「BABEL」和洋折衷の戦国ファンタジー

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戦国時代を舞台に、南総里見八犬伝を大胆にアレンジした和洋折衷ファンタジー。宝珠に選ばれし八犬士たちが、日本に蔓延る西洋の悪魔と壮絶な戦いを繰り広げる。犬塚信乃を中心とした個性豊かな仲間たちの活躍と、重厚な世界観が織りなす壮大な物語。読者を異形の戦国時代へと誘う、唯一無二の歴史改変ファンタジー。

もくじ

「BABEL」はどこで読める?

「BABEL」はビッグコミックスペリオールで2018年第2号から2021年第18号にかけて掲載された
10巻完結

以下の方法で読むことができます

  • 電子書籍:KindleeBookJapanブックライブなどで配信中。
    多くの電子書籍ストアでは、無料で試し読みできます。
  • 紙の書籍:全国の書店で発売中。オンライン書店でも購入可能です。
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10巻完結

babel
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作品基本情報

タイトル:「BABEL」

作者:石川 優吾

ジャンル:
歴史ファンタジー
アクション
ダークファンタジー

ターゲット読者層:
青年層(18歳以上)
男性読者が中心
日本の歴史と西洋の神話に興味がある読者
複雑なプロットと深いテーマを楽しむ読者

登場人物

犬塚信乃(いぬづか しの)

本作の主人公の一人で、南総里見領で暮らす青年です。諱は「戍孝」で、元々は里見家に仕えた家柄の出身ですが、現在は百姓の身分に落ちています。信乃は正義感が強く、困っている人を見ると危険を顧みずに助けようとする性格です。

信乃は、伏姫を助けたことをきっかけに里見領を巡る戦いに巻き込まれ、玉梓との死闘を経て「孝」の宝珠を授かり、犬士となります。彼の愛刀は妖刀「村雨丸」で、並の武芸者では太刀打ちできないほどの実力を誇ります。

物語が進むにつれて、信乃は自分が何者なのかを思い悩む時期もありましたが、「犬の導きで悪と戦う武士」と自己を定義することで迷いを振り払います。宝珠を得てからは、修羅場に臨むと右目が輝き、孝の字が浮かび上がるようになり、超人的な能力を発揮するようになります。

ゝ大(ちゅだい)

延暦寺の僧侶で、物語の重要な案内役を務めます。彼は千日回峰行の巡拝を終える直前に異様な熊に襲われますが、八房(当時はハチ)の助けを得て無事に巡拝を完遂します。

その後、ゝ大は八房の後見人のような立場となり、伏姫を見初めた八房と共に南総里見領に向かいます。しかし、八房が玉梓の呪いに侵されたことで、犬塚信乃に八房の介錯を託すことになります。

ゝ大は、日本を覆い尽くそうとする「闇」に抗うために宝珠と犬士を集める必要があると悟り、比叡山を代表して全国を旅するようになります。彼の基本姿勢は「犬の導きに任せる」というもので、結果的に未来の犬士たちと出会うことに成功します。

伏姫(ふせひめ)

里見義実の嫡女で、物語の重要な鍵を握る人物です。彼女は南総里見領を危機から救うために比叡山を訪れ、八房を連れ帰ろうとします。しかし、玉梓の呪いに侵された八房の介錯をめぐって犬塚信乃と対立し、その後、玉梓の呪いに侵された父・義実に襲われます。

この事件をきっかけに、伏姫は生死の狭間の状態となり、その身体は比叡山に運び込まれます。以降、伏姫は御霊として犬士たちの旅を見守るようになり、新たな仲間の居場所を告げたり、火事場からの脱出を補助したりと、重要な役割を果たします。

八房(やつふさ)

ゝ大の千日回峰行に付き添った不思議な犬で、物語の重要な存在です。当初は「ハチ」と呼ばれていましたが、ゝ大の千日回峰行を助けたことで「八房」と改名されます。

八房は「神の狗」と讃えられる存在となり、伏姫の要請に応じて南総里見領へ向かいます。そこで山下定包の単身討伐を成し遂げますが、玉梓の呪いを浴びて正気を失い、犬塚信乃に介錯されることになります。

