日常から少し離れて、手に汗握る緊張感や、登場人物たちの複雑な心理に深く触れたいと感じることはありませんか。もし、そのような知的な刺激を求めているなら、和泉かねよし先生が描く「コールドゲーム」は、まさにうってつけの作品かもしれません。
本作は、隣国へ政略結婚で赴くことになった王女アルナが、侍女と入れ替わり、女騎士「スミレ」として宮廷に潜入するところから始まります。しかし、そこは正妃の座を巡り、候補者たちが策略を巡らせ、時には命さえ奪い合う過酷な場所でした。身分を偽る主人公と、同じく素性を隠す若き国王。二人の禁断の関係と、息もつかせぬ権力闘争が織りなす「宮廷サバイバル」は、一度読み始めるとページをめくる手が止まらなくなるでしょう。
この記事では、「コールドゲーム」の基本情報から、ネタバレに配慮したあらすじ、魅力的な登場人物たちの紹介、作品を貫くテーマや読者を惹きつけるポイントの深掘り考察、そしてSNSなどで見られる読者のリアルな感想・評判まで、包括的に徹底解説します。さらに、ボイスコミックなどの関連情報や、気になる疑問にお答えするQ&A、お得に読む方法などもご紹介。
読み終える頃には、本作の持つ独特な魅力と、読むべきかどうかの判断材料が、きっと明確になっているはずです。どうぞ最後までお付き合いください。
作品名：「コールドゲーム」
作者：和泉かねよし
ステータス：連載中
巻数：9巻
連載：ベツコミ
以下の方法で読むことができます。
- 電子書籍：Kindle、eBookJapan、ブックライブなどで配信中。
多くの電子書籍ストアでは、無料で試し読みもできます。 - 紙の書籍：全国の書店で発売中。オンライン書店でも購入可能です。
「コールドゲーム」とは？【作品概要とあらすじ】
まずは基本情報をチェック
本作を手がけるのは、大ヒット作「女王の花」でも知られる和泉かねよし先生です。強くしなやかな女性を描くことに定評があり、本作でもその筆致は健在。発表当初から注目を集め、複数の出版社が合同で開催したフェアで推薦されたり、「このマンガがすごい！」にもランクインしたりと、業界内外で高い評価を受けています。緻密に練られた世界観と、登場人物たちの生き様から目が離せません。
ジャンルとテーマ解説
架空の王国を舞台とした「ファンタジー」でありながら、正妃の座を巡る命がけの争いを描く「宮廷サバイバル」、そして主人公と国王の間に芽生える「ロマンス」といった要素が複雑に絡み合っています。
中心となるテーマは、まさにタイトルが示す通りの「コールドゲーム」—つまり、感情を排した冷徹な生き残りをかけた権力争いです。また、主要な登場人物たちが本当の自分を隠して生きる葛藤や、忠誠と裏切りが交錯する人間関係、そして極限状況だからこそ燃え上がる禁断の恋愛模様も、重要な要素として描かれています。
息詰まるような緊張感のある展開や、登場人物たちの心理的な駆け引き、一筋縄ではいかないロマンスに関心のある方には、特に深く響く作品ではないでしょうか。
物語への誘い「コールドゲーム」のあらすじ（ネタバレなし）
B国の王女アルナは、15歳にして隣国であるE国へ政略結婚のため嫁ぐことになります。しかし、そのE国は1年前に王が代替わりして以降、不穏な噂が絶えず、情報も掴めない謎多き国。自身の安全とE国の実情を探るため、アルナは父王の命により、容姿の似た侍女カミラと入れ替わることを決意します。アルナは護衛の女騎士「カミラ」（後に周囲から「スミレ」と呼ばれる）を名乗り、本物のカミラが「アルナ王女」として振る舞うことに。
E国に到着した彼女たちを待ち受けていたのは、衝撃の事実でした。アルナ（本物のカミラ）は唯一の王妃候補ではなく、すでに集められていた5人に続く、序列6位の末席候補として迎えられたのです。そこは、たった一つの正妃の座を巡り、6人の候補者たちが策略を巡らせ、時には命を落とす者さえいる、冷徹で過酷な「戦場」でした。
物語の核心へ 深掘りあらすじ【⚠️ここからネタバレを含みます】
