いじめられっ子の高校生・荻野優介が、運命の出会いと共に非日常へと引き込まれていく青春サスペンス。バイクへの憧れから始まる恋と成長の物語に、不穏な空気が忍び寄る。古谷実が描く、甘美で残酷な青春の世界。ギャグとシリアスが交錯する独特の雰囲気に、読者は虜になること必至。
「シガテラ」はどこで読める?
2023年4月実写ドラマ化。
以下の方法で読むことができます
- 電子書籍:Kindle、eBookJapan、ブックライブなどで配信中。
多くの電子書籍ストアでは、無料で試し読みできます。 - 紙の書籍:全国の書店で発売中。オンライン書店でも購入可能です。
6巻完結

作品基本情報
タイトル:「シガテラ」
作者:古谷 実
ジャンル:
青春サスペンス
心理ドラマ
ダーク・コメディ
ターゲット読者層:
主に10代後半から20代前半
男性読者がメイン(週刊ヤングマガジン連載のため)
現実的な青春描写や心理描写に興味がある読者
社会問題や人間の暗部に関心のある読者
登場人物
荻野 優介(おぎの ゆうすけ)

主人公です。高校生で、冴えない少年として描かれています。谷脇からいじめを受けており、友人の高井貴男と共に辛い学校生活を送っています。しかし、ある日バイクに興味を持ち、それをきっかけに人生が変わり始めます。
バイクを買い、免許を取るための資金を稼ぐためにアルバイトを始めた荻野は、そこで初めて自分の意志で行動を起こします。この行動が彼に充足感をもたらし、少しずつ自信を付けていきます。
教習所で知り合った南雲ゆみとの出会いは、荻野の人生をさらに大きく変えます。彼女との関係が深まるにつれ、荻野は成長していきますが、同時に周囲で起こる不穏な出来事に巻き込まれていきます。
荻野は、お人よしで人から頼まれたら断れない性格であり、そのためにしばしば厄介事に巻き込まれます。また、自分が周囲の人々を不幸にする存在ではないかという不安を抱えており、これが物語のテーマである「シガテラ」(毒)と深く関連しています。
南雲 ゆみ(なぐも ゆみ)

ヒロインとして登場する明るくしっかり者の美少女です。荻野優介よりも一学年上で、教習所で荻野を見かけたことをきっかけに、彼を「運命の人」と感じるようになります。
ゆみは心優しい性格で、荻野と同じく人からの頼みを断れない傾向があります。勉強が得意で大学には推薦で入学し、後に大学受験に臨む荻野の勉強も見ています。
高井 貴男(たかい たかお)

荻野の友人です。裕福な家庭に育ち、成績優秀な生徒として描かれています。しかし、荻野と同様に谷脇からいじめを受けており、これが彼の人生を大きく変える転機となります。
高井は、二年の夏休み中に父親の事業が行き詰まり、退学を余儀なくされるという不幸に見舞われます。この出来事と、度重なるいじめに耐えかねた高井は、谷脇への復讐を決意します。インターネットを通じて知り合った「森の狼」という人物に助けを求め、谷脇への報復を計画します。
しかし、「森の狼」の行動がエスカレートしていくにつれ、高井は良心の呵責に耐えられなくなります。最終的には、殺される寸前の谷脇を救出するという行動に出ます。
谷脇(たにわき)

荻野と同級生です。あき子という美人の彼女がおり、荻野を下僕のように扱い、高井から金を巻き上げるなど、傍若無人な性格の不良です。
谷脇は実家ではなく、アパートであき子と生活しています。彼は腕力が強く、精神力も非常に強靭です。しかし、高井の依頼を受けた「森の狼」によって拉致監禁され、耳を削がれるという残酷な目に遭います。
物語の後半では、喫煙が発覚して退学となり、やくざの道へと足を踏み入れていきます。谷脇の周りには多くの取り巻きがいますが、実際には彼らは谷脇を恐れて従っているだけで、内心では嫌われています。
あき子

谷脇の恋人。彼女は荻野優介や高井貴男へのいじめに直接加わることはありませんが、同時にそれを積極的に止めようともしない傍観者的な立場です。