しかし、八房は生物としての死を迎えず、伏姫と似た生死の狭間の状態となります。その後は御霊として犬士たちの前に現れ、宝珠を授けたり、進むべき道を示したりして彼らの旅を助けます。

内藤吉十郎孫兵衛(ないとう きちじゅうろう まごべえ)

「千里眼」と呼ばれる謎の男児で、物語の後半で重要な役割を果たします。彼の正体は、信濃国高遠藩第三代藩主、内藤頼由の嫡子で、本来は江戸時代の人物ですが、「時間」に乗ってさまざまな時代を巡っています。

孫兵衛の目的は、民が苦しむ国の在り方を変えることで、織田信長を敵視しています。彼は犬塚信乃たちと出会い、協力して織田軍と戦うことになります。孫兵衛は現代的な銃器を使いこなし、その知識と経験は戦いにおいて大きな助けとなります。

物語の終盤で、孫兵衛は自身も「仁」の宝珠に選ばれた犬士であることを明かし、延暦寺の座主から犬士隊の隊長に任命されます。彼は、何度やり直しても信長の野望を阻めないことに苦悩していましたが、最終的に「歴史上の信長」ではなく「信長を名乗る者」を倒すことが自分たちの使命だと悟ります。

孫兵衛は、本作と前々作『スプライト』をつなぐ重要な架け橋となる人物です。

用語集

宝珠

宝珠は、徳を成した者に力を与える半透明の球体です。人の眼球ほどの大きさで、八つ存在します。それぞれの宝珠には「仁」「義」「礼」「智」「忠」「信」「孝」「悌」のいずれかの文字が刻まれています。

もともとは南総の修験者が里見家に託した数珠の一部でした。伏姫が数珠の状態で所持していましたが、玉梓の呪いに侵された里見義実に襲われた際に不思議な力を放って伏姫を守り、その後四方八方に飛散しました。

宝珠に選ばれた者は「犬士」となり、覚醒すると人間離れした身体能力を発揮できるようになります。また、犬士が窮地に陥った際には宝珠が独りでに動き、不思議な力で悪しき者を打ち据えることもあります。

犬士

宝珠に選ばれ、「闇」との戦いを宿命づけられた者たちです。宝珠と同数の八人が存在し、総称して「八犬士」と呼ばれることもあります。

犬士は修羅場に瀕すると宝珠の力によって覚醒し、屋根に飛び乗ったり、銃弾を弾いたりと、人間離れした能力を発揮できるようになります。その戦力は幾千万の兵力に匹敵するとまで評されています。

また、犬士たちの旅には不思議な助けがつきものです。行く先々に犬が現れ、進むべき道を示してくれたり、馬に姿を変えて目的地まで乗せてくれたりと、さまざまな場面で旅の助けになってくれます。

悪魔

耶蘇教の「闇」を象徴する存在です。「堕天使」とも称されており、それぞれ固有の忌み名を持っています。

「神」に居場所を追われ、安息の地を求めて大海原へ繰り出し、物語の15年前に日ノ本に到達しました。助修士として悪魔と同じ船に乗っていたフェルナンの証言によれば、人数は八人でした。

彼らは表に出ることなく日ノ本の各所に潜み、ある者は有力な武将と入れ替わって、ある者は有力な武将を唆して、「神」の力の及ばない日ノ本の支配を進めていました。しかし神の狗、八房の介入によって、玉梓が担当していた南総里見領の支配に失敗。日ノ本の神仏の加護を受けた犬士の存在に気づき、その力を警戒するようになりました。

死人

悪魔の力で動き始めた人間の亡骸です。脳を破壊されない限り、首を切断されても動き続けます。飲まず食わずでも活動できますが、知能が低く、肉を求めて彷徨うというゾンビのような特性があります。

