人見知りな紳士と愛猫が営む紅茶専門店を舞台に、一杯の紅茶が織りなす優しい物語。極上の紅茶とスイーツのマリアージュ、そして人々の心が通い合う瞬間を丁寧に描く。日常に潜む小さな幸せと、コミュニケーションの新しい形を発見できる癒しのストーリー。
「猫と紳士のティールーム」はどこで読める？
「猫と紳士のティールーム」は月刊コミックゼノンで2022年10月号より連載中。
既刊4巻。おおよそ6ヶ月ペースでリリースされています。
以下の方法で読むことができます
- 電子書籍：Kindle、eBookJapan、ブックライブなどで配信中。
多くの電子書籍ストアでは、無料で試し読みできます。 - 紙の書籍：全国の書店で発売中。オンライン書店でも購入可能です。
作品基本情報
タイトル：「猫と紳士のティールーム」
著者：モリコロス
ジャンル：
日常系マンガ
ほのぼの系
グルメ・飲食店マンガ
癒し系
対象読者層：
紅茶愛好家
癒しや心温まる物語を求める読者
大人向けの落ち着いた雰囲気のマンガを好む人
動物（特に猫）が好きな人
人間ドラマや人間関係の機微に興味がある読者
登場人物
瀧 静（たき しずか）
紅茶専門店「CAMELLIA TEA ROOM」の52歳の店主です。極度の人見知りで、他人と目を合わせることが苦手な性格ですが、紅茶に関する話題になると途端に饒舌になり、頬を紅潮させて満面の笑みで語り出す特徴があります。
瀧さんは長身で、口髭と顎髭を蓄え、豊かな髪をオールバックに整えています。丸メガネ越しにも分かる涼し気な目元と長いまつ毛、端正な顔立ちが特徴的です。接客時には、ウィングカラーのシャツに蝶ネクタイ、ウェストコート（夏はカマーベスト）、ソムリエエプロンを身につけ、紳士的な雰囲気を醸し出しています。
店を開業する前は、父が経営する企業グループに勤務し、代表取締役補佐の役職に就いていました。現在は、2階に住まいを構え、愛猫のキームンと共に生活しています。
キームン
瀧さんの愛猫であり、「CAMELLIA TEA ROOM」の看板猫です。長毛種の黒猫で、下顎と首下から胸にかけて一部白い毛が生えており、蝶ネクタイ風の首輪をつけています。正面から見ると、まるでタキシードを着ているように見える特徴的な外見です。
瀧さんにとって家族であり相棒、そして癒しの存在でもあるキームンは、店内ではティーテーブル席横の出窓スペースをお気に入りの場所としています。大柄な体格で、瀧さんが抱きかかえても余るほどの大きさです。
キームンは人間の言葉を理解しているような振る舞いを見せ、特に瀧さんが紅茶の知識を止めどなく披露し続けている時には、頃合いを見計らって一鳴きしたり、肩に飛び乗ったり、甘噛みや猫パンチを繰り出したりして制止する役割を果たしています。
片出 つばさ
軽やかなショートボブが似合う爽やかな女性で、少し引っ込み思案な社会人1年生です。仕事でミスをして落ち込んでいた時に偶然「CAMELLIA TEA ROOM」の前を通りかかり、キームンに誘われるように店に入ったことがきっかけで、常連客となりました。
初めて店を訪れた際、今まで経験したことのない瑞々しい紅茶の美味しさに感激し、勇気を出して茶葉の種類を尋ねたところ、瀧さんの紅茶への熱い思いと豊富な知識に触れ、すっかり魅了されました。以来、足繁く店に通うようになり、友人や会社の同僚にも「CAMELLIA TEA ROOM」の魅力を語り、勧めるようになっています。
山田三姉妹（やまだ：ゆあ、みちか、カンナ）
CAMELLIA TEA ROOMから程近い高校に通う仲良し三人組の女子高生です。名字は同じですが、血縁関係はありません。三人はクラスメイトで席も並んでおり、その仲の良さから「山田三姉妹」と呼ばれるようになりました。
