
「私を裏切ったはずの公爵様が離婚してくれません」は、初夜の翌朝に「愛なんて最初からない」と切り捨てられた花屋の娘エルナが、記憶を失い、取り戻し、それでも自分の足で立とうとする異世界ロマンスです。
ヒーローであるラフター公爵の過ちは、悪意ではなく正義感から生まれています。従兄の妻を助けようとした善意が無実の妻を死の淵まで追いやり、真実を知った彼は「離婚してから、もう一度求婚する」という異例の贖罪を口にしました。読者レビューが「許せない」で埋まりながら、それでも誰も読むのをやめられない理由がここにあります。
この記事では、あらすじとネタバレ、ラフターの行動に対する考察、キャラクター分析、そしてQ&Aまでをまとめました。原作小説で確定している結末にも、ネタバレ回答の中で触れています。
コミックシーモアなら、1話から買える。気になった話だけ読める。
「私を裏切ったはずの公爵様が離婚してくれません」あらすじ・ネタバレ
作品名:私を裏切ったはずの公爵様が離婚してくれません
作者:柏みなみ(原作)/藤原ちづる(漫画)
出版社:フレックスコミックス(ライブコミックス)
ステータス:連載中
巻数:分冊版 既刊21巻/単行本 既刊2巻(2026年8月時点)
連載媒体:COMICエトワール(きら星ポータル)
メディアミックスと原作小説 ー なろう版はすでに完結済み
2026年8月時点で、テレビアニメ化・実写化・舞台化のいずれも公式発表はありません。展開はコミカライズのみです。
原作は柏みなみ氏が「小説家になろう」に投稿した「公爵に求婚された令嬢は裏切りを知る〜私を捨てたはずの公爵は愛を乞う〜」で、全44話・2022年2月25日の更新で完結しています。現在も同サイトで最初から最後まで無料で読めるため、漫画版の続きが待ちきれない方は原作で結末まで確認できます。
タイトルが漫画版で短く付け替えられている点にも意味があります。原作の題名は「裏切りを知る」と「愛を乞う」という二部構成をそのまま示していますが、漫画版は「離婚してくれません」の一言に絞り、拒む妻と食い下がる夫という現在進行形の対立を前面に出しました。漫画から入った読者が原作を読むと、同じ物語が別の角度から見えてきます。
あらすじ ー 一夜だけ続いた幸せと、崖の下に消えた記憶
母が残した平民街の花屋「ヴィオレ」を営むエルナのもとに、ある日、帝国随一の魔力を持つ美貌の貴公子が現れます。スカイロッド公爵家当主にして騎士団長のラフターです。最初の出会いは最悪でしたが、何度も店に足を運ぶ彼を無下にもできず、贈られた紫水晶のネックレスに戸惑いながら、エルナは少しずつ心を開いていきました。
身分差に迷い、街を出ようとしたエルナに、ラフターは突然の求婚を告げます。プロポーズから一週間という慌ただしさの中で式を挙げ、初夜を終え、幸福なまま目を覚ました朝。ラフターが口にしたのは「愛なんて最初からない、僕らの前から消えてくれ」という決別の言葉でした。
理由も告げられないまま領地へ送り出されたエルナは、その道中で魔獣に襲われます。暴走した馬車ごと崖から転落し、消えていく意識に最後まで残ったのは、自分を捨てた夫の冷たい瞳だけでした。奇跡的に助かった彼女は、自分に関するすべての記憶を失っています。
ここから物語は、記憶のない一年と、真実を知ってしまった夫の後悔という二本の線で進んでいきます。誤解の中身と、その後の展開を先に知っておきたい方は、次のネタバレあらすじをご覧ください。
ネタバレあらすじ ー 誤解の正体、エルナの血筋、そして誘拐事件まで
【ネタバレ注意】「私を裏切ったはずの公爵様が離婚してくれません」の最新話まで読む(タップで開きます)
偽りの求婚と、初夜翌朝の決別(1巻〜3巻・出会い〜追放編)