桶狭間の戦いでは織田信長が本格的に死人を動員し、数で勝る今川軍を圧倒しました。その恐ろしさは戦場で倒した敵を即座に自軍の兵力として利用できる点にあります。

しかし、邪悪な存在であることから諏訪神社の結界に阻まれるなど、神聖な場所には近づけないという弱点も持っています。

時間

地表を覆う黒い水のようなものとして描かれています。その正体は文字通り「時間」であり、「時間」の津波を利用して別の時代へ移動することもできます。

ただし、特定の条件を満たしている者にしか視認できず、内藤吉十郎孫兵衛と対馬だけが正体を把握している状況でした。日吉神社の宮司は、比叡山の下に広がる黒い水を通して比叡山が焼き討ちされる光景を見ることになり、その意味を孫兵衛たちに詰問しています。

「時間」の津波が発生すると、別の時代に移動できる規模になります。しかし、孫兵衛はこれまでの歴史と違う展開を見せ始めている織田信長との決着をつけるべきと判断し、不退転の覚悟を口にしてこの時代に残留する道を選びました。

安土城

比叡山から見て淡海の対岸、安土の辺りに出現した謎の建造物です。西洋建築で、周囲を幅広い堀に囲まれており、陸地とは1本の橋で結ばれています。湾上のモン・サン=ミシェルを彷彿とさせるデザインですが、本丸には天守閣の代わりに巨大な塔が屹立し、日を追うごとに高くなっています。

その威容は250年もの時を生きる内藤吉十郎孫兵衛が一目で腰を抜かしたほどで、この時代が本来とは違う歴史を歩んでいることを彼に気づかせるきっかけになりました。

織田信長が地上を支配し、天上への挑戦を見据えて築かせたとされ、伝説に準えて「バベルの塔」とも呼ばれるようになります。孫兵衛は安土城を「洪水(「時間」)から逃れるためのシェルター」と結論づけています。

あらすじ

千日回峰行を完遂する八房

延暦寺の僧侶ゝ大は、不思議な犬のハチを伴って千日回峰行に励んでいます。

峰行の最終日、ゝ大の前に異様な熊が立ちはだかります。ゝ大は死を覚悟しますが、ハチの献身により窮地を脱し、無事に峰行を完遂します。

熊と相討ちになったかと思われたハチも帰還し、その名を「八房」と改められます。八房の噂は全国に広まり、多くの権力者が比叡山を訪れるようになります。

南総里見領の危機と八房の活躍

南総里見領の伏姫が八房の力を求めて比叡山を訪れます。

八房は伏姫の求めに応じて下山し、ゝ大と共に犬塚信乃、額蔵の助けを得て伏姫を里見義実の居城に送り届けます。義実は山下定包の首と引き換えに伏姫を褒美として与えることを約束します。

八房は単身で定包を討ち取り、さらに妖婦の玉梓を撃退して里見領に本来の天候を取り戻すことに成功します。

八つの宝珠の誕生と犬士の覚醒

玉梓の呪術に蝕まれた八房は、ゝ大の法力でも元に戻せず、犬塚信乃に刃を突き立てられます。

しかし呪いの脅威は止まらず、里見義実が玉梓のあやつり人形と化してしまいます。義実の猛攻に信乃たちは絶体絶命の状況に追い込まれますが、伏姫の所有していた八つの宝珠が光を放って義実を退けます。

しかし伏姫は意識を失い、宝珠も四方八方へ飛び去ってしまいます。

玉梓との死闘と信乃の犬士への覚醒

玉梓は地元民を人質に犬塚信乃を誘き出し、伏姫の情報を得ようと企みます。

信乃は単身で村人の救出に向かいますが、玉梓は安西景連の協力を得て待ち構えていました。四面楚歌の状況に信乃は死を覚悟しますが、八房の御霊の支援もあって玉梓の首を落とすことに成功します。