谷脇に対する思いは強く、彼を本心から慕う数少ない人物の一人です。しかし、荻野の巨大な性器を見て試してみたいと思うなど、性的に奔放な一面も持っています。
谷脇が「森の狼」によって誘拐された際、あき子は荻野を頼り、一緒に高井を探してくれるように頼みます。
用語集
シガテラ
本作品のタイトルであり、南洋に棲むある魚が持つ毒を指します。物語の中では、非日常を暗喩する重要な概念として使用されています。主人公の荻野優介の周りで起こる不穏な出来事や、人々の人生を変えていく負の影響を象徴しています。
シガテラ毒は、プランクトンを食べた魚の体内に蓄積され、その魚を人間が食べると食中毒を引き起こします。物語では、荻野が周囲の人々に与える影響を、このシガテラ毒に例えています。
ビンボー神
「ビンボー神」は、高井貴男が荻野優介を呼んだ呼称です。この言葉は、荻野が周囲の人々に不幸をもたらす存在ではないかという疑念を表現しています。
荻野自身も、自分が周囲の人々を不幸にする存在ではないかという不安を抱えており、この「ビンボー神」という概念は物語のテーマである「シガテラ」(毒)と深く関連しています。
森の狼
「森の狼」は、高井貴男がインターネットを通じて知り合った、年齢や本名不詳の男性です。高井が谷脇への復讐を計画する際に助けを求めた相手です。
「森の狼」は、不平等な世の中に嫌気が差して自殺を考えていましたが、高井の言葉をきっかけに「世の『バカ野郎』に死刑よりも重い罪を与える」という危険な思想に目覚めていきます。彼の存在は、物語に緊張感と不穏さをもたらす重要な要素となっています。
運命の人
「運命の人」は、南雲ゆみが荻野優介に対して抱いた印象を表す言葉です。ゆみは教習所で荻野を見かけたことをきっかけに、彼を「運命の人」と感じるようになります。
この概念は、ゆみと荻野の関係性の始まりを象徴し、物語の恋愛要素を強調しています。同時に、二人の出会いが物語全体の展開に大きな影響を与えることを示唆しています。
悪魔の儀式
「悪魔の儀式」は、荻野優介の友人である斉藤一樹が入手した、レイプのための秘薬を指します。この「悪魔の儀式」は、物語の中で登場人物たちの道徳的な葛藤や、潜在的な欲望を象徴する重要な要素となっています。
この概念は、表面上は平和に見える日常の裏に潜む危険や暴力性を表現しており、「シガテラ」というタイトルが示す「毒」のテーマと深く結びついています。
あらすじ
いじめられっ子の荻野、南雲との出会い
高校生の荻野優介は、クラスメイトの谷脇からいじめを受ける日々を送っています。
そんな中、バイクに興味を持った荻野は、教習所に通い始めます。そこで出会ったのが、美人の南雲ゆみ。荻野は南雲に一目惚れしますが、自分には無理だと諦めていました。
ところが、思いがけず南雲の方から接近してきて、二人は付き合うことになります。いじめられっ子だった荻野に、突然幸せが訪れたのです。
高井の不登校と谷脇への復讐計画
荻野と同じくいじめられていた高井貴男が、突然学校に来なくなります。実は高井は、ネット上で知り合った「森の狼」という人物に、いじめっ子の谷脇への復讐を依頼していたのです。高井の父親が事業に行き詰まり、高井は退学を余儀なくされていました。その怒りと絶望が、谷脇への復讐心へと変わっていったのです。荻
野は高井の居場所を探しながら、同時に谷脇の身の安全も気にかけることになります。
谷脇拉致事件と耳切断の衝撃
高井の依頼を受けた「森の狼」は、谷脇を拉致監禁してしまいます。そして、谷脇の両耳を切り落とすという残虐な行為に及びます。この事件は、登場人物全員に大きな衝撃を与えます。
高井は良心の呵責に耐えられず、殺される寸前の谷脇を救出します。しかし、耳を失った谷脇は学校を去ることになり、その後ヤクザの道へと進んでいきます。この事件は、荻野たちの平和な日常に大きな亀裂を入れることになります。