ゆあ（結愛）は、最近初めてロイヤルミルクティー（市販されている紙パック入り）を飲み、その美味しさを知ったばかりの少女です。本格的なミルクティーを飲んでみたいという思いから、みちかとカンナと共に「CAMELLIA TEA ROOM」を訪れました。瀧さんの紅茶への深い知識と情熱に感銘を受け、紅茶の世界に興味を持ち始めています。
みちかは天真爛漫で明るい笑顔が印象的な少女で、特にキームンをとても気に入っています。一方、カンナ（甘菜）は屈託のない笑顔でハキハキと発言する快活な少女です。
三人とも瀧さんのことを「瀧先生」と呼び、敬意を込めて接しています。彼女たちの若々しい好奇心と瀧さんの紅茶への情熱が交わることで、世代を超えた交流が生まれ、物語に新たな活力を与えています。
岳山 馨（たけやま かおる）
瀧 静の兄で、弟に負けず劣らずのナイスミドルです。瀧さんからは「兄上」と呼ばれており、兄弟の間に敬意と親愛の情が感じられます。
馨さんは自信に溢れ、堂々とした立ち振る舞いが特徴的です。身長は瀧さんよりも2cm低い178cmですが、体躯も姿勢も良いため全く見劣りしません。人見知りで大人しい瀧さんとは正反対の性格で、頭に血が上りやすく声も大きいのが特徴です。
父の跡を継ぎ、岳山グループを率いるCEOに就任し、その手腕を発揮しています。瀧さんを心配するあまり口うるさいことを言うこともありますが、鎮火するのも早く、50代になった弟を今でも子ども扱いして愛でている思慮深い善き兄です。その過保護ぶりは妻・昌（あきら）に時々諫められるほどです。
用語集
CAMELLIA TEA ROOM
物語の舞台となる紅茶専門店です。店名のCAMELLIAは、紅茶の原料となるツバキ科カメリア属の植物を指します。この店は、とある街の紅葉商店街の片隅に位置しています。
店内は英国ヴィクトリア調の高級アンティーク家具や調度品で彩られており、クラシックな欧州の邸宅を思わせる雰囲気です。マントルピースやホールクロック、キャッシュレジスター、ドアノブの細部に至るまで、店主の瀧さんのこだわりが見てとれます。
客席は、カウンターに4席、ティーテーブル席が2つ、猫足のソファセットが1組あります。2階にはクラシカルな観音開きの扉を有したダイニングルームがあり、ネオ・ゴシック調のダイニングテーブルセットが設えてあります。
本日の紅茶
CAMELLIA TEA ROOMのメインメニューです。2杯分の紅茶と菓子のセットで700円という破格の価格で提供されています。
この「本日の紅茶」の特徴は、店主の瀧さんが来店したお客様の雰囲気やちょっとした言動からイメージした茶葉とティーカップを選び、優美なティーサービス（ティーポット、シュガーボウル＆ミルクジャグのセット、プレースマット）で提供することです。
また、セットの菓子は複数用意されており、茶葉の個性とマリアージュ（相性の良い組み合わせ）するものが選ばれます。ケーキはCAMELLIA TEA ROOMの近くに店を構える老舗洋菓子店から仕入れたもの、スコーンなどの焼き菓子は瀧さんが自ら腕を振るったものです。
ムスタッシュカップ
ムスタッシュカップ（Moustache Cup）は、瀧さんが自宅で愛用しているティーカップです。このカップは、口髭が汚れないよう飲み口に工夫が施されている特殊なカップです。
19世紀のイギリスで考案されたこのカップは、当時流行していた口髭を保護するために設計されました。カップの縁に半円形の陶器製の「ガード」が付いており、この部分に口髭を乗せることで、飲み物が口髭に触れるのを防ぎます。
瀧さんは、このカップを使用したいがために口髭を生やしているという設定になっています。これは、瀧さんの紅茶への情熱と、少し変わった趣味を持つ個性的な性格を表現しています。
紅茶占い
CAMELLIA TEA ROOMで提供されるサービスの一つです。これは、紅茶の茶葉を使って占いを行う方法です。
具体的な方法は詳細に描写されていませんが、一般的な茶葉占いでは、カップの中に残った茶葉の形や配置を解釈して、占いを行います。例えば、特定の形や模様が見えたり、茶葉が特定の位置に集まったりすることで、未来の出来事や現在の状況を読み解きます。