しかし玉梓からあふれた黒き呪いが周囲の死体を傀儡と化し、信乃は再び窮地に陥ります。

伏姫の御霊が現れ、信乃の行動が「孝」の宝珠を得るに相応しいと語ります。こうして「闇」に抗う犬士となった信乃は宝珠の力で玉梓を退けることに成功します。

薩摩国での小文吾の活躍

舞台は薩摩国に移り、島津家の家臣である犬田左衛門之介の下男、小文吾が登場します。

小文吾は主人の命令で島津家の犬を連れて逃げることになり、屋久島に流れ着きます。島で琉球王国の王女、按司加那志の護衛を任されますが、島津軍の追手との戦いで重傷を負います。

しかし、ワンコから「悌」の宝珠を授かり犬士として覚醒し、仇討ちを成し遂げます。その後、島津軍に敗れて薩摩国へ連行され、奇習「ひえもんとり」に参加させられますが、犬塚信乃たちと出会い、島津貴久の撃破に貢献します。

内藤吉十郎孫兵衛と対馬の登場

永禄3年5月19日、織田信長が桶狭間の戦いで今川義元を討ちます。

この戦いを目撃したゝ大は信長の強さに戦慄し、犬塚信乃のような「光」に選ばれた者だけが対峙できると悟ります。

その後、不思議な童子の存在が察知され、犬塚信乃、浜路、左母二郎は「千里眼(内藤吉十郎孫兵衛)」と渾名された童子を救うべく、信州は諏訪を目指して出発します。諏訪では孫兵衛と対馬という未来から来た二人と出会い、織田軍の死人との戦いに巻き込まれます。

諏訪神社での死闘

諏訪神社に立て籠もった犬塚信乃たちは、お市こと玉梓が率いる生ける屍の大軍と激しい戦いを繰り広げます。

神社の結界や狛犬、獅子の石像など、神域を守る防衛装置が活躍しますが、お市の強大な力の前に次々と破壊されていきます。最後は御神体である森山での決戦となり、神木落しの計略でお市の軍勢を撃退することに成功します。

この戦いで玉梓との因縁に終止符が打たれます。

安土城の出現とバベルの塔

比叡山から見て淡海の対岸に、巨大な塔を持つ安土城が出現します。

この建造物は織田信長が地上を支配し、天上への挑戦を見据えて築かせたもので、「バベルの塔」とも呼ばれるようになります。

内藤吉十郎孫兵衛はこの塔を見て、この時代が本来とは違う歴史を歩んでいることに気づきます。孫兵衛は安土城を偵察し、信長との対話を経て、この城を「洪水(「時間」)から逃れるためのシェルター」と結論づけます。

八犬士の集結と最終決戦への準備

延暦寺の座主は未曽有の危機の到来を予感し、信長に立ち向かうための準備に着手します。

犬飼現八を派遣して全国の武将に協力を呼び掛け、今川氏真を総大将とする連合軍を成立させます。この連合軍には武田、上杉、浅井、浅倉など名だたる武将が呼応します。一方で、座主は短期決戦の必要性を訴え、犬士隊を組織して安土城への突入と信長の撃破を命じます。

この過程で、残りの犬士たちも集結し、八犬士が揃うことになります。

安土城での最終決戦

永禄3年11月3日、安土城を舞台に織田軍と連合軍の間で天下分け目の戦いが始まります。

死人を主力とする織田軍と、今川氏真を総大将とする連合軍が激突する中、八犬士たちは安土城の本丸に突入します。塔の最上階では織田信長との最後の戦いが繰り広げられます。

この戦いで、八犬士たちの真の姿が明らかになり、信長の正体や目的も明かされます。

結末

八犬士たちと織田信長との壮絶な戦いの末、物語は衝撃的な真実と共に幕を閉じます。

この戦いの結果は日本の歴史を大きく変える可能性を秘めており、登場人物たちの運命も大きく変わることになります。しかし、その詳細については読者自身で確かめていただくのが良いでしょう。

