境界知能を持つ子どもたちの生きづらさを描く社会派マンガ。非行の裏側にある複雑な要因を浮き彫りにし、社会の在り方に鋭い問いを投げかける。教育や子育てに関わる人々に重要な気づきを与える秀作。
「ケーキの切れない非行少年たち」はどこで読める?
くらげバンチで連載中。
既刊9巻。おおよそ5-6ヶ月に1回のペースでリリース。
以下の方法で読むことができます。
- 電子書籍:Kindle、eBookJapan、ブックライブなどで配信中。
多くの電子書籍ストアでは、無料で試し読みできます。 - 紙の書籍:全国の書店で発売中。オンライン書店でも購入可能です。

作品基本情報
タイトル:「ケーキの切れない非行少年たち」
原作:宮口幸治
漫画:鈴木マサカズ
ジャンル:
社会派ドラマ
教育問題作品
心理ドラマ
青少年問題
ターゲット読者層:
社会問題に興味がある一般読者
社会福祉従事者 • 心理学専攻の学生や研究者 • 非行少年の更生に関心のある人
登場人物
六麦 克彦 (ろくむぎ かつひこ)

六麦克彦は、38歳の男性精神科医です。少年院の医務室で精神科診療を行っており、物語の中心人物として非常に重要な役割を果たしています。彼は、非行少年たちと接する中で、彼らに共通する特徴を発見します。それは「丸いケーキを3等分できない」「簡単な計算ができない」といった、知的なハンディと非行との関連性です。
六麦は、境界知能の少年少女が挫折を繰り返し、非行に繋がることを深く懸念しています。彼の洞察力と共感性は、物語を通じて非行少年たちの内面や背景を読者に理解させる重要な役割を果たしています。六麦は、非行少年たちと対話を重ね、自分にできることを精一杯行う姿勢を持っており、彼らの更生と社会復帰のために尽力しています。
田町 雪人 (たまち ゆきと)
田町雪人は、第1話から第4話に登場する20歳の青年です。IQ(知能指数)は68で、軽度の知的障害があります。彼の生い立ちは非常に複雑で、5歳の時に父親のDVが原因で両親が離婚し、母親と二人の兄弟と暮らすことになりました。
生活は困窮しており、6歳の頃から万引きを繰り返すようになります。母親のネグレクトが原因で保護所に入所した後、暴力問題などを起こし、16歳の時に少年院に送致されます。少年院での教育が功を奏し、模範生として出院しますが、その後知人に騙され多額の借金を負い、それが原因で殺人を犯してしまいます。
田町の事例は、軽度知的障害を持つ人々が社会に馴染めず、犯罪に手を染めてしまう可能性を示す重要な例として描かれています。彼の物語は、社会的弱者でもある非行少年たちの複雑な背景と、彼らが直面する困難を浮き彫りにしています。
門倉 恭子 (かどくら きょうこ)
門倉恭子は、2巻に登場する15歳の少女です。妊娠8か月の状態で教師に暴行を働き、女子少年院に入所しました。彼女のIQは79で、知的障害には該当しませんが、いわゆる「境界知能」の範疇に入ります。
恭子の事例は、「今の基準では障害ではない」とされる境界知能の人々が直面する困難を示しています。制度の狭間に落ちてしまう「ギリギリ健常の知的障害」を持つ人々の存在を浮き彫りにし、社会の理解と支援の必要性を訴えかけています。
物語の中で恭子は、周囲の支援を受けながら成長し、最終的に自分の子供と一緒に暮らせるようになります。彼女の成長の過程は、適切な支援と理解があれば、困難な状況にある若者たちも前向きな変化を遂げられることを示しています。
出水 亮一 (いずみ りょういち)
出水亮一は、強制わいせつ罪で少年院に入所した少年です。IQは92で、自閉スペクトラム症を抱えています。彼の特徴として、想像力が弱く、空気を読んだり自分の立場を考えて行動することが苦手であることが挙げられます。
出水の事例は、知的障害だけでなく、発達障害を持つ少年たちの抱える問題にも光を当てています。彼は小学校高学年の頃から性の問題行動を繰り返し始め、中学生になってからはいじめや父親からの暴力を受けるようになります。そのストレスの捌け口として、インターネットで見つけたアダルト動画を利用するようになり、そこから誤った性認識を形成してしまいます。