この紅茶占いは、店を訪れるお客様に楽しみを提供するだけでなく、瀧さんがお客様とコミュニケーションを取るきっかけにもなっています。人見知りの瀧さんにとって、この占いは自然な形でお客様と会話を始める良い機会となっています。
サモワール
ロシアの伝統的な湯沸かし器です。CAMELLIA TEA ROOMでは、2階のダイニングルームでこのサモワールを使用してお茶を提供することがあります。
サモワールは通常、真鍮や銅で作られた大きな容器で、内部に燃料を入れて水を沸かします。上部には小さなティーポットが置かれ、ここで濃い目のお茶（ザヴァルカ）を淹れます。
お茶を飲む際は、このザヴァルカをカップに少量注ぎ、サモワールのお湯で薄めて飲みます。これにより、一人一人が好みの濃さでお茶を楽しむことができます。
CAMELLIA TEA ROOMでは、このサモワールを使用することで、ロシアの茶文化も取り入れ、より多様な紅茶体験を提供しています。
あらすじ
紅茶専門店「CAMELLIA TEA ROOM」の開店
紅葉商店街の片隅に、紅茶専門店「CAMELLIA TEA ROOM」が開店しました。店主の瀧は52歳の人見知りな男性で、紅茶を愛してやまない紳士です。瀧は自ら厳選した茶葉を丁寧に淹れて提供していますが、接客時はいつも緊張して一苦労です。
店のメインメニューは「本日の紅茶」で、2杯分の紅茶と菓子のセットを700円で提供しています。瀧は来店客の雰囲気や言動からイメージした茶葉とティーカップを選び、優美なティーサービスで提供します。瀧の愛猫キームンは看板猫として店に常駐しており、店の雰囲気作りに一役買っています。
瀧の人見知りと紅茶への情熱
瀧は極度の人見知りで、他人と目を合わせることが苦手です。特に初対面の人と対峙する時は緊張のあまり無表情になりがちで、一見不愛想に見られてしまうことが悩みの種です。しかし、紅茶に関する質問をされると瞬時に緊張から解き放たれ、頬を紅潮させて満面の笑みで饒舌になります。
この急激な変化に心を撃ち抜かれてファンになる客が増えています。ただし、延々と話し続けると愛猫のキームンが割って入り制止するため、瀧はハッと我に返ります。この瀧とキームンのコンビネーションが、店の魅力の一つとなっています。
ダージリンとアップルパイの出会い
「CAMELLIA TEA ROOM」では、紅茶とお菓子のマリアージュを大切にしています。第1話では、ダージリン（セカンドフラッシュ）とアップルパイの組み合わせが紹介されました。
瀧は来店したお客様の様子を見て、この組み合わせを選びました。ダージリンの華やかな香りとマスカット風味が、アップルパイの甘酸っぱさと絶妙にマッチし、お客様に至福のひとときをもたらしました。
瀧は紅茶について詳しく説明し、お客様は紅茶の奥深さに魅了されていきます。このエピソードは、瀧の紅茶への情熱と、お客様へのおもてなしの心が表れた象徴的な場面となりました。
アールグレイとザッハトルテの優雅な時間
第2話では、キームン（アールグレイ）とザッハトルテの組み合わせが登場しました。
来店したお客様は、仕事や人間関係のストレスを抱えていましたが、瀧はその様子を察して、リラックスできるこの組み合わせを選びました。アールグレイの柑橘系の香りと、ザッハトルテのリッチな味わいが、お客様の心を癒していきます。
瀧は紅茶の歴史や特徴について詳しく説明し、お客様は紅茶を通じて新たな世界を知ることができました。このエピソードは、紅茶が単なる飲み物ではなく、心を癒す力を持っていることを示しています。
ロイヤルミルクティーとカヌレの甘い誘惑
第4話では、ロイヤルミルクティー（アッサム）とカヌレの組み合わせが紹介されました。