見どころ

戦国時代と西洋の悪魔の融合

この作品の最大の魅力は、日本の戦国時代と西洋の悪魔という一見ミスマッチな要素を見事に融合させている点です。南総里見八犬伝をベースにしながら、織田信長をはじめとする実在の武将たちと、耶蘇教の悪魔たちが激突する様子は、とてもスリリングで目が離せません。特に、桶狭間の戦いで織田信長が死人の軍団を操る場面は、戦国時代の歴史を知っている私たちにとって衝撃的で、作品世界に引き込まれる瞬間でした。

犬士たちの成長と絆

犬塚信乃を中心とした犬士たちの成長と絆も、この作品の大きな見どころです。宝珠に選ばれた彼らは、超人的な力を得ると同時に、重大な使命を背負うことになります。その過程で、彼らがどのように成長し、お互いの絆を深めていくかが丁寧に描かれています。特に、信乃が自分の在り方に悩む場面や、小文吾が主人への忠義と新たな使命の間で葛藤する様子は、とても印象的でした。

圧倒的な画力と迫力のある戦闘シーン

石川優吾先生の圧倒的な画力も、この作品の大きな魅力です。特に戦闘シーンの描写は息をのむほど迫力があります。諏訪湖を舞台にした戦いでは、死人の大群と犬士たちの激闘が緻密に描かれ、まるでその場にいるかのような臨場感を味わえます。また、安土城の描写も圧巻で、バベルの塔を思わせるその姿は、読者の想像力を掻き立てます。

時空を超えたクロスオーバー

予想外の展開として、作者の前々作『スプライト』からの登場人物、内藤吉十郎孫兵衛と対馬が物語に加わったことも大きな見どころです。現代の武器を携えた彼らが戦国時代に介入することで、物語はさらに複雑で興味深いものになりました。特に、孫兵衛が織田信長との対話で明かされる重大な秘密は、物語の新たな展開を予感させ、わくわくしました。

深淵な世界観と哲学的な問い

この作品は単なる戦国ファンタジーにとどまらず、深淵な世界観と哲学的な問いを投げかけてくれます。「時間」という概念や、善悪の二元論を超えた存在としての悪魔たち、そして人間の意志と運命の関係性など、読み進めるほどに考えさせられる要素が満載です。特に、織田信長が語る「真の敵は地上ではなく天に存在する」という言葉は、物語の奥深さを象徴していると感じました。

このように、BABELは戦国時代を舞台にしながらも、時空を超えた壮大なスケールと深い思想性を持つ作品です。迫力ある戦闘シーンと繊細な心理描写のバランスが絶妙で、読むたびに新たな発見がある、まさに何度も読み返したくなる傑作だと思います。

感想・考察

時代を超えた戦いの意味

時代を超えた戦いを描くことで、人間の本質的な問題に迫っています。現代人の孫兵衛と対馬が戦国時代に飛ばされ、八犬士として戦うという設定は、時代を超えて変わらない人間の闘争本能や、正義のために戦う意志の普遍性を示しているように感じます。

特に印象的なのは、孫兵衛と対馬が「時間」という概念を通じて過去と未来を行き来できる点です。これは単なるSF的な要素ではなく、私たちが過去の歴史から学び、未来を変える可能性を持っていることを象徴しているのかもしれません。

また、織田信長をはじめとする歴史上の人物が、実は悪魔の化身だったという設定も興味深いです。これは、歴史の裏側にある見えない力や、人間の行動を操る未知の存在への警鐘なのかもしれません。

結局のところ、時代や立場が違っても、正義のために戦う人間の姿は変わらないということを、この作品は教えてくれているように思います。それは、現代を生きる私たちにも通じるメッセージなのかもしれませんね。

悪魔と神の狭間で揺れる人間の姿

耶蘇教の悪魔と日本の神仏の力が激しくぶつかり合います。この構図は、単純に善悪を描いているわけではなく、むしろ人間がその狭間でどう生きるかを問いかけているように感じます。