以下の内容は物語の核心に触れるネタバレを含みますので、未読の方はご注意ください。
【ネタバレ注意】深掘りあらすじを見るにはここをタップ
第一部：偽りの騎士、陰謀渦巻く宮廷へ（1～2巻頃）
女騎士「スミレ」となったアルナは、表向きは偽のアルナ王女（カミラ）を守りつつ、宮廷内の情報収集を開始します。しかし早々に、正妃候補の一人であるリズィーが、アン・グレゴリーの残酷な策略により無実の罪で処刑されるのを目の当たりにし、この宮廷が文字通りの「戦場」であることを痛感。アンへの警戒を強める中、スミレは度々、謎めいた少年（後のアーサー）と遭遇します。王が参加する晩餐会で、カザリンの機転により偽アルナ（カミラ）の序列が引き上げられアンに一矢報いるも、スミレ自身が何者かに誘拐される事態が発生。世話係のエドワードは、スミレ救出のため、以前からその正体を疑っていた「魔界小僧」ことアーサーに助けを求めます。
第二部：若き王の秘められた過去（3巻頃）
時間は少し遡り、若き日のアーサーの過去が描かれます。冒険に憧れる純粋な王子だったアーサーは、囚われの北の民ヴァリーと出会い、師弟のような絆を育みます。しかし、父王の死後、即位した異母兄ヘンリーは豹変。アーサーを辺境へ追いやり、最終的には最も信頼していたヴァリーを自身の目の前で処刑するよう命じます。ヴァリーはアーサーの未来のために自ら死を選び、この経験がアーサーの冷徹な仮面と、国を変えようとする強い意志の根源となったことが明かされます。現在に戻り、アーサーは自身の正体を明かし、スミレを従者として迎え入れます。
第三部：失われた絆と新たな決意（4～5巻頃）
アーサーとエドワードから剣の稽古を受け、騎士としての能力を高めようとするスミレ。しかし、E国での生活に精神的に追い詰められていた侍女カミラが失踪。スミレたちが捜索に向かった先で、カミラはアン・グレゴリーに利用されたリズィーの元恋人によって殺害されていたことが判明します（読者にはカミラが最期はアルナを守ろうとした可能性が示唆されます）。カミラの死を知り悲しみに暮れるスミレですが、彼女の想いを胸に、アーサーの騎士としてE国で戦い抜く決意を新たにします。この事件は、スミレが単なる潜入者から、E国の未来に関わる当事者へと意識を変える大きな転機となりました。一方で、有力な妃候補クリスティナ・ディアラムの存在感も増していきます。
第四部：戦乙女の誕生と迫る危機（6～9巻頃）
騎士スミレ（アルナ）の活躍は目覚ましく、戦場での働きぶりなどから「戦乙女（ヴァルキリー）」と称賛されるようになります。その功績を認められ、アーサー王の正式な副官に任命されるという異例の昇進を遂げますが、これは同時に古参兵たちの反発も招きます。アーサーとの関係はより親密になりますが、アーサーはスミレの中に亡き親友ヴァリーの面影を見ている節があり、複雑な感情を抱えている様子。さらに、死んだはずのヴァリーに酷似した人物が現れ、アーサーに剣を向けるという不穏な事態も発生します。軍事力を持つディアラム家の後ろ盾を得たクリスティナとの政治的な駆け引きも続き、スミレの影響力が増すにつれて、アーサーやクリスティナなど、彼女の正体に気づき始めているような描写も見られ、常に危険と隣り合わせの状態です。
第五部：最新の展開と今後の注目点（9巻時点）
副官となったスミレは、兵士たちの不満や反発を乗り越え、自身の能力を証明しようと奮闘しています。アーサーに近づける存在になりたい一心で困難に立ち向かう一方、アーサーはヴァリーを騙る（あるいはヴァリーそのものである可能性も残る）謎の人物との対峙により、内面の葛藤を深めています。E国内の権力闘争や、外部勢力との緊張関係は激化の一途をたどっており、物語は予断を許さない状況です。スミレとアーサーの関係の行方、熾烈な争いの結末、そしていつか訪れるかもしれない正体露見の瞬間が、今後の大きな注目点となるでしょう。