物語の発端は、レイニード公爵アレクの妻シャーロットがラフターに持ちかけた浮気の相談でした。身重の妻を裏切る夫という構図を信じたラフターは、アレクと密会していた花屋の娘エルナを愛人と断定し、彼女をアレクから引き離すために接近します。調査のつもりで通ううちに本気で惹かれていく自分に苛立ちながらも、彼は計画を止めませんでした。急ごしらえの結婚式を挙げ、初夜を過ごし、翌朝には「愛なんて最初からない」と切り捨ててエルナを領地へ追いやります。追放の道中でエルナは魔獣に襲われ、馬車ごと崖から転落して行方不明となりました。エルナが媒体石を使わずに高度な魔法を操れると気づいていたラフターは、この時点でまだ彼女の正体を知りません。
「ウィステリア」の一年と、覆った誤解(4巻〜6巻・記憶喪失編)
崖から落ちたエルナは頭を強く打ち、自分に関する記憶をすべて失います。ソチアル伯爵家に保護され、藤色の瞳にちなんで「ウィステリア」という名を与えられた彼女は、次男ミゲルから求婚を受けるところまで生活を立て直していました。一方、エルナを失った後のラフターは、アレクから決定的な事実を告げられます。エルナは愛人ではなく、亡き父の遺言に従ってアレクが探し続けていた異母妹だったのです。事故から一年後、領内のソチアル伯爵家にエルナらしき女性がいるとの報せが入り、ラフターとアレクは急ぎ現地へ向かいました。夫だと名乗る美貌の公爵に連れ戻されたエルナは、自分が公爵夫人であることすら思い出せないまま、屋敷で穏やかな日々を送り始めます。庭に好きな花を植え、好物を揃え、思い出を語る彼に、彼女は再び惹かれていきました。
蘇った記憶と、離婚してからの再求婚宣言(7巻〜9巻・決裂編)
ラフターへの恋心を自覚しかけたある日、エルナは彼の部屋で見覚えのある箱を見つけます。その瞬間、二人が愛し合っていた幸せな記憶が鮮やかに戻り、同時に初夜翌朝の裏切りまでが完全な形で蘇りました。絶望と怒りに耐えきれず、エルナは媒体石なしで魔力を暴発させ、その場で意識を失って倒れます。目覚めた彼女はラフターを激しく拒み、離婚を強く求めました。自分の犯した罪の重さに向き合ったラフターが返したのは、想像を超える答えです。一度離婚してお互いに自由な立場へ戻り、そのうえで改めて求婚する。偽りで手に入れた関係をいったん白紙に戻し、エルナに断る自由を返すという宣言でした。
出生の真実と、命を削った癒し魔法(10巻〜12巻・王都編)
実父である前レイニード公爵が病に倒れ余命わずかだと知ったエルナは、王都へ向かいます。道中、誤解の元凶であるシャーロットが過去の行いを深く詫び、二人はわだかまりを解いて打ち解けました。王都で迎えてくれた叔母エシュピルナからは、跡継ぎを産めない自分の代わりに、エルナの母サンドラが彼女を身籠ったという出生の経緯を聞かされます。幼い頃に刺客へ襲われたとき、サンドラが命と引き換えに守護の魔法をかけて自分を生かしたことも、エルナはそこで思い出しました。父の命が尽きかけた最期の瞬間、彼女は「死なないでほしい」という願いだけで、媒体石を使わずに未知の癒し魔法を発動させます。魔力枯渇の寸前でラフターに引き剥がされたエルナは倒れ、前公爵は一命を取り留めました。
魔塔の影と、婚姻を続けるという選択(13巻〜15巻・舞踏会準備編)
媒体石なしで癒し魔法を使うエルナの力を、魔塔の神官たちが嗅ぎつけます。母サンドラと同じように魔塔で暮らすようにという勧誘は執拗で、断り続けるだけでは収まりません。エルナは、父を完全に回復させて後ろ盾を得るまでの盾として、ラフターとの婚姻を当面続けるという実利的な判断を下しました。愛情から選んだ継続ではないと自分に言い聞かせる一方で、真夜中に指輪を届けに来るような彼のアプローチは止まりません。魔塔の誘いを公に断る大義名分として、エルナは公爵家の娘として王城の舞踏会に出ることになり、慣れないダンスの練習を始めます。パートナー役を務めたのは渋々受け入れたラフターで、近すぎる距離と滑らかなリードに、彼女の心は静かに乱されました。