出水の物語は、発達障害を持つ人々が社会生活の中で直面する困難や、適切な性教育の重要性を示しています。また、現実とフィクションの区別がつきにくい知的障害や発達障害を持つ人々に対する、きめ細やかな支援と教育の必要性を訴えかけています。
荒井 路彦 (あらい みちひこ)
荒井路彦は、4巻に登場する14歳の少年です。自宅に放火したことで、隣家の老人を焼死させてしまい、少年院に入所しました。診断によると、自閉スペクトラム症の疑いがあり、IQは73です。
荒井の事例は、自分の行動の結果を十分に理解できない発達障害を持つ少年たちの問題を浮き彫りにしています。彼のような症状を持つ子供たちは、自分のしたことが理解できず、何処か他人事のように生きています。そのため、表面的には反省しているように見えても、それが真の反省につながっていない場合があります。
荒井に対しては、「被害者の視点を取り入れた教育」が有効だと判断され、それが彼の更生プログラムに取り入れられます。この approach は、発達障害を持つ非行少年たちの更生において、従来の方法とは異なるアプローチが必要であることを示唆しています。
小平 恵 (こだいら めぐみ)
小平恵は、5巻に登場する女性で、公衆トイレに赤ちゃんを遺棄した事件を起こしました。恵は軽度の知的障害を抱えていますが、いわゆる「ギリギリ健常者」と判断されるレベルです。
恵の物語は、境界知能の人々が直面する複雑な問題を浮き彫りにしています。彼女は親からも理解されず、非行に走るように不良グループとつるみ、少年鑑別所へ送られました。六麦の働きかけもあり、一度は少年院行きを免れましたが、大学入学後も孤独感を感じ、マッチングアプリで知り合った男性との関係から妊娠してしまいます。
恵の事例は、境界知能の人々が法的にどのように扱われるかという問題も提起しています。境界知能では鑑定書上「精神障害なし」と判断されるため、責任能力の有無による罪の軽減がなくなります。これは、境界知能に対する社会の認知や理解が不足していることを示唆しています。
手塚 陽翔 (てづか はると)
手塚陽翔は、6巻に登場する軽度知的障害を抱える少年です。過去に何度も万引きを働き、少年院送致となりました。陽翔の事例は、知的障害を持つ子供たちとその家族が直面する困難を示しています。
特筆すべきは、陽翔の母親が彼の障害を認めようとしない点です。少年院で「軽度知的障害」と判断されても、母親はそれを受け入れることができませんでした。この状況は、障害を持つ子供の親が直面する心理的な葛藤を浮き彫りにしています。
しかし、少年院に入った後、陽翔は精神科医が組んだトレーニングプログラムによって徐々に変化していきます。この過程は、適切な支援と理解があれば、知的障害を持つ非行少年たちも成長し、変化できることを示しています。
陽翔と母親の物語は、「子供が障害持ち」という事実を受け入れることの難しさと重要性を描いています。現実と向き合い、受け入れることが、現状を改善する第一歩であることを示唆しています。
あらすじ
ケーキが切れない少年との出会い
精神科医の六麦克彦は、要鹿乃原少年院で働き始めます。そこで彼は、田町雪人という少年に出会います。田町のIQは68で、軽度知的障害に該当します。六麦は田町にケーキを三等分する問題を出しますが、田町は解くことができません。この経験から、六麦は知的障害と非行の関連性に気づき始めます。田町のような少年たちが社会に適応できず、犯罪に手を染めてしまう現実が浮き彫りになります。
妊娠中の暴力少女
15歳の門倉恭子は、妊娠8か月で教師に暴行を働き、女子少年院に入所します。恭子のIQは79で、境界知能に該当します。彼女の事例を通じて、「ギリギリ健常の知的障害」という、制度の狭間に落ちてしまう子どもたちの存在が明らかになります。恭子のような境界知能の子どもたちは、一見して障害があるようには見えないため、周囲の理解を得られにくい現状があります。この事例は、社会システムの問題点を浮き彫りにします。