この日、初めて紅茶専門店を訪れた若い女性客が来店します。彼女は市販のロイヤルミルクティーしか飲んだことがなく、本格的な味に興味を持っていました。瀧は丁寧にロイヤルミルクティーを淹れ、カヌレと共に提供します。アッサムの濃厚な味わいとミルクの甘さ、そしてカヌレの香ばしさが絶妙にマッチし、お客様を驚かせます。
瀧は紅茶の淹れ方や楽しみ方について詳しく説明し、お客様は紅茶の新たな魅力に目覚めていきます。このエピソードは、紅茶の世界の奥深さと、新しい経験の喜びを表現しています。
瀧の過去と紅茶への道
瀧の過去が少しずつ明らかになっていきます。瀧は以前、父が経営する企業グループに勤務し、代表取締役補佐の役職に就いていました。しかし、何らかの理由で会社を辞め、紅茶専門店を開くことを決意しました。
瀧の兄である岳山馨は、現在も岳山グループのCEOとして活躍しています。兄弟の対照的な人生が、物語に深みを与えています。瀧が紅茶の世界に入ったきっかけや、なぜ会社を辞めたのかという謎は、物語の重要な伏線となっています。
瀧の過去と現在が交錯する中で、紅茶を通じた人々との触れ合いが、瀧自身の成長にもつながっていくことが示唆されています。
常連客たちとの心温まる交流
「CAMELLIA TEA ROOM」には、様々な常連客が訪れます。
社会人1年生の片出つばさは、仕事でのミスで落ち込んでいた時に偶然店を見つけ、瀧の紅茶とおもてなしに魅了されました。高校生の山田三姉妹は、テスト勉強のために店を訪れ、瀧の紅茶と知識に興味を持ちます。中学生二人の子を持つ兼業主婦は、普段はコーヒー党でしたが、瀧の紅茶とケーキのペアリングに衝撃を受け、時々来店するようになりました。
これらの常連客たちとの交流を通じて、瀧は少しずつ人見知りを克服し、お客様との距離を縮めていきます。同時に、常連客たちも紅茶を通じて自分自身の成長や癒しを経験していきます。
紅茶占いと恋のキューピッド
「CAMELLIA TEA ROOM」では、時折紅茶占いが行われます。
初々しいカップルが来店した際、瀧は紅茶占いを提案します。カップの中に浮かぶ茶葉の形や配置から、二人の関係性や未来を占うのです。瀧は普段は寡黙ですが、紅茶占いの際には優しく語りかけ、二人の仲を取り持ちます。
この紅茶占いは、単なる占いではなく、二人の関係を深めるきっかけとなります。瀧は紅茶を通じて、さりげなく恋のキューピッドの役割を果たしているのです。このエピソードは、紅茶が人と人をつなぐ媒体となることを示しています。
季節の紅茶とイベント
「CAMELLIA TEA ROOM」では、季節に合わせた特別な紅茶やイベントが開催されます。
例えば、クリスマスシーズンには、シナモンやオレンジピールをブレンドした特製のクリスマスティーが提供されます。また、お花見の季節には、桜の花びらをあしらった日本茶とのブレンドティーが登場します。これらの季節限定メニューは、常連客たちの楽しみの一つとなっています。
さらに、不定期でティーテイスティングイベントも開催され、様々な種類の紅茶を比較しながら楽しむことができます。これらのイベントを通じて、お客様たちは紅茶の新たな魅力を発見し、瀧との交流をより深めていきます。
紅茶を通じた人々の成長
「CAMELLIA TEA ROOM」を訪れる人々は、紅茶を通じて様々な経験をし、成長していきます。
就職活動中の学生は、瀧の紅茶とアドバイスによって自信を取り戻します。仕事に行き詰まっていた社会人は、紅茶の香りに癒され、新たな発想を得ます。人間関係に悩んでいた主婦は、紅茶を楽しむ時間を通じて自分自身と向き合うことができました。
瀧は直接的なアドバイスはしませんが、その人に合った紅茶を選び、丁寧に淹れることで、お客様の心に寄り添います。紅茶は単なる飲み物ではなく、人々の心を開き、成長を促す媒体となっているのです。このように、「CAMELLIA TEA ROOM」は、紅茶を通じた人々の小さな成長物語の舞台となっています。
瀧の家族との再会