社交界の罠と、消えたエルナ(16巻〜21巻・21巻の到達点)
初めての社交界となった王城の舞踏会で、エルナは王族や神官たちの思惑に取り囲まれます。ラフターが隣国の皇女と仕事の話で席を外した隙に、彼の元恋人を名乗る令嬢イライザが接触してきました。翌日にはイライザから花の品評会への誘いが届き、シャーロットと相談のうえ断ったものの、続けて魔法で「助けてほしい」という不審な連絡が入ります。気分転換に庭の花を見ていたエルナは、イライザが仕掛けた結界の罠にかかり、そのまま何者かに連れ去られてしまいました。報せを受けたラフターは、そばにいられなかった後悔に打ちのめされながら、結界の手口から軍の諜報部の関与を疑います。怪しい馬車の目撃情報を掴んだ彼が追跡を開始したところで、21巻は幕を下ろしました。
みさきガチ評価・徹底考察

- 善意から出た行動がヒロインを壊すという構造が、後悔系ロマンスにはない緊張を生んでいる
- 藤原ちづる氏の繊細な作画が、エルナの絶望とラフターの苦悩を表情だけで伝えてくる
- 身分差の恋に血筋の秘密と魔塔の思惑が絡み、恋愛だけでは終わらない多層的な展開が続く
- ラフターの初夜翌朝の仕打ちが重すぎて、最後まで彼を受け入れられない読者が一定数いる
「みさきの総評」 ー 「許せない」が「先が気になる」に変わる感情設計
独善的な正義が招いた悲劇という冷たい構造が、後悔ものにありがちな甘さを断ち切り、読者の怒りをそのまま推進力へ変えています。
許せないヒーローを、それでも読ませてしまう構造

レビュー欄を開くと、ラフターへの批判が並びます。それでも同じ読者が最新巻まで追い続けている。この矛盾こそ本作の設計が効いている証拠で、三つの仕掛けから読み解いていきます。
善意の暴走が生んだ、悪意より重い罪
ラフターの行動でどうしても引っかかるのは、帝国随一と言われる立場と能力を持ちながら、エルナ本人に一度も確認しなかった点です。従兄の妻シャーロットから相談を受けた彼は、身重の妻を裏切る浮気相手というレッテルをそのまま貼りました。正義感が強い人間ほど、被害者の言葉を疑うことができません。加害者と決めた相手に弁明の機会を与える必要すら感じなかったのです。
この思考の裏側には、貴族社会で育った人間の無自覚な傲慢さが透けます。エルナが大切にしていた媒体石の指輪も、兄妹の絆の証ではなく不貞の証拠にしか見えなかった。公爵という立場が与えた自信が、皮肉にも最悪の判断を後押しした形です。読者から「親友とサシで話せばよかった」という声が上がるのも当然で、対話一回で解ける誤解だったからこそ、崩れ方の派手さが際立ちます。
悪人が悪事を働く話なら、読者は安心して憎めます。ところが本作は、善良であろうとした人間が善良さゆえに人を壊しました。「許せないけれど、理解できないわけでもない」という宙ぶらりんの感情が生まれ、その居心地の悪さがページをめくる手を止めさせません。読者が抱えているのは怒りではなく、決着を見届けたいという執着に近いものです。
記憶喪失は、やり直しの装置ではなかった
崖から落ちて記憶を失ったエルナは、ウィステリアという名で一年間を穏やかに過ごしました。この記憶喪失は、劇的な演出のために置かれた設定ではありません。物語の芯に関わる装置として機能しています。
過去を知らない彼女に対して、ラフターは初めて計算のない優しさを差し出します。好きな花を庭に植え、好物を揃え、時間を作って寄り添う。偽りの求婚期間の演技とは明らかに質が違う、後悔に裏打ちされた行動です。読者はここで「このまま何も思い出さなければ、二人はうまくいくのに」という切ない期待を持たされます。