性犯罪を犯した自閉症スペクトラム少年
出水亮一は強制わいせつ罪で少年院に入所します。彼のIQは92ですが、自閉スペクトラム症を抱えています。出水は小学校高学年から性の問題行動を繰り返し始め、中学では父親からの暴力やいじめを経験します。ストレス解消のためにアダルト動画を見るようになり、「女性は無理やりされて喜ぶ」という誤った認識を持ってしまいます。この事例は、知的障害や発達障害を持つ子どもたちが、適切な性教育や支援を受けられないことの危険性を示しています。
火事を起こした自閉症スペクトラム少年
14歳の荒井路彦は、自宅に火をつけたことで隣家の老人を焼死させてしまい、少年院に入所します。荒井は自閉スペクトラム症の疑いがあり、IQは73です。彼の症状により、自分の行動の結果を理解することが難しく、被害者の視点を取り入れることができません。荒井のケースでは、「被害者の視点を取り入れた教育」が有効だと判断され、特別なプログラムが実施されます。この事例は、知的障害や発達障害を持つ子どもたちに対する矯正教育の難しさと、個別のアプローチの重要性を示しています。
赤ちゃんを放棄した境界知能の少女
小平恵は公衆トイレに赤ちゃんを放棄し、逮捕されます。恵は軽度の知的障害を持っていますが、「ギリギリ健常者」と判断されるレベルです。そのため、周囲からの理解を得られず、非行グループと交友を持つようになります。大学入学後も孤独を感じた恵は、マッチングアプリで知り合った男性との関係で妊娠してしまいます。この事例は、境界知能の人々が直面する社会適応の難しさと、適切な支援の不足を浮き彫りにしています。また、境界知能の人々が法的にも「精神障害なし」と判断され、責任能力が問われる現状も示しています。
障害を認めない母親と非行少年
軽度知的障害を持つ手塚陽翔は、何度も万引きを働き、少年院に送致されます。少年院で「軽度知的障害」と診断されますが、母親はその事実を受け入れることができません。しかし、少年院での専門的なトレーニングにより、陽翔は徐々に変化していきます。この事例は、障害を持つ子どもの親が直面する現実の厳しさと、それを受け入れることの重要性を示しています。同時に、適切な支援と教育によって、非行少年たちにも成長の可能性があることを示唆しています。
発達性協調運動障害を持つ少年
太田太志は、DCD(発達性協調運動障害)を抱えています。この障害により、太田は日常生活に支障が出るほど体の使い方が不器用です。そのため、社会で働くことが困難で、再非行のリスクも高くなっています。太田の事例は、身体的な障害が社会適応や就労に与える影響の大きさを示しています。また、このような障害を持つ少年たちへの支援の必要性と、社会の理解の重要性を浮き彫りにしています。
知的障害を持つ殺人少年
田町雪人は、少年院を模範的に出所した後、知人に騙されて多額の借金を背負ってしまいます。その結果、殺人を犯してしまいます。田町のIQは68で、軽度の知的障害があります。この事例は、知的障害を持つ人々が社会に出た後も直面する困難と、再犯のリスクの高さを示しています。また、社会の中で適切なサポートシステムがないことの危険性も浮き彫りにしています。
コグトレによる認知機能向上の試み
六麦は、非行少年たちの認知機能向上のために「コグトレ」と呼ばれるトレーニングを導入します。コグトレは、記憶、言語理解、注意、知覚、推論、判断といった認知機能の5つの要素に対応する「覚える」「数える」「写す」「見つける」「想像する」の5つのトレーニングから成り立っています。
このトレーニングは、パズルやゲームのような形式で、直接的には学習という印象を与えません。非行少年たちは楽しみながらこのトレーニングに取り組み、徐々に認知機能の向上が見られるようになります。
社会システムの問題点の露呈
物語が進むにつれ、非行少年たちを取り巻く社会システムの問題点が明らかになっていきます。