登場人物と作品の深掘り【キャラクター＆レビュー】
登場人物 相関図
スミレ（アルナ）
B国の第五王女。政略結婚のため赴いたE国で、侍女と入れ替わり護衛の女騎士「スミレ」を名乗る。剣技に優れ、困難に立ち向かう強い意志の持ち主。正体を隠し、過酷な宮廷での生存を目指す。
アーサー
E国の若き国王。前王の異母弟。彼自身も従兄弟と入れ替わり、本当の身分を隠している。容姿端麗だが、複雑な過去と秘密を抱える。国の未来のため、時に冷徹な判断も下す。
カミラ
アルナの侍女。王家の傍流出身で、アルナと容姿が似ている。アルナの身代わりとしてE国で王女を演じる。気弱な面もあるが、アルナへの忠誠心は深い。
アン・グレゴリー
E国の大貴族グレゴリー家の娘で、正妃候補の一人。表向きは穏やかな淑女を装うが、その本性は極めて残虐。目的のためには手段を選ばない冷酷な策略家。
クリスティナ・ディアラム
アン・グレゴリーの姉で、同じく有力な正妃候補。ディアラム卿の未亡人。高い教養と美貌を持ち、人心掌握に長ける。軍事的な影響力も持ち、その真意は計り知れない。
エドワード・ヒューズ
E国の貴族ヒューズ家の長男。スミレ（偽カミラ）たちの世話係。口は悪いが裏表がなく、根は実直で仲間思い。後にアーサーやスミレの頼れる協力者となる。
ケイ・サセックス
アーサーの従兄弟。アーサーと入れ替わり、国王の影武者として執務を行う。知的で冷静沈着な人物。アーサーの良き理解者であり、重要な協力者。
ヘンリー
先代のE国国王で、アーサーの異母兄（故人）。表向きは穏やかな人物に見えたが、実際は残虐な二面性を持っていたとされる。彼の統治と突然の死が、現在のE国の混乱の一因となっている。
カザリン
大国S国出身の姫。E国の正妃候補としては序列1位。故ヘンリー王の元妻であり、アーサーにとっては義理の姉にあたる。プライドが高く厳格だが、理不尽を嫌う気高さも持つ。妃候補たちの序列に影響力を持つ。
私がハマった理由！見どころ＆魅力を語らせて！
裏切りと策略が渦巻く、緊迫の宮廷劇
まず特筆すべきは、その息詰まるような緊張感です。本作の舞台となるE国の宮廷は、まさに「コールドゲーム」というタイトルの通り、情けや甘さが命取りになりかねない冷徹な場所。正妃の座という唯一の目標のため、登場人物たちは容赦ない策略を巡らせ、時には人の命すら駒として扱います。読者レビューでも「ドロドロ」「怖い」といった声が見られますが、その計算され尽くした非情な駆け引きこそが、本作の強烈な魅力と言えるでしょう。一瞬たりとも気が抜けず、ページをめくる手が止まらなくなるはずです。
仮面の下の真実—惹かれ合う二人の危うい絆
本作が他と一線を画すのは、主人公アルナ（スミレ）だけでなく、相手役となる国王アーサーまでもが身分を偽っているという複雑な設定です。互いに本当の姿を隠しながら惹かれ合っていく二人の関係は、常に危険と隣り合わせ。いつ正体が暴かれるか分からないスリルと、素性を偽るが故の切なさが同居しています。この「偽り」の構造は、単なる設定に留まらず、「本当の自分とは何か」「真実を隠して生きる意味は」といった深い問いを投げかけており、物語に奥行きを与えている点も見逃せません。
逆境で輝きを増す、強く気高いヒロイン
作者である和泉かねよし先生は、困難に立ち向かう強くしなやかなヒロインを描くことに定評がありますが、本作の主人公アルナ（スミレ）もまさにその系譜に連なります。王女でありながら剣を取り、侍女と入れ替わって敵地に潜入するという逆境の中、彼女は持ち前の気高さと強い意志で道を切り開こうとします。最初は戸惑いながらも、数々の試練を経て精神的に成長していく姿は、多くの読者の共感を呼んでいます。ただ守られるだけではない、自ら戦うヒロインの凛々しさに、きっと心惹かれることでしょう。
みんなはどう感じた？リアルな感想・評判をのぞき見！
息をのむ展開に引き込まれる！ポジティブな声を紹介