だからこそ、箱を見た瞬間の反動が大きくなります。積み上がりかけた信頼が、過去の記憶ひとつで粉々になる。魔力の暴発という形で身体まで壊れてしまうのは、心が受け止めきれなかったことの証明です。記憶喪失はやり直しの可能性を見せておいて、過去は消せないという現実を突きつけるために置かれていました。
読者の中に「記憶がないのをいいことに、なかったことにして溺愛するのか」という反発があるのも見逃せません。その反発は作品の欠点ではなく、狙い通りに機能した結果です。エルナが記憶を取り戻して拒絶する展開が、その苛立ちをきちんと回収しています。
「離婚してから求婚する」は誠意か、身勝手か
ラフターが口にした「一度離婚し、自由になってから改めて求婚する」という選択は、読者の評価がはっきり割れる場面です。結局また自分のペースに引き込もうとしているだけだという批判もあれば、偽りの関係を清算しようとする姿勢は筋が通っているという擁護もあります。
宣言の本質は、今の婚姻がエルナの意志ではなく自分の策略で成立したものだと、彼自身が認めた点にあります。騙して手に入れた関係を維持し続けることは、形を変えた支配の延長でしかありません。すべてを白紙に戻し、断る自由を返したうえで選び直してもらう。拒絶される恐怖を引き受けるという意味で、これは彼にとって最も厳しい贖罪の形です。
ただし、エルナが今も婚姻を続けている理由は愛情ではありません。魔塔の干渉から身を守るための、冷静な計算です。彼女は自分の力と血筋を知り、誰かの付属物としてではなく自分の判断で立つことを選び始めています。ラフターの誠意が届くかどうかは、まだ答えの出ていない問いとして残されました。
そしてイライザによる誘拐が起きた今、二人の関係は感情の問題から生死の問題へ移りました。求婚のやり直しを語る前に、彼女を取り戻せるのか。ラフターに突きつけられているのは、言葉ではなく行動です。
登場人物・キャラクター分析
主要キャラクター
エルナ

母から受け継いだ花屋「ヴィオレ」を営んでいた平民の女性で、その正体は先代レイニード公爵の隠し子、つまりアレクの異母妹です。仕事に誇りを持ち、簡単に人に流されない芯の強さを備えています。ラフターの偽りの求婚を受け入れ、初夜の翌朝に切り捨てられ、崖からの転落で記憶を失うという過酷な道をたどりました。記憶を取り戻してからは離婚を求め続けていますが、魔塔の干渉を避けるために婚姻を継続しています。母サンドラから受け継いだ癒し魔法は、媒体石なしで発動できる希少な力です。
ラフター=スカイロッド

帝国随一の魔力を持つスカイロッド公爵家の当主で、騎士団長も務めています。有能である一方、思い込みが激しく独善的に突き進む危うさを抱えた人物です。従兄アレクの妻シャーロットの相談を鵜呑みにしてエルナを浮気相手と誤認し、偽りの愛で罠にかけました。真実を知った後は狂おしいほどの後悔に囚われ、「離婚したうえで、もう一度求婚する」と宣言します。誘拐されたエルナを追う今も、そばにいられなかった自分を責め続けている状態です。
アレキサンダー・レイニード

レイニード公爵家の現当主で、ラフターの従兄にあたります。穏やかで家族思いな性格で、亡き父の遺言を守って生き別れの妹を探し続けてきました。エルナと交わしていた密会は兄妹としての交流であり、贈った媒体石の指輪が皮肉にも誤解の決定打となります。真実をラフターに突きつけ、彼を絶望的な後悔へ突き落とした人物でもありました。現在は妹を公爵家の一員として保護し、王都の邸宅で見守っています。
シャーロット