学校教育では、軽度知的障害や境界知能の子どもたちのニーズに対応できていない現状が浮き彫りになります。特に、社会性やコミュニケーションスキルを学ぶ機会の不足が指摘されます。
また、司法制度においても、境界知能の人々が「精神障害なし」と判断され、適切な支援を受けられない現状が示されます。これらの問題は、非行少年たちの再犯リスクを高め、社会復帰を困難にしている要因として描かれています。
今後の展望
六麦を中心とした医療スタッフたちは、非行少年たちの認知機能向上や社会適応能力の改善に向けて、さらなる取り組みを行っていくことが予想されます。
特に、コグトレなどの新しい手法の効果検証や、より個別化された支援プログラムの開発が進められる可能性があります。また、社会システムの問題点に対する提言や、学校教育における早期支援の重要性の訴えかけなど、より広い社会的な変革を促す展開も期待されます。
同時に、出所した少年たちの追跡調査や、彼らの社会復帰プロセスにも焦点が当てられる可能性があります。これらの展開を通じて、知的障害や発達障害を持つ人々への理解を深め、より包括的な社会システムの構築を目指す物語の方向性が示唆されています。
見どころ
『ケーキの切れない非行少年たち』は、少年犯罪と知的障害に焦点を当てた社会派コミックです。この作品は、原作者・宮口幸治さんが医療少年院で実際に体験した事例を基に、非行少年たちの現実や彼らを取り巻く複雑な社会問題を描いています。非行や犯罪と聞くと「悪いことをした人」というイメージが先行しがちですが、このマンガは、そうした少年たちの背後にある知的ハンディキャップや、家庭環境、社会の無理解といった要因をリアルに描写しており、読む人に深く考えさせられる内容になっています。
知的障害と非行の結びつきが衝撃的
このマンガの最も印象的なポイントは、知的障害と非行の関係に焦点を当てていることです。主人公である精神科医の六麦先生が「ケーキを三等分できない」というテストを通じて、非行少年たちの多くが簡単な計算や図形の問題を解けないことを発見するシーンは、非常に衝撃的です。少年たちは、学校では「厄介な子」として扱われるだけで、知的ハンディキャップに気づかれることなく、支援も受けられませんでした。多くの読者がこの事実に驚き、考えさせられたという意見が見られます。「事件を起こして家庭裁判所で処理された少年が5.5万人もいる」という数にも多くの人がショックを受けており、このマンガが社会に対する警鐘を鳴らす役割を果たしていることがわかります。
境界知能という「グレーゾーン」の少年たち
知的障害と診断されない「境界知能」に属する子どもたちの問題も、この作品の重要なテーマです。IQ70から84未満というグレーゾーンにいる少年少女たちは、知的障害と認められないため、必要な支援が受けられずに「生きづらさ」を抱えています。この問題を通じて、社会がいかに彼らを見過ごしてきたかが強調されており、「グレーゾーンの子どもたちに対する配慮の必要性」が何度も指摘されています。社会的に「健常者」とされるがゆえに、支援を受けられない現状は、読む側にもフラストレーションを感じさせつつ、問題意識を高めてくれます。
キャラクター描写のリアリティ
また、キャラクター描写のリアリティもこの作品の大きな魅力です。宮口さん自身が実際に出会った非行少年たちをモデルにしているため、登場人物たちは非常に現実的です。例えば、IQ68の田町雪人は、知的障害が原因で犯罪に巻き込まれ、少年院を出ても再び犯罪に手を染めてしまいます。彼の生い立ちや家庭環境が詳細に描かれていることで、単なる「加害者」としてではなく、社会的弱者としての彼の苦悩が深く伝わってきます。「非行少年たちのリアルな描写が心に響く」という意見が多く、彼らが置かれた現実に共感を覚える人も少なくありません。
重くても読みやすいストーリー展開