読者の感想に目を通すと、まずストーリー展開の巧みさや、先の読めない緊張感に対する高い評価が目立ちます。「面白い」「続きが気になる」「読み応えがある」といった声が多く、特に宮廷内の権力闘争や策略が渦巻く「ドロドロ」とした雰囲気に強く引き込まれている方が多いようです。容赦のない展開に驚きつつも、そのシリアスさが本作の魅力として受け止められています。
また、登場人物たちも人気の理由です。主人公アルナ（スミレ）に対しては、「強い」「凛々しい」「カッコいい」といった称賛の声が多数寄せられており、逆境の中で成長していく姿が共感を呼んでいます。相手役となる国王アーサーの謎めいた魅力や、協力者であるエドワードをはじめとする脇役たちの個性も好意的に受け止められている様子。和泉かねよし先生ならではの美しい作画も、作品世界への没入感を高める要素として評価されています。
「重い展開が苦手…」気になる意見もチェック
一方で、そのシリアスで重厚な内容ゆえに、「読むのが辛い」「気持ちが重くなる」と感じる方もいるようです。特に物語序盤から描かれる残酷な描写（処刑シーンなど）や、登場人物たちが直面する過酷な状況は、読者によっては好みが分かれる点かもしれません。
また、主人公たちの「身分偽装」という設定に対して、先の展開や最終的な結末に強い不安を感じるという声も少なくありません。「秘密を抱えたままでは幸せになれないのでは？」といった切実な感想からは、読者が深く感情移入している様子がうかがえます。その他、一部のキャラクターへの同情や、国名のアルファベット表記への違和感を指摘する意見も見られました。これらの点を踏まえると、特に重い展開や悲劇的な要素が苦手な方は、少し心構えが必要かもしれません。
【わたしのガチ評価】漫画好き女子が本音レビュー！
- 息詰まるような緊張感が続く、冷徹な宮廷サバイバルが見事です。
- 身分を偽る登場人物たちの、複雑で危うい関係性の描写に引き込まれます。
- 主人公をはじめ、敵役も含めて個性的で記憶に残るキャラクターが揃っています。
- 物語の序盤には、人によっては抵抗を感じる可能性のある残酷な描写が見られます。
- 設定上、物語がどのような結末を迎えるのか、不安を感じさせる側面もあります。
特に素晴らしいと感じた点
まず挙げたいのは、読者を惹きつけて離さない緊張感あふれる宮廷劇です。正妃の座を巡る争いは、単なる女性同士の競い合いではなく、命がけの策略と裏切りが渦巻く文字通りの「生存競争」として描かれています。いつ誰が味方で敵になるか分からない状況は、常に読者の予想を裏切り、ページをめくる手を加速させます。この息が詰まるほどのサスペンスこそ、本作の大きな魅力と言えるでしょう。
次に、「偽り」を軸にした人間関係の深掘りも秀逸です。主人公と国王が互いに素性を隠しているという設定は、二人の間に特別な緊張感と切なさをもたらします。本心を明かせないもどかしさ、正体が露見することへの恐怖、それでも惹かれ合ってしまう心の動きが丁寧に描かれており、読者は彼らの危うい関係性から目が離せなくなります。この複雑な心理描写が、物語に確かな奥行きを与えています。
そして、登場人物たちの造形も忘れてはなりません。逆境の中で輝きを増す主人公アルナ（スミレ）の強さと成長はもちろん、謎多き国王アーサー、それぞれの思惑で動く妃候補たち（特にアンやクリスティナの強烈な個性）、彼らを支える脇役に至るまで、一人ひとりが非常に印象的です。彼らの存在が、この重厚なドラマをより一層魅力的なものにしています。
留意しておきたい点
一方で、いくつか留意しておきたい点もあります。まず、物語の序盤で描かれる一部の出来事には、かなりショッキングで残酷な描写が含まれています。宮廷の非情さを表現する上で効果的ではありますが、こうした描写が苦手な方は、読む際に少し心構えが必要かもしれません。
また、主人公たちが抱える「身分偽装」という秘密や、物語全体のシリアスな雰囲気から、最終的な結末に対して不安を感じる方もいるようです。ハッピーエンドを強く望む読者にとっては、常に付きまとう不穏さが気になる可能性があります。この点は、作品が持つ緊張感と表裏一体の部分とも言えるでしょう。