瀧の家族との再会シーンが描かれます。瀧の兄である岳山馨が店を訪れ、弟の様子を気にかけます。また、瀧の姪である岳山陽も登場し、モデルとしての活動と紅茶への造詣の深さを披露します。
家族との再会を通じて、瀧の過去や家族関係がより詳しく明らかになっていきます。瀧は家族との交流に戸惑いながらも、紅茶を通じてコミュニケーションを取ろうとします。この家族との再会は、瀧の人間関係の広がりと、過去との和解のプロセスを示唆しています。同時に、瀧の紅茶への情熱が家族にも理解され、認められていく様子が描かれています。
今後の展望
今後の展開としては、以下のような方向性が考えられます。
まず、瀧の過去や家族との関係がより深く掘り下げられ、なぜ彼が会社を辞めて紅茶専門店を開いたのかという謎が明らかになっていくでしょう。
また、常連客たちの人生の変化や成長が、紅茶を通じてより詳細に描かれることが予想されます。店の経営面では、現在の赤字状態から徐々に改善されていく過程が描かれる可能性があります。
さらに、瀧の人見知りが少しずつ改善され、より多くの人々と深い交流を持つようになるかもしれません。紅茶の世界も更に広がり、新しい茶葉や淹れ方、世界各地の紅茶文化が紹介されることも考えられます。
キームンの過去や、瀧との出会いのエピソードも描かれるかもしれません。全体として、紅茶を通じた人々の触れ合いと成長、そして瀧自身の内面的な変化が、より深く、豊かに描かれていくことが期待されます。
「猫と紳士のティールーム」の世界観に合う音楽
コミトラの独断で、マンガの世界観に合う音楽を紹介します！
Peter Gabriel – The Book of Love
優しいメロディと温かな歌詞が、人々の心温まる交流を表現しています。
Daniel Varsano – Satie: Gymnopédie No.1
クラシック音楽の名曲で、瀧静の紅茶への愛と店内の優雅な雰囲気を表現しています。
Bill Evans Trio – Autumn Leaves
落ち着いたピアノトリオの演奏で、紅葉商店街の雰囲気や、ゆったりとした時間の流れを表現しています。この曲の柔らかな音色は、紅茶を楽しむ静かな時間にぴったりです。
見どころ
紅茶への情熱が生み出す心温まる空間
この作品の最大の魅力は、主人公の瀧さんが紅茶に注ぐ情熱とそれによって生まれる温かな空間です。瀧さんは極度の人見知りですが、紅茶の話になると饒舌になり、その姿がとても愛らしく感じられます。お客様一人一人に合わせて選ばれる「本日の紅茶」は、単なるサービスではなく、瀧さんの心遣いが詰まった特別なおもてなしなのです。
紅茶とスイーツの組み合わせ（マリアージュ）の描写も素晴らしく、読んでいるだけで香りと味が想像できるほど。ダージリンとアップルパイ、アールグレイとザッハトルテなど、美味しそうな組み合わせに思わず唾が出てきてしまいます。
キームン君との絶妙なコンビネーション
瀧さんの愛猫であり、店の看板猫でもあるキームン君の存在感も見逃せません。タキシード姿のような毛並みが特徴的な大きな黒猫で、瀧さんが紅茶の話を止めどなく続けると、さりげなく制止する姿がとてもかわいらしいんです。
キームン君は人間の言葉を理解しているかのような振る舞いを見せ、時には肩に飛び乗ったり、甘噛みをしたりと、瀧さんとのコンビネーションが絶妙。この二人（？）の関係性が、店の雰囲気をより温かなものにしています。
700円の「本日の紅茶」が引き起こす小さな奇跡
CAMELLIA TEA ROOMの目玉商品である「本日の紅茶」は、2杯分の紅茶と菓子のセットでなんと700円という破格の値段。この価格設定に、多くの読者が「安すぎる！」と驚いているのも納得です。
しかし、この破格の価格設定が、様々な人々を店に引き寄せ、小さな奇跡を起こしていくんです。仕事でミスをして落ち込んでいた社会人1年目の片出さんが癒されたり、紅茶文化に触れる機会のなかった高校生の山田三姉妹が新しい世界を知ったりと、「本日の紅茶」を通じて人々の心が温かくなっていく様子が丁寧に描かれています。