例えば、島津貴久は元々は犬を愛する優しい人物だったのに、戦に明け暮れるうちに耶蘇教に救いを求め、最終的に悪魔に憑依されてしまいます。これは、人間の弱さや、極限状態での判断の難しさを表しているのではないでしょうか。

一方で、八犬士たちは神仏の加護を受けながらも、自らの意志で戦いを選択しています。これは、神や悪魔に振り回されるのではなく、自分の信念に従って生きることの大切さを示しているように思えます。

結局、この作品は「人間とは何か」という根源的な問いを投げかけているのかもしれません。神でも悪魔でもない、弱さと強さを併せ持つ人間が、どう生きるべきかを考えさせられる作品だと感じました。

死と生の境界線を問う

生者と死者の境界線が曖昧になっています。特に印象的なのは、悪魔の力で動き出す「死人」の存在です。これは単なるゾンビ物語ではなく、生と死の定義や、人間の尊厳について深く考えさせられる要素だと思います。

例えば、織田信長が死人を兵士として使役する場面は、戦争の非人道性や、人間を道具として扱うことの恐ろしさを象徴しているように感じます。一方で、伏姫や八房のように、生死の狭間で存在し続ける者たちもいます。これは、死後も影響力を持ち続ける人間の意志の強さを表しているのかもしれません。

また、生きている人間が死人と戦う様子は、過去の負の遺産と向き合う現代人の姿にも重なって見えます。私たちも、過去の戦争や差別の歴史という「死人」と、日々戦っているのかもしれません。

この作品は「生きる」ということの意味を、死との対比を通じて問いかけているのだと思います。それは、現代を生きる私たちにとっても、とても重要な問いかけなのではないでしょうか。

BABEL 打ち切りの噂について

この作品の打ち切りについては、読者の間でさまざまな意見が飛び交っているようです。確かに、最終巻の展開が急だったという声も聞こえてきます。

石川優吾さんの作品は、これまでも緻密な構成と伏線の回収で知られています。「BABEL」も例外ではなく、物語の序盤から丁寧に張り巡らされた伏線が、最終巻で一気に回収されている印象を受けます。確かに、展開のテンポは急だったかもしれませんが、これは作者の意図した演出である可能性も高いです。

また、本作は「ビッグコミックスペリオール」で連載されていました。週刊誌と比べて作者が長期的な視点で物語を構築しやすい環境にあります。そのため、最初から決められた巻数で完結する計画があった可能性も十分に考えられます。

さらに、本作の主題である「バベルの塔」のモチーフは、物語の最後まで一貫して描かれています。これは作者が最後まで自身の意図を貫いた証左とも言えるでしょう。

確かに、読者の中には物語の展開にもっと時間をかけて欲しかったという声もあるかもしれません。でも、それは作品の魅力が読者の心を掴んでいた証でもあるんです。打ち切りではなく、むしろ作者の意図通りの結末だったと私は捉えています。この作品は、読み返すたびに新たな発見があり、長く楽しめる奥深さを持っているのではないでしょうか。

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コミック・トライアル作成のイメージ画像

読者の声

面白かったです。(^^)b

まず絵が美麗で話も原作の南総里見八犬伝のはじまり方と
違うから南総里見八犬伝を知ってる人とか
特に犬好きの人には超オススメ!

今まで批判コメント参考にして私好みの絵なのに
買うのやめてたけど、期間限定キャンペーンで無料で読めたから
読んでみたら面白くて続きが気になってます。

犬好きの人にオススメな点は、
やっぱり愛犬家の漫画家さんが描いてるみたいで犬をディスって
無いところがオススメする部分。
「神の犬」って、そこまで描く程犬好きなのか?(笑)って思ったし。
私は超がつく程の犬好きなので楽しく読ませて頂きました。