斉藤一樹との出会いと南雲への恋心
高校3年生になった荻野は、新しいクラスでバイク好きの斉藤一樹と仲良くなります。荻野は南雲も含めて、斉藤とダブルデートを楽しむようになります。しかし、斉藤は実は南雲のことが好きになってしまいます。その思いを抑えきれなくなった斉藤は、友人の金造から南雲をレイプする計画を持ちかけられます。
斉藤は葛藤しながらも、南雲への思いを断ち切れずにいます。この出来事は、荻野と南雲の関係に影を落とすことになります。
南雲の新しいアルバイトと不穏な予感
南雲は大学生になり、新しくアルバイトを始めます。そこで出会ったのが、30歳の主任・新林です。新林は一見真面目そうですが、実は捻くれた性格の持ち主でした。新林は南雲に対して性的な関心を抱き、猥褻な行為に及ぼうとします。
南雲は新林の本性に気づかず、彼の嘘に同情心を抱いてしまいます。この状況は、荻野と南雲の関係に新たな試練をもたらすことになります。
越みつひろとの出会いと秘密の告白
荻野がアルバイトをしているコンビニに、越みつひろという高校生が現れます。越は荻野と同じく過去にいじめられた経験を持っており、二人はすぐに意気投合します。
越には太田リツ子という美人の彼女がいますが、友達以上には思えず別れることを考えています。越は荻野に重大な秘密を打ち明けます。
この告白は、荻野の価値観を揺るがすことになり、自分の人生や関係性について深く考えさせられるきっかけとなります。
村岡ハルエとの再会と前衛的ヌードアート
大学受験に失敗した荻野が偶然立ち寄った本屋で、高校時代の同級生・村岡ハルエと再会します。かつては地味だった村岡は、髪型や外見を大きく変え、印象が一変していました。
村岡は友人の美容師の影響で前衛的なヌードアートに興味を持ち、荻野にモデルになってほしいと依頼します。荻野は戸惑いながらも、村岡の熱意に押されて協力することを決意します。
この経験は、荻野に新たな視点と自己認識をもたらすことになります。
谷脇との再会とピストル捜索
ヤクザになった谷脇が、突然荻野の前に現れます。荻野はいじめられていた過去を思い出し、谷脇と関わりたくありませんでした。
しかし、なぜか谷脇の失くしたピストルを探すことになってしまいます。荻野は谷脇に対して複雑な感情を抱きながらも、彼を助けようとします。この出来事は、荻野の成長と過去との和解を象徴するエピソードとなります。
39歳の男性の自殺未遂事件
南雲の近所に住む39歳の男性が、自分は胃がんで助からないと思い込み、自暴自棄になります。男性は夜中に南雲を襲おうと包丁を持って待ち構えますが、最終的に南雲を襲うことは止め、マンションの屋上から飛び降りてしまいます。
この出来事は、荻野と南雲には知られることなく起こり、読者だけが知ることになります。この事件は、二人の幸せな日常の裏で起こる悲劇を象徴しており、作品全体に漂う不穏な空気を強調しています。
坂月みわの性的アプローチ
荻野の同級生で、やや肥満気味の坂月みわが登場します。
坂月は虚言癖があり、援助交際もしているという噂の女子生徒です。偶然にも荻野と同じ教習所に通っていた坂月は、荻野の性器に強い興味を抱き、積極的なアプローチをかけます。
さらに、教習所に通っていることを谷脇や学校に告げ口すると荻野を脅します。この出来事は、荻野の精神的な成長と、人間関係の複雑さを浮き彫りにするエピソードとなります。
結末
物語は、荻野が社会人となり、大人になって強くなったところで締めくくられます。
高校時代の恋人だった南雲との関係がどうなったのかは明確には描かれていません。
荻野の周りで起こる非日常的な出来事は、実は荻野自身が持つ「毒」によって引き起こされていたことが示唆されます。最終的に、荻野は自分の本質を受け入れ、青春という名のモラトリアムを卒業していく姿が描かれています。
見どころ
青春の甘さと残酷さの絶妙なバランス