瀧さんの謎めいた過去と家族関係
物語が進むにつれて明らかになる瀧さんの過去も、大きな見どころの一つです。なんと瀧さんは以前、父が経営する大企業グループで代表取締役補佐を務めていたエリートだったんです。そんな瀧さんが、なぜ紅茶専門店を開くことになったのか。その経緯が少しずつ明かされていくのが楽しみです。
瀧さんの兄・岳山馨さんの登場も物語に新たな展開をもたらしています。瀧さんとは対照的な陽気な性格の馨さんとの会話を通じて、瀧さんの新たな一面が垣間見えるんです。兄弟の関係性や、瀧さんの家族背景がこれからどのように物語に影響していくのか、とても気になります。
紅茶を通じて広がる人々の輪
この作品の魅力は、紅茶を通じて広がっていく人々の輪にもあります。常連客となった片出さんが友人や同僚に店を紹介したり、山田三姉妹を通じて若い世代に紅茶文化が広がっていったりと、CAMELLIA TEA ROOMを中心に人々のつながりが生まれていくんです。
サモワールを使ったロシアンティーの提供など、多様な茶文化も紹介されており、読者である私たちも一緒に紅茶の世界を学んでいける点も魅力的です。紅茶好きの方はもちろん、紅茶にあまり詳しくない方でも、この作品を通じて紅茶の奥深さや楽しさを知ることができるんです。
「猫と紳士のティールーム」は、紅茶を通じて人々の心が温まり、新たな出会いや発見が生まれていく様子を丁寧に描いた作品です。日常の中にある小さな幸せや、人と人とのつながりの大切さを感じさせてくれる、心温まる物語なのです。
感想・考察
日常に潜む小さな幸せの発見
「猫と紳士のティールーム」を読んで、日常の中にある小さな幸せの大切さを改めて実感しました。主人公の瀧さんが丁寧に淹れる一杯の紅茶が、お客様の心を温め、癒していく様子に心打たれます。
この作品の魅力は、忙しない日々の中で見落としがちな、ささやかな幸せの瞬間を丁寧に描いているところにあります。例えば、仕事でミスをして落ち込んでいた片出さんが、瀧さんの紅茶で元気を取り戻すシーンは印象的でした。
日々の生活に追われる中で、ふと立ち止まって紅茶を楽しむ時間を持つことの大切さを、この漫画は教えてくれているように感じます。私たち読者も、瀧さんのお店で過ごすようなゆったりとした時間を持つことで、心が豊かになれるのかもしれません。
コミュニケーションの新しい形
この作品を通して、コミュニケーションの新しい形を見出せたように思います。瀧さんは極度の人見知りですが、紅茶を通じてお客様と心を通わせています。これは、言葉だけでなく、行動や心遣いでも十分に気持ちを伝えられることを示しているのではないでしょうか。
特に印象的だったのは、瀧さんが「本日の紅茶」でお客様の気分や状況に合わせた紅茶を選ぶシーンです。これは、相手の気持ちを察し、それに寄り添うという、日本的なおもてなしの心を表現しているように感じました。
現代社会では直接的なコミュニケーションが苦手な人も多いですが、この作品は、それぞれの方法で人とつながることができると教えてくれています。瀧さんのように、自分の得意なことを通じて人と関わることで、豊かな人間関係を築けるのかもしれません。
人生の選択と幸せの形
瀧さんの過去が明らかになるにつれ、人生の選択と幸せの形について考えさせられます。エリートの道を歩んでいた瀧さんが、紅茶専門店を開くという選択をしたのは、非常に勇気のいる決断だったはずです。
この選択は、社会的な成功や地位よりも、自分の情熱を追求することを選んだ瀧さんの生き方を象徴しています。それは必ずしも楽な道ではないかもしれませんが、瀧さんの紅茶への愛情と、お客様との心温まる交流を見ていると、これこそが瀧さんにとっての幸せなのだと感じます。