総合的な評価：★★★★☆ 4.0/5点
いくつかの留意点はあるものの、それを補って余りある知的な興奮と、深く重厚な人間ドラマを味わえる作品です。息詰まるサスペンス、複雑なキャラクターたちの心理描写、そして逆境に立ち向かうヒロインの姿は、読者を強く引き込みます。シリアスな展開や、一筋縄ではいかない関係性を描いた作品に関心のある方には、ぜひ一度手に取っていただきたい、読み応えのある一作だと評価します。
Q&A・用語解説【疑問解決】
用語集
B国
主人公アルナの故郷の国です。隣国E国へ、アルナを政略結婚のために送り出します。
E国
物語の主な舞台となる大国。アルナが嫁ぐことになった国ですが、王の代替わり以降、国内情勢が不安定になっています。
正妃候補
E国の国王の正妻（正妃）の座を争う候補者たちです。アルナを含め、当初は6人いました。彼女たちの間で激しい争いが繰り広げられます。
身分偽装
登場人物が、自分の本当の身分や名前を隠して、別人を装うことです。本作では、主人公アルナや国王アーサーがこれを行っています。
女騎士（スミレ）
主人公アルナが、自分の身分を隠してE国の宮廷に入るために名乗った、護衛の騎士という偽りの立場です。「スミレ」は後に周囲が付けた愛称。
戦乙女（ヴァルキリー）
騎士スミレ（アルナ）が、戦いなどで優れた活躍を見せたことで呼ばれるようになった勇ましい称号です。
ボイスコミック
漫画の絵に合わせて声優の声や効果音が付いたものです。本作では、単行本の特装版特典として制作されました。
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作者について
和泉 かねよし
いずみ かねよし
静岡県伊豆地方在住。血液型は本人曰く「多分A型」。
1995年、「天使」で第36回小学館新人コミック大賞少女・女性部門に入選。同作品が「別冊少女コミック」（小学館）9月号に掲載されデビュー。
2005年、「そんなんじゃねえよ」で第51回小学館漫画賞少女向け部門を受賞。2006年、初めて挑んだ歴史を題材にした作品「二の姫の物語」を発表。主に「ベツコミ」（小学館）で、現代の男子・女子高校生を裏表のない率直なキャラクターとして描いたラブコメディーや、いにしえの中国を舞台としたラブロマンスなど、多彩な作品を執筆。
2015年、「女王の花」が、第60回小学館漫画賞少女向け部門を受賞。
この深い読書体験を あなたにも
この記事を通じて、和泉かねよし先生が描く「コールドゲーム」の持つ、一筋縄ではいかない魅力の一端をお伝えできたでしょうか。本作は、単なる宮廷ロマンスやファンタジーという枠には収まらない、人間の持つ複雑さや、生きることの厳しさ、そしてその中で見出す希望といった、普遍的なテーマに深く切り込んだ作品です。
息詰まるような権力闘争、登場人物たちが纏う偽りの仮面、そしてその下で揺れ動く感情を読むうちに、私たちはきっと、彼らの選択や葛藤に心を重ね、深く考えさせられるはずです。読み終えた後には、単なる面白さだけではない、ずしりとした手応えと、長く心に残る余韻が待っているでしょう。これこそが、本作が提供する「深い読書体験」だと感じています。
私自身、数多くの作品に触れる中で、本作ほど「真実」と「偽り」の意味、そして極限状況における人間の強さや脆さについて考えさせられた作品は多くありません。登場人物たちが、それぞれの立場や秘密を抱えながら必死に未来を掴もうとする姿には、胸を打つものがありました。
もしあなたが、日常から少し離れて、心を揺さぶるような読書体験を求めているのなら、ぜひ一度「コールドゲーム」の世界に足を踏み入れてみてください。そこで何を感じ、何を思うか。ぜひご自身の目で、この重厚で魅力的な世界を体験していただけたらと願っています。