「シガテラ」の最大の魅力は、青春の甘美さと残酷さを同時に描き出している点です。主人公の荻野優介が南雲ゆみと出会い、恋に落ちていく様子は、まるで私たち読者自身の初恋を思い出させるような甘酸っぱさがあります。でも同時に、いじめや復讐、犯罪といった暗い要素も織り交ぜられていて、現実の青春期が持つ複雑さをリアルに表現しているんです。
この作品を読んでいると、自分の高校時代を思い出して、どきどきしたり、ぞっとしたりする場面が多くて。特に、荻野が南雲さんと親密になっていく過程と、高井くんが復讐心に燃えていく過程が並行して描かれているのが印象的でした。青春って本当に両極端な感情が同居する時期なんだなって、改めて感じさせられます。
「シガテラ」という毒の比喩表現
タイトルにもなっている「シガテラ」という概念が、この作品のテーマを象徴していて面白いんです。南洋の魚が持つ毒が、知らず知らずのうちに人々の人生を変えていく…それって、まさに青春期の経験そのものを表しているように感じました。
特に印象的だったのは、荻野が自分のことを「ビンボー神」と呼ばれて悩むシーンです。自分が周りの人を不幸にしているんじゃないかって考えちゃうのって、すごく共感できるんですよね。私も高校生の頃、友達との関係で悩んだ時、似たようなことを考えたことがあります。でも、それって結局のところ、人との関わりが深まれば深まるほど避けられないことなのかもしれません。そういう意味で、「シガテラ」という毒の比喩は、人間関係の複雑さを見事に表現していると思います。
谷脇の耳切断事件
物語の中で最も衝撃的だったのは、いじめっ子の谷脇が「森の狼」に拉致され、耳を切り取られる事件です。この展開には正直、ゾッとしました。でも、この事件を通じて、復讐の連鎖がもたらす恐ろしさが鮮明に描かれていて、すごく印象に残りました。
高井くんが最初は復讐心に燃えていたのに、事態がエスカレートしていく中で良心の呵責に苦しむ様子が、とてもリアルで心に刺さります。「目には目を」の報復がどれだけ危険で、結局は誰も幸せにならないということを、この事件は如実に物語っているんです。読んでいて胸が痛くなりましたが、同時に考えさせられる展開でした。
荻野の成長と自己肯定感の変化
荻野の成長過程を追っていくのも、この作品の大きな見どころです。最初はいじめられっ子で自信のなかった彼が、バイクへの興味をきっかけに少しずつ自分の殻を破っていく様子が、とても丁寧に描かれています。
特に印象的だったのは、荻野がアルバイトを始めるシーンです。これが彼にとって初めての自主的な行動で、そこから少しずつ自信をつけていく様子が、すごくリアルで共感できました。私も大学生の頃、初めてアルバイトを始めた時、同じような気持ちになったのを思い出します。
そして、南雲さんとの恋愛を通じて、さらに成長していく荻野。でも同時に、自分が周りの人を不幸にしているんじゃないかという不安も抱えるようになる。この複雑な心境の変化が、とても繊細に描かれていて、読んでいて胸が締め付けられる思いがしました。
日常と非日常の境界線
「シガテラ」の魅力の一つは、日常と非日常の境界線が曖昧になっていく様子を描いている点です。荻野と南雲さんの甘い恋愛シーンの裏で、次々と不穏な出来事が起こっていく。この対比が、すごくゾクゾクする読後感を与えてくれるんです。
例えば、荻野と南雲さんがデートを楽しんでいる一方で、高井くんが「森の狼」と接触していく場面。この並行描写がとても印象的で、平和な日常がいつ崩れてもおかしくないという緊張感を感じさせてくれます。
また、39歳の男性が南雲さんを襲おうとして自殺してしまうエピソードも衝撃的でした。このエピソードは、主人公たちには全く知られることなく終わってしまうんですが、読者である私たちだけが知っているという設定が、何とも言えない不安感を与えてくれます。日常の中に潜む危険を、こんなにもリアルに感じさせる作品は珍しいと思います。