私たち読者も、自分にとっての本当の幸せとは何か、どんな人生を送りたいのかを考えるきっかけをもらえる作品だと思います。社会の価値観に縛られず、自分の心に正直に生きることの大切さを、瀧さんの姿から学べるのではないでしょうか。
読者の声
紅茶ラブ、でも人見知りなイケおじ様とイケ猫が営む紅茶屋さん
イケおじだけど紅茶オタク、そして人見知り。
思わず可愛いと叫びたくなります。
こんなお店があったら多少遠方でも足を運びます。
紅茶もですが、一緒に出されるお菓子がまた美味しそう。
おじ様が作っているのかは現在不明です。
次巻にお菓子の事も載っていると良いです。1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
Amazonより引用
紅茶の飲み方が知れて毎回のお菓子も楽しみ
紅茶ってこんなに色んな飲み方や種類があるんだ…！と毎回学びにもなる漫画。
再登場のキャラや初登場のキャラも今後に繋がりそうで楽しみです。
イケオジ+かわいい大きなかしこい猫+毎回登場する色んな紅茶というこのマリアージュ、最高すぎませんか…？？
お菓子や紅茶の描き方も背景もとっても美しくて、モリコロス先生があとがきに触れていた優秀なアシスタントの皆様にも感謝しながらじっっくり目を通しています。
素敵な作品をありがとうございます…
ずっと買い続けるし周りにも布教するのでどうかこれからも色んなストーリーを見せてください！
10巻以上出てほしい大好きな漫画です。
Amazonより引用
本当に好き！紅茶も飲みたくなる！
絵もストーリーもキャラクターも本当に好きです！！！
前に出てきたお客さん達がまた来店するのもほっこりするし、新たな来客もまたよし。
紅茶とお菓子が本当に美味しそうですし、ティーカップや小物も可愛くて何度も読み返してます。
紅茶ってこんなに種類があったんだ、お茶とお菓子のマリアージュってどんななんだろう？と想像するだけで楽しいです。
このシリーズがどうか何冊も続いていきますように。
新刊も楽しみにしています
Amazonより引用
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作者について
モリコ ロス
漫画家。2012年、コアミックス「月刊コミックゼノン」にて、心霊ラブコメディ『のぼさんとカノジョ?』を初連載。その他の作品に『タレソカレ』『猫と紳士のティールーム』などがある。
作者のSNSリンク
「猫と紳士のティールーム」まとめ
- 連載状況：「猫と紳士のティールーム」は月刊コミックゼノンで2022年10月号より連載中
- 作者：モリコロス
- コミックス情報：現在4巻まで発売、連載中
- 読むには：割引クーポンを使えば、eBookJapanでお得に読める
- 作品の魅力：紅茶専門店を舞台に、人見知りな店主と愛猫が織りなす心温まる物語。紅茶への愛と知識、個性豊かな客との交流を通じて、優雅な日常と人間ドラマを描く
- キャラクター：人見知りだが紅茶に詳しい店主・瀧静、賢い看板猫・キームン、瀧の兄・岳山馨、リピーター客の片出つばさ、常連の山田三姉妹など、個性豊かなキャラクターが魅力的
- テーマ性：人間関係の希薄化に対する問題提起、コミュニケーションの重要性、専門知識や情熱を通じた他者との繋がり、家族愛、「サードプレイス」の意義
- ジャンルの新規性：日常系、ほのぼの系、グルメ・飲食店マンガ、癒し系。紅茶愛好家、癒しや心温まる物語を求める読者、大人向けの落ち着いた雰囲気のマンガを好む人、動物（特に猫）が好きな人、人間ドラマや人間関係の機微に興味がある読者に向いている
- 読者の感想：紅茶の知識が学べる、キャラクターの魅力的な掛け合い、美しい絵柄と背景描写、心温まるストーリー展開などが高評価
- 今後の展望：新たな客との出会いや、既存のキャラクターの成長、紅茶に関する新たな知識の紹介、瀧静の過去や家族関係のさらなる掘り下げなどが期待される