テーマ自体は非常に重いのですが、物語の展開や鈴木マサカズさんのシンプルで淡々とした作画のおかげで、読みやすさが保たれています。「重い内容だけど、漫画だから読みやすい」という声が多く、複雑で重いテーマをシンプルに伝えることに成功していると言えます。作画自体が感情を大きく表現しすぎないことで、かえって登場人物たちの無表情さや、生きることに無気力な様子が強調されており、これが作品全体の雰囲気をさらに深いものにしています。
教育や支援の必要性を訴えるメッセージ
最後に、この作品が強く訴えているメッセージは「早期発見と支援の重要性」です。六麦先生が少年たちと向き合いながら「早期に気づいていれば、非行を防げたのではないか」という思いに悩むシーンは、多くの読者に響きます。実際に、教育や社会的支援があれば、非行に走る少年たちの未来が変わったかもしれないという考えは、作品全体を貫くテーマです。「もっと早く特別支援教育が提供されていれば」という声が多く見られ、このメッセージが多くの読者に届いていることがわかります。
まとめ
『ケーキの切れない非行少年たち』は、知的障害と非行の関係に迫り、社会の無理解が引き起こす「負の連鎖」を鋭く描いた作品です。重いテーマでありながら、キャラクターのリアルな描写やシンプルな作画のおかげで読みやすく、同時に深い考察を促されます。このマンガは、非行少年たちの背後にある問題を理解するきっかけとなり、読む価値のある作品だと思います。
感想・考察
『ケーキの切れない非行少年たち』は、現代社会が抱える問題に深く切り込んだ作品です。児童精神科医・宮口幸治さんの実体験を基にした原作を、鈴木マサカズさんがリアルにコミカライズしています。少年院に収容されている非行少年たちの姿を通じて、犯罪の背景にある知的障害や家庭環境の問題が浮き彫りにされていきます。
まず、この作品の一つの大きなテーマは、「社会が見落としている子どもたちの存在」です。主人公の六麦先生が「ケーキを三等分できない」というエピソードで知的ハンディを持つ少年たちと出会い、彼らが勉強についていけないまま放置され、最終的に犯罪に手を染めるという現実が描かれています。これには、正直、胸が締め付けられるような思いになりました。学校や家庭で適切な支援を受けられていれば、彼らの人生は違っていたのかもしれない。社会の無理解が、非行の温床になっているというメッセージは、読者にとって非常に重いものです。
「グレーゾーンの子どもたち」について言及している意見が多く見られます。知的障害と診断されないまま、支援の手が届かずに社会で孤立してしまう子どもたちが存在するという事実は、私自身も考えさせられました。特に印象的だったのは、少年院を出ても再び非行に走る少年たちがいるという点です。知能が低いために、犯罪が悪いことだと理解できない子たちもいるのだという現実は衝撃的でした。
また、六麦先生が非行少年たちと向き合う中で感じる葛藤や無力感も共感できます。少年たちは、自分がしていることの意味を理解できていないし、罪の重さを正しく認識していない。六麦先生が「早期発見と支援があれば、この子たちは非行に走らなかったかもしれない」と悩むシーンは、特に心に残りました。実際に多くの読者も「もっと早く支援が提供されていれば」という声をあげています。これは、社会全体に対するメッセージでもあり、教育や福祉制度の在り方を問う重要なテーマです。
作画についても触れたいと思います。鈴木マサカズさんのシンプルで淡々としたタッチは、物語の重さを際立たせつつも、読みやすさを保っています。非行少年たちが無表情で描かれる場面が多いのですが、その無感情さが、彼らが抱える「生きづらさ」を象徴しているように感じました。この淡白な作画が作品のテーマとよくマッチしているという評価が見られます。感情をあまり表に出さない少年たちの姿が、彼らが抱える内面的な苦しさを暗示しているようで、深く印象に残ります。