結論:現実の複雑さを映し出す鏡
「シガテラ」は、青春期の甘美さと残酷さ、人間関係の複雑さ、そして日常に潜む非日常を鮮やかに描き出す作品です。リアルな心理描写と予測不可能な展開が、読者を物語の世界に引き込み、自分自身の経験や感情と向き合わせてくれます。この作品は、単なる娯楽を超えて、私たちの人生や社会の在り方について深く考えさせてくれる、稀有な漫画だと言えるでしょう。
ドラマ情報

ドラマは2023年4月にテレビ東京で放送されました。
ドラマ版では、主人公の荻野優介役を醍醐虎汰朗が、ヒロインの南雲ゆみ役を関水渚が演じています。原作同様、いじめられっ子の高校生である荻野が、バイクへの憧れから教習所に通い始め、そこで出会った南雲ゆみとの恋愛を軸に、複雑な人間関係や予測不可能な出来事に巻き込まれていく物語が描かれています。
原作の持つリアルな青春描写や、日常と非日常の対比、複雑な人間関係などの要素がどのように実写化されているか、多くのファンの注目を集めました。
感想・考察
バイクが象徴する自由と成長
シガテラを読んで、バイクが単なる乗り物以上の意味を持っていることに気づきました。主人公の荻野優介にとって、バイクは自由への憧れや自己実現の象徴なんです。
いじめられっ子だった荻野が、バイクに興味を持ち始めたのは、閉塞的な日常から逃れたいという気持ちからだったんじゃないかな。バイクは彼にとって、新しい世界への扉だったんです。教習所に通い始めたことで南雲ゆみと出会い、人生が大きく変わっていく。この展開がすごく印象的でした。
バイクの免許を取得する過程は、荻野が自信を得て、自立していく過程と重なっているんです。単に運転技術を習得するだけじゃなく、人生の舵取りを自分の手に握ることの比喩にもなっている。そう考えると、バイクは荻野の成長と密接に結びついているんだなって思います。
でも同時に、バイクには危険も伴います。スリルと自由を味わえる反面、事故のリスクもある。これって、荻野の人生そのものを表しているようで、とても興味深いんです。幸せな恋愛や友情がある一方で、常に不安や危険が潜んでいる。そんなシガテラの世界観をバイクが象徴しているように感じました。
結局のところ、シガテラではバイクが多層的な意味を持つ重要なモチーフになっているんです。荻野の成長と冒険、そして人生の不確実性を象徴する存在として、物語を通じて重要な役割を果たしている。バイクを通して描かれる荻野の変化が、この作品の魅力の一つになっているんじゃないかな。
シガテラの毒 – 人間関係の複雑さを象徴する比喩
シガテラという題名、最初は何を意味しているのか分からなかったんですが、読み進めるうちにその深い意味に気づかされました。シガテラって南洋の魚が持つ毒のことなんですね。この作品では、人間関係の複雑さや、知らず知らずのうちに他人を傷つけてしまう可能性を象徴しているんだと思います。
荻野が自分のことを「毒」だと感じるシーン、すごく印象的でした。周りの人を不幸にしてしまうんじゃないかって悩む姿に、自分も似たような経験があって、すごく共感しちゃいました。でも、それって実は自意識過剰なだけなのかもしれないんですよね。
例えば、荻野と南雲の関係。二人の純粋な恋愛は読んでいてすごく幸せな気分になるんですが、同時にその幸せが壊れてしまうんじゃないかっていう不安も感じます。それって、まさにシガテラの毒が効いているような感覚かもしれません。
人間関係って完璧なものなんてないんだなって思います。誰かを好きになったり、大切に思ったりすることは、同時に傷つけたり傷ついたりするリスクも背負うことなんだって。シガテラはそんな人間関係の複雑さを、「毒」という比喩を使って見事に表現していると思います。読み終わった後も、いろいろと考えさせられる作品でした。
古谷実の作風の変遷 – ギャグからシリアスへ