注意なのがグロい描写があるので、それが苦手な人は無理かも。
ちょうど、「ものの◯姫」と同じ位のグロさです。
女性の裸体も絵描かれていますがエロくは無かったです。

私にとってはグロすぎず裸体もエロすぎずといった感じで、
許容範囲内で大丈夫でした。
Amazonより引用

下手すると、超が付くほど、駄作になるのもあり得る。

南総里見八犬伝をベースを漫画を描いてる作家さんなんでしょう。
八犬伝と言えば、子供の頃、NHKの人形劇ドラマで見た思い出があります。
玉梓が〜怨〜〜霊と決めゼリフが流行りました。
今のペースでいけば、何巻?本を描くつもりなんでしょうね?
じっくり描く時と、話しを進めていく時の
兼ね合いが難しい、途中で、尻切れ蜻蛉も
やだし、ダラダラ駄作になるのも困ります。
割り切って描いて欲しい‼️
Amazonより引用

打ち切り(?)のせいで、めちゃくちゃ

1巻からずっと読んでました。
途中、「もっと話が膨らませられるのにもったいない」と思うところもありましたが、とても次巻を楽しみにしてました。
スプライトはほとんど読んでいなかったので、クロスオーバーし始めたころはよくわからない状態でしたが、
それでも、だんだんと面白くなってきたなと思えたころに、9巻の巻末に「10巻完結」と告知が出ていてがっくりしました。
10巻は、結局余裕のない、ごちゃごちゃ、めちゃくちゃのまま無理やり終わらせたようにしか見えませんでした。
編集部の意図なのか、本当にもったいない、もう少し長い目で見れば、他の巻の評価の星もついてきたところだったのに、残念としか言えません。
物語はそんな感じで、残念な状態ですが、この作者の絵はとってもきれいで細かく描写されており、
とても好きですので、そのため、星を一つ増やしました。(話だけなら1つしか付けられない)
作者の次回作に期待したいのと、編集部は単純な売り上げだけを見るのではなく、先の方まで見通してほしいものです。
(そもそも編集部は売る努力はしたのか?疑問です。)
Amazonより引用

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作者について

石川 優吾

(いしかわ ゆうご、1960年2月9日 – )

日本の漫画家。大阪府四條畷市出身。

農家の次男として生まれる。高校卒業後にいったん大学に入学するが、パチンコに明け暮れて、1年で中退。大学にはトランポリン(体育の授業)だけ参加した。

大学中退後、大阪デザイナー学院に入学する。デザイン会社に就職するも半年ほどで辞め、以前からの夢であった漫画を志す。新人賞に出し、うまく賞に引っかかったことがきっかけで漫画家になることができた。1982年、22歳の時に「革命ルート163」(『週刊ヤングジャンプ』新人増刊号)でデビュー。

他作品:湖底のひまわり春ウララスプライトカッパの飼い方

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「BABEL」まとめ

  • 連載状況:「BABEL」は「ビッグコミックスペリオール」2018年第2号から2021年第18号にかけて連載されていた
  • 作者:石川優吾
  • コミックス情報:10巻で完結している
  • 読むには:割引クーポンを使えば、eBookJapanでお得に読める
  • 作品の魅力:曲亭馬琴の『南総里見八犬伝』を題材としたファンタジー要素の強い時代劇。原作とは時代設定が異なり、戦国時代を舞台に、神道や仏教の加護を得た者たちと、キリスト教の悪魔として描かれる敵対勢力との戦いを描いている
  • キャラクター:犬塚信乃を中心に、ゝ大、八房、伏姫など、個性豊かなキャラクターが登場する。それぞれが「宝珠」に選ばれた「犬士」として超人的な能力を発揮する
  • テーマ性:善悪の対立、信仰の力、歴史の改変など、重厚なテーマを扱っている
  • ジャンルの新規性:戦国時代を舞台にしながら、ファンタジー要素や宗教的な要素を取り入れた独特の世界観を持つ。歴史ファンや和風ファンタジー好きに向いている
  • 読者の感想:独特の世界観や壮大なストーリー展開が評価されている一方で、打ち切りによって急遽終わったのではないかという声も多い
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