アレクの妻でレイニード公爵夫人、元は王女という立場の女性です。妊娠中の不安から夫の浮気を疑い、ラフターへ相談したことが一連の悲劇の引き金となりました。疑心暗鬼に陥りやすい一方で、自分の非を認めて頭を下げられる誠実さも併せ持っています。エルナの素性が判明した後は深く反省し、王都への道中で本音をぶつけ合ったことをきっかけに、頼れる義姉として寄り添うようになりました。
ミゲル

ソチアル伯爵家の次男で、記憶を失ったエルナを保護し「ウィステリア」の名を与えた人物です。表向きは記憶のない女性を支える紳士的な青年として振る舞い、求婚するところまで関係を進めました。読者からは「ラフターよりよほど真っ当」と同情を集めた存在でもあります。しかし裏では公爵暗殺を企てる犯罪に関わっており、その罪が露見して物語から退場することになりました。
脇を固める重要人物たち
前レイニード公爵(ぜんレイニードこうしゃく)
アレクとエルナの実父で、帝国でも屈指の魔法の使い手です。病に倒れて余命わずかとなっていましたが、エルナが命を削って発動させた癒し魔法によって一命を取り留めました。娘を溺愛しており、ラフターとの離婚を全力で後押ししようとする強力な味方でもあります。
エシュピルナ
アレクとエルナの叔母にあたる女性です。跡継ぎを産めない責任からサンドラに代理を頼んだ過去を持ち、エルナの出生にまつわる真実を本人へ伝える役割を担いました。無茶な魔法を使った姪を泣きながら叱るなど、家族としての情の深さが伝わってきます。
サンドラ
エルナの実母で、花屋「ヴィオレ」の元の主です。魔塔に関わりのある人物で、エシュピルナの代わりにエルナを産みました。幼い娘が刺客に襲われた際、自らの命と引き換えに守護の魔法をかけて彼女を生かしています。エルナの癒し魔法は、この母から受け継いだ力です。
イライザ
ラフターの元恋人を名乗る令嬢で、舞踏会の場でエルナに接近してきました。花の品評会への誘いを断られた後も、助けを求める魔法の連絡でエルナを庭へ誘い出します。仕掛けた結界の罠でエルナを誘拐した張本人であり、その目的と背後関係は21巻時点でまだ明かされていません。
神官たち(しんかんたち)
魔塔に属する聖職者たちです。媒体石を使わずに癒し魔法を放ったエルナの力を察知し、母サンドラと同じように魔塔で暮らすよう執拗に迫ってきます。彼らの干渉こそが、エルナが離婚を先送りしてラフターとの婚姻を続けざるを得ない直接の原因です。
隣国の皇女(りんごくのこうじょ)
舞踏会に現れた美しい皇女で、ラフターと仕事の話をするために席を外させた人物です。二人が親しげに去っていく場面はエルナに強い動揺を与え、直後のイライザ接触へと繋がりました。社交界に慣れないエルナが自分の立ち位置を思い知らされる場面でもあります。
ソチアル伯爵(ソチアルはくしゃく)
ミゲルの父で、スカイロッド公爵領を治める領主のひとりです。記憶を失ったエルナをウィステリアとして家に迎え入れ、一年間の生活を支えました。舞踏会では夫妻でエルナと再会し、懐かしい顔として会話に加わっています。
怒りが執着に変わる、レビュー欄の温度差
ラフターを許せないまま、それでも続きを読む人たち
各ストアのレビューで最も目立つのは、ラフターへの強い拒否感です。確認もせずエルナを罠にかけ、関係を持った翌朝に人格ごと否定する言葉を浴びせた行為は、多くの読者にとって受け入れがたいものでした。「親友とサシで話し合えばよかった」「公爵という立場の人間がこんなリスクを負う計画を実行するのは考えにくい」と、行動の不自然さを冷静に指摘する声も少なくありません。中には、反省の態度が足りないとして読むのをやめると宣言した人もいます。