作者の古谷実さんの作風の変化にびっくりしました。以前は『行け!稲中卓球部』みたいなギャグ漫画で有名だったのに、シガテラではこんなにもシリアスな内容になっているなんて。
この変化には理由があると思うんです。ギャグ漫画で培った人間観察力や、テンポの良い展開の作り方を活かしつつ、より深い人間ドラマを描きたかったんじゃないでしょうか。シガテラには、ところどころに笑えるシーンもあるんですが、全体的には重いテーマを扱っています。この「笑い」と「シリアス」のバランスが絶妙で、読んでいて飽きません。
例えば、荻野と南雲のデートシーンは可愛らしくて微笑ましいんですが、その直後に高井の不穏な動きが描かれたりするんです。こういうギャップが、読者の感情を揺さぶります。
古谷実さんの作風の変化は、漫画家として成長した証なんじゃないかな。ギャグだけじゃなく、人間の複雑な感情や社会の闇も描けるようになった。それでいて、読者を引き込む力は健在。シガテラは、そんな古谷実さんの新境地を示す作品だと思います。これからも、どんな作品を描いてくれるのか楽しみです。

読者の声
全てのエピソードは最終話のプロローグ
荻野は変わった、努力して強い大人になった、そしてつまらない奴になった。
自分を殺し無味無臭の人間になれば周りを不幸に巻き込む事はない。
それに気付いたのは南雲と別れてからだった、バイクに夢中になり、南雲に夢中になり、これまでの人生とは違うものになった高校時代。
その2つの想いが消え、ようやく毒から解放された。
大学卒業、就職し、そこで愛する人を見付け、安定した未来が見えてきた。
しかしここでドゥカティ・・
圧し殺してきた感情が南雲の妊娠を知ってから崩れて来ていた。
「バイクくらい欲しい物を手に入れてもいいじゃないか」
全てはそこから始まったのを彼は気付いているのだろうか?
ここまで想像してしまいました。
古谷実は読者に想像の余地を与えるのが上手いです。
シガテラの最終話も思い出すだけで息が苦しくなります。
Amazonより引用
計算されたストーリー
『最後まで何を伝えたかったのか分からなかった、、』
これが全てを読み終えた上での正直な感想である。
日常の中に潜む不可思議。
前作(ヒミズ)では謎を残して死に絶えた主人公を描き、
今作では不可思議な世界そのものをつくり上げてしまっている。
性と死が蠢く世界を我々は平然と読み上げる不思議。
キャラの会話におけるテンポ、
設定、
そしてこの本における多くの謎。
何度でも読み返せる名作だと思われます。
Amazonより引用
意欲は買うが、物語を上手く描写できなかった実験作
※ネタバレありで、批判的立場のレビューになります。
シガテラというタイトルから推察されるテーマはこうだ
「幸福の影には不幸(毒)がある。」
要するに、幸福な主人公は自分の気づかない所で不幸をまき散らしているという事だ。
言葉は違えど似た意見を持った読者は多いと思う。
私が本作を評価しないのは作中エピソードと主題の繋がりが希薄に見える為である。
タイトルでテーマが明示されている以上、
作者が物語を通してテーマに対して何が言いたいのかが重要になる。
単純な例を挙げれば、「今を精一杯生きろ」とか「不幸な人の事も考えろ」とか。
平凡なラブコメとちょっとエグ目なバイオレンスで
6巻も使った割にはその辺りを上手く描写できていないと思う。
この内容であれば、1~2巻あれば十分だ。
一応最後にはどんでん返しがある。毒というのは青春の毒(思い込み)であったと。
その毒がなくなれば空虚な人間になると。
ただ、それを言葉で説明してしまったのが本作の問題点を示している。
つまり、言葉だけで説明できる空虚な漫画・・・これが私の感想になる。
とはいえ、ギャグ漫画で有名な作者の実験作と考えれば試み自体は素晴らしい。
この作品は評価しないが、作者の次回作は気になる所だ。
Amazonより引用
「シガテラ」をお得に読むには?
