカと互いの知性を認め合う友人になります。兄ゴティエの暗殺と父王の病衰を経て、国初の女王として即位しました。政治の場で聖女と公爵夫人という立場から支え合う二人の関係は、恋愛とは別軸の読みどころになっています。
ローラン
ウィグ子爵。ザカリーの異母兄で、弟を実家から無一文で追い出した張本人です。英雄として名を上げた弟への憎悪と嫉妬からジャコブと手を結び、戦場で暗殺の罠を仕掛けました。返り討ちに遭ってソヴールに捕らえられたところで、漫画版での登場は終わります。
フェルナン
美貌を武器に貴婦人へ取り入る吟遊詩人です。前世のビアンカが孤独の末に溺れ、最後には彼女を裏切って破滅へ突き落とした相手でもあります。今世でもジャコブとウィグ子爵に雇われて近づきますが、回帰後の彼女は一瞬も迷わず突き放しました。その結果、雇い主の嫉妬を買って首を刎ねられ、物語から退場します。
シリル・イレオン・ド・セブラン
続編の主人公で、セブラン王国の若き王です。実権を持たない名ばかりの立場で、家臣に毒殺され、最愛のアレクサンドラも失うという最悪の未来を迎えました。その死の淵から5歳の姿へ回帰します。体力も知識も同年代に劣る位置からの出直しで、前作の主人公とは対照的な立ち上がりを見せます。
苦手だった主人公が、目を離せない存在に変わるまで
本作の評価は序盤でくっきり二分されます。その落差そのものが作品の性格を映し出しているので、両側を順に見ていきます。
フルカラーの作画と、敵役にまで向かう熱量
称賛が集中するのは、まず作画の完成度です。ドレスの刺繍、宝飾品の質感、木漏れ日の陰りまで描き込まれており、画集として手元に置きたいという声が並びます。オフライン閲覧のために単話を全話買い直した読者もいるほどです。
人物評で熱量が高いのはジャコブでしょう。幼い頃から誰にも愛されず、母にも置き去りにされた彼に、温かい大人が一人でもいたら違う人生があったはずだと同情を寄せる読者が少なくありません。悪役の末路にスッキリするのではなく、その境遇を悼む声が集まる敵役は珍しい部類です。
夫婦の関係も高く評価されています。人格が丸ごと入れ替わるような都合のよい変化を主人公にさせず、元の性格を保ったまま少しずつ心を通わせていく。その加減が好ましいという感想が繰り返し寄せられました。
「序盤の主人公が苦手」という声と、その先に待つ景色
一方で厳しい意見が集まるのも序盤です。回帰したのに反省が浅い、花瓶を割って毛皮を買わせる意味が分からない、自己中心的で鼻についた。無料で読める範囲だけで離脱した読者がいるのは確かです。9歳で嫁ぎ18歳で世継ぎを迫られるという時代設定に、現代の感覚から抵抗を覚えた声もありました。
ただし同じ序盤を読んで、むしろ自然だと受け止めた読者も同じくらいいます。幼い頃に売られるように嫁がされ、味方も相談相手もなく部屋に閉じ込められていた女性が、一度死んで反省しただけで完璧な人格へ変われるはずがない。その不完全さを人間らしいと評価する読みです。
我慢して読み進めるうちに夫のザカリーが素敵で好きになった、中盤の王都編から一気に面白くなった、という証言が方々にあります。最初の数話で判断を下す前に、彼女がなぜ悪妻と呼ばれていたのか、どこから変わり始めるのかを見届けてみる価値のある作品です。
疑問を解消(Q&A)
読む前に確かめておきたい疑問へ、この記事で扱った内容から直接お答えします。結末に触れる回答は末尾にまとめ、折りたたんでおきました。
みさき「結婚商売」を一番お得に読む方法・まとめ
契約から始まった関係が、本物に変わるまでを見届ける
「結婚商売」の中心にあるのは、取引として結ばれた関係が真の夫婦愛へ姿を変えていく過程そのものです。前世で贅沢に溺れて孤独に死んだビアンカが、二度目の人生でまず選んだのは恋愛ではなく、跡継ぎを産んで立場を守るという計算でした。その打算が、愛する人を守りたいという願いへ置き換わっていく。読者が引き込まれるのはこの転換の丁寧さです。
寡黙なザカリーの側も同じ構造で描かれます。妻を尊重して待てるという自負が本能の前で崩れた瞬間に、彼は自分の愛を知りました。不器用な二人だからこそ、たどり着いた場所に重みが残ります。
全編フルカラーで描き込まれた作画、歓声にかき消されたジャコブの最後の言葉、回帰なのか未来予知なのかという問い。序盤の主人公が苦手だという声を承知したうえで申し上げますが、そこを越えた先の景色は確かに待っています。残された余白への自分なりの答えを、ぜひ本編で見つけてください。
購入するなら「コミックシーモア」がお得!
初回購入70%OFFクーポン ー 合計2,000円分まで何冊でも
本作の通常版は1話あたり60円前後(2026年8月時点)の分冊配信なので、2,000円分の割引枠だけでも30話以上をカバーできます。1話ずつの購入にも使えるうえ、有効期限は7日間あるため、どの話から買うか決めてから登録しても間に合います。
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