全体を通して、このマンガは非常に重いテーマを扱っているものの、私たちに社会の見過ごしている現実を突きつけてきます。非行少年たちは「犯罪者」というレッテルだけでは語りきれない背景を持っています。この作品を読むことで、彼らを理解する視点が変わるだけでなく、社会全体が彼らに対してどのような支援を提供できるのかを考えるきっかけになります。読者にとっても、決して他人事ではない重要なテーマだと感じます。

読者の声
正確に伝えていくために説明文を入れると、文字数がかさんで読みにくいのかもしれませんが、可能なら文字を拡大できると助かります。
人間として成長していく過程で、軽度知的障がいがあると犯罪をおかしてしまう可能性も増える(かっとなっての犯行等。)ならば、普段から生活上でサポートの体制が整っていてほしいけど、
そもそも親が子どもの軽度知的障がいを認めたくないケースもあるようで、難しいのだろうか。
考えさせられます。
めちゃコミックより引用
ケーキを三等分できないってことは、小さい頃からホールケーキを食べる習慣がなかったってこと?故に愛情不足で非行に走ったってことかな?と浅はかな考えで読んでみて衝撃を受けました。
なるほど、そうなんだ…でもそれはそれでほんとに切なくて辛い。
最近はよく病名がつくようになって、それがいいことなのかそうじゃないのかって考えさせられますが、その子に合った療育なり環境なりってほんとに大切なんですね。
子育て中なので、すごく考えさせられます。
めちゃコミックより引用
非行を犯す子どものメカニズムをよく理解できた。他人事だと思っていたけど、軽度の知的障害を持つ人は想像以上に多いし、今後子育てに関与する可能性がある立場として正しい知識を習得することの大切さを実感した。非行少年に共通する特徴は、認知機の弱さ、感情統制の弱さ、融通の利かなさ、自己評価の低さ、身体的不器用さの5つ。治療の前にそもそも正しくステータスを理解、評価されていない子どもが多い、つまり教育や評価する側に対する教育が欠如しているとのこと。不覚にも中学生のときの同期の顔が浮かんできてしまった。
読書メーターより引用
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作者について
鈴木マサカズ
公式:SUZUKI MASAKAZU Official Website
漫画家
株式会社BLUEDOG代表
愛知県出身
京都精華大学芸術学部テキスタイルコース卒
映画好き
本好き
音楽好き
ゲーム好き
Apple好き
ガジェット好き
食べたり飲んだり好き
ドライブ好き
散歩好き
ウォーキング好き
ランニング好き
好きな言葉は「粛々」と「紙一重」
『ケーキの切れない非行少年たち』で第6回さいとう・たかを賞 受賞
他作品:マトリズム、銀座からまる百貨店お客様相談室、最果てのサイクロプス
作者のSNSリンク
「ケーキの切れない非行少年たち」まとめ
- 連載状況:「ケーキの切れない非行少年たち」はくらげバンチで連載中
- 作者:原作 宮口幸治、漫画 鈴木マサカズ
- コミックス情報:現在9巻まで発売、連載中。おおよそ5-6ヶ月に1回のペースでリリース
- 受賞歴:『ケーキの切れない非行少年たち』で第6回さいとう・たかを賞 受賞
- 読むには:割引クーポンを使えば、eBookJapanでお得に読める
- 作品の魅力:境界知能を持つ子どもたちの生きづらさを描く社会派マンガ。非行の裏側にある複雑な要因を浮き彫りにし、社会の在り方に鋭い問いを投げかける
- キャラクター:小平恵(境界知能の女子高生)、六麦克彦(女子少年院の精神科医)、小平里美(恵の母)など、複雑な背景を持つ人物が登場
- テーマ性:知的障害への理解と支援の重要性、教育システムの見直しの必要性、非行の根本原因への洞察、社会復帰支援のあり方について深い問いを投げかける
- ジャンルの新規性:社会派ドラマ、教育問題作品、心理ドラマ、青少年問題を扱う。社会問題に興味がある一般読者、社会福祉従事者、心理学専攻の学生や研究者、非行少年の更生に関心のある人に向いている
- 読者の感想:社会問題への深い洞察や、非行少年たちの内面描写に共感する声が多い。子育て中の読者からは特に強い反響がある