無料・試し読み
eBookJapanで試し読みできます。
試し読みの利点:
- 作品の世界観や魅力を事前に体験できます
- 作者の独特な表現や画力を直接感じ取れます
- 本編購入の判断材料として活用できます

お得に購入
eBookJapanでお得に購入できます。
キャンペーン、割引セールをチェック
会員登録は無料!初回は70%オフクーポンが貰えて3000円分無料に!
Tポイント獲得や、ポイント還元などがお得なキャンペーンが多数!
毎週金曜日のpaypayキャンペーンでさらにお得になる!
クーポンを利用すればまとめ買いでもお得に購入できる
\ 初回ログインで70%OFF!/
全巻セットを購入の場合は、漫画全巻ドットコムもおすすめ
電子書籍版と紙の書籍版の両方を取り扱い。好みの形式を選んで全巻セットを入手できます。
ポイント還元制度があり、お得に購入可能。
作者について
古谷 実
ふるや みのる
日本の漫画家。男性。中学時代は卓球部、高校ではラクビー部に所属する。その後、美容学校に通い、美容師インターンになった1992年、「週刊ヤングマガジン増刊黒ブタルーキー号」に『行け!稲中卓球部』が掲載され、漫画家デビュー。同作は、翌1993年7月から週刊連載となり、ハイテンションなギャグが受けて大ヒット。また、1996年には第20回講談社漫画賞を受賞した。2001年には「ヤングマガジン」に『ヒミズ』の連載を開始。ギャグ路線から一転して、シリアスなサスペンス漫画に仕上げた。同作は好評を得て、舞台や映画化されるなどの大ヒットとなった。その他の作品に『シガテラ』『わにとかげぎす』『ヒメアノ~ル』など。
作者のSNSリンク
見つかりませんでした。
「シガテラ」まとめ
- 連載状況:「シガテラ」は2003年から2005年にかけて週刊ヤングマガジンで連載
- 作者:古谷実
- コミックス情報:6巻完結
- 読むには:割引クーポンを使えば、eBookJapanでお得に読める
- 関連情報:2023年4月にテレビ東京でドラマ化された
- 作品の魅力:リアルな青春描写、複雑な人間関係、日常と非日常の対比が巧みに描かれている
- キャラクター:主人公の荻野優介を中心に、南雲ゆみ、高井貴男、谷脇など、それぞれが独自の動機や背景を持つ魅力的なキャラクターが登場する
- テーマ性:青春の複雑さ、人間関係の機微、成長と自己発見、暴力と復讐などが主要なテーマとして扱われている
- ジャンルの新規性:青春サスペンス漫画として、ギャグとシリアスの要素を融合させた独特の作風を持つ
- 読者の感想:リアルな描写と予測不能な展開に魅了される意見が多い一方で、過激な描写や暗い展開に不快感を覚える読者もいる
- シンボリックな要素:タイトルの「シガテラ」(南洋の魚が持つ毒)が人間関係の複雑さや予測不可能性を象徴している
- 作者の特徴:『行け!稲中卓球部』でデビューしたギャグ漫画家から、シリアスな青春ドラマを描く作家へと転身した作品
- 物語の構造:主人公の成長物語を軸に、周囲の人間関係や社会の闇が絡み合う複雑な構造となっている