興味深いのは、その怒りの多くが離脱に結びついていない点です。「もっと痛い目にあってほしい」「後悔しまくれ」という言葉は、裏を返せば彼の贖罪の過程を最後まで見届けたいという意思表示になっています。最初は嫌いだったのに今では応援している、と自分の変化を書き添える読者も現れました。ヒーローへの反感を作品への執着に変換してしまうところに、この物語の巧妙さがあります。
物語の作りそのものを評価する声も安定しています。13巻あたりまで読んだ読者からは、恋愛の枠を超えて出生の秘密や国家規模の陰謀へ広がっていく構成に驚いたという感想が届きました。評価点が伸びにくいのはラフターへの嫌悪が原因だと分析したうえで、物語は面白いと結論づけているレビューは、この作品の評価構造をよく言い当てています。
エルナだけが苦労している ー 周囲へ向かう第二の火種
不満はラフター一人に向いているわけではありません。誤解の発端を作ったシャーロットが、謝罪の後はすっかりエルナの味方の顔で振る舞っていることへの違和感を書く読者が複数います。夫を信じていればこんなことにはならなかったはずだという指摘は、物語が急いで和解へ進んだ部分を的確に突いています。アレクについても、遺言に従って妹を探していただけとはいえ、もう少し慎重に動けたのではという声がありました。
より根深いのは、公爵家の人々の善意そのものへの居心地の悪さです。良かれと思ってエルナに与えられるあれこれが、平民として生きてきた彼女にとっては押し売りに近いという読み方があります。振り回されて苦労するのはいつも彼女一人で、その構図が変わらない限り、また同じことが起きるのではないかという不安が読者側に残り続けています。
こうした不満は、そのまま物語への期待の裏返しでもあります。エルナが自分の力と血筋を知り、誰の付属物でもない立場を手に入れつつある今、読者が見たいのは彼女が守られる姿ではなく、自分で選び取る姿です。誘拐という最大の危機を経て彼女がどう戻ってくるのか、そこに関心が集まっています。
疑問を解消(Q&A)
導入の衝撃が強い作品だけに、読み始める前に確かめておきたいことが多いはずです。よく寄せられる疑問に、ひとつずつお答えします。
みさき「私を裏切ったはずの公爵様が離婚してくれません」を一番お得に読む方法・まとめ
裏切りの傷を越えて、自分の足で立つ女性の物語
一度壊れた信頼を取り戻すのは、魔法よりもずっと難しいことです。この作品が描いているのは、甘い溺愛ロマンスの皮をかぶった自立の物語にほかなりません。ラフターの独善によって人生を壊されたエルナが、記憶喪失という空白の一年を経て自分の出自と力に向き合い、誰の付属物でもない場所を掴み取ろうとする姿がこの物語の芯にあります。
藤原ちづる氏の作画は、エルナが涙をこらえる瞬間も、ラフターが後悔に歪む横顔も、一コマとして見逃させません。COMICエトワールが得意とする細やかな心理描写と、なろう原作ならではの厚みのある構成が噛み合った一作です。血筋の因縁、魔塔の思惑、社交界の駆け引きと、恋愛の外側にも読ませる要素が積み上がっていきます。
ヒーローが許せないという入口から読み始めて、気づけばエルナの選ぶ未来を見届けずにいられなくなる。その感情の変化を自分で体験することが、この物語の一番の贈り物です。
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本作は1冊150ポイントから160ポイントの分冊版なので(2026年8月時点)、続きを何冊かまとめてもクーポンの枠に収まります。1話ずつの購入にも使えるうえ、有効期限は7日間あるため、どの話を買うか決めてから登録しても間に合います。
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