「夏目アラタの結婚」獄中の愛と真実の迷宮

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児童相談所職員・夏目アラタと連続殺人鬼・品川真珠の奇妙な獄中結婚から始まる、愛と真実の追求。真珠の過去の謎、アラタの揺れる心、そして周囲の人々の思惑が絡み合う心理戦サスペンス。善悪の境界線を行き来する登場人物たちの駆け引きに、読者は息をのむ。法廷、逃避行、そして最後の真実―― この結婚の行方は?

もくじ

「夏目アラタの結婚」はどこで読める?

「夏目アラタの結婚」はビッグコミックスペリオール2019年14号から2024年4号まで連載。
12巻完結。

「次にくるマンガ大賞2020」コミックス部門でU-NEXT特別賞を受賞。2024年9月6日実写映画化。

以下の方法で読むことができます

  • 電子書籍:eBookJapanブックライブRenta!などで配信中。
    多くの電子書籍ストアでは、無料で試し読みできます。
  • 紙の書籍:全国の書店で発売中。オンライン書店でも購入可能です。

12巻完結

作品基本情報

タイトル:「夏目アラタの結婚」

著者:乃木坂 太郎

ジャンル:
サスペンス
心理戦
法廷ドラマ

ターゲット読者層:
20代後半から40代の成人
男性がメインだが、女性読者も多い
心理描写や犯罪ミステリーに興味がある読者
社会問題や人間の闇に関心のある知的な読者層

主要キャラクター 相関図

夏目アラタの結婚 相関図
夏目アラタの結婚 主要キャラクター 相関図

夏目 新 (あらた)

30代男性
児童相談所職員
外見的特徴:長身で細身。

アラタは深い洞察力を持ち、正義感が強い一方で、荒っぽい面もある人物です。自分の役割を「鉄砲玉」と表現し、法律などに縛られずに行動する傾向があります。荒んだ家庭環境で育ったため、両親や夫婦、婚姻といった関係には不信感を抱いています。

物語の主人公として、アラタは品川真珠との複雑な関係を通じて、自身の過去や価値観と向き合うことになります。真珠から情報を引き出すために結婚を申し込むという大胆な行動を取りますが、次第に真珠に惹かれていく様子が描かれています。アラタの行動と心理の変化が、物語の中心的な展開を担っています。

品川真珠(しながわ しんじゅ)

年齢:21歳(物語開始時)女性
死刑判決を受けた連続殺人犯
外見的特徴:高校生の少女のようなあどけない容姿。歯並びが悪い。

真珠は高い知能を持ち、人の心を見透かす洞察力があります。一人称は「ボク」を使用し、状況に応じて態度や言葉遣いを巧みに変える能力があります。母親や赤ん坊の話題に強い反応を示すなど、過去のトラウマを抱えている様子が描かれています。

物語において真珠は、アラタとの奇妙な関係を通じて自身の過去と向き合い、真実を明らかにしていく中心的な存在です。彼女の複雑な心理と行動が物語を動かし、読者を惹きつける重要な要素となっています。真珠の過去の謎解きが、物語の大きな軸となっています。

山下 卓斗 (やました たくと)

14歳の少年。品川真珠に父親を殺害され、死体の首をどこかへ隠されている。真珠から死体の隠し場所を聞き出すために、児童相談所で自分の担当職員だった夏目新の名前を使い、真珠と文通を行っていた。その後、アラタに、真珠と直接会いに行ってほしいと依頼する。

宮前光一 (みやまえ こういち)

弁護士
アラタと同じくらいの長身

宮前は真珠の私選弁護士として登場します。真珠の生い立ちに同情心を抱いており、彼女の無実を信じ、情状酌量を勝ち取ろうとしています。真珠からは「お人好し」と評されており、彼女の言動に影響されやすい面があります。

物語において宮前は、真珠の過去と現在を繋ぐ重要な役割を果たしています。彼の行動と判断が、真珠の裁判の行方に大きな影響を与えており、物語の展開に重要な役割を果たしています。また、真珠の過去を解明する上で重要な情報源としても機能しています。

あらすじ

児童相談所職員の夏目アラタが、連続殺人鬼の品川真珠との奇妙な獄中結婚を通じて、真実を追求する物語。アラタの揺れる心と真珠の謎めいた過去が交錯する。

アラタと真珠の出会い

アラタは、真珠に父親を殺された子供・山下卓斗の代わりに、真珠と面会する。遺体の隠し場所を探るため、アラタは咄嗟に真珠に結婚を申し込む。この出来事により、アラタと真珠の複雑な関係が始まり、物語の中心的な展開が動き出す。アラタは真珠から情報を引き出そうとするが、次第に彼女に惹かれていく。

真珠の裁判と心理戦

真珠の控訴審が始まり、彼女は無実を訴え始める。「事件の真犯人は自分の父親だ」と衝撃の発言をする。この展開により、真珠の過去や事件の真相に新たな疑問が生まれる。裁判を通じて、真珠の巧みな心理戦と、アラタや周囲の人々との駆け引きが描かれる。

真珠の過去の謎

アラタは真珠の故郷で重要な証拠を発見する。真珠が本当は未成年である可能性が浮上し、裁判は振り出しに戻る。この展開により、真珠の生い立ちや事件の背景に新たな光が当てられる。アラタは真珠の過去と向き合いながら、自身の感情との葛藤も深めていく。

アラタと真珠の逃避行

真珠は法の抜け穴を利用して一時的に自由の身となり、アラタと共に逃避行を始める。この出来事により、二人の関係性がさらに深まり、真珠の本当の姿や目的が徐々に明らかになっていく。同時に、アラタの真珠への感情も複雑化していく。

真相の解明と結末

逃避行を通じて、真珠の過去や事件の真相が徐々に明らかになる。真珠は自身の罪と向き合い、アラタとの関係も新たな段階を迎える。物語は、愛と真実の追求、そして人間の複雑さをテーマに、アラタと真珠の成長と変化を描きながら結末を迎える。二人の関係性や各々の内面の変化が、物語全体のテーマを象徴的に表現している。

見どころ

複雑な心理戦と謎めいた展開

本作の最大の見どころは、主人公アラタと連続殺人鬼の真珠との間で繰り広げられる心理戦である。真珠の言動や表情の変化、アラタの揺れ動く心情が巧みに描かれ、読者を引き込む。真珠の過去や事件の真相が徐々に明らかになっていく展開は、サスペンスとミステリーの要素を巧みに織り交ぜており、次の展開が気になって止まらない。

魅力的なキャラクター描写

真珠のキャラクターは特に印象的だ。一見可愛らしい外見とは裏腹に、狂気と知性を併せ持つ彼女の姿は読者を魅了する。アラタも単なる正義の味方ではなく、真珠に惹かれていく複雑な心理が描かれており、キャラクターの奥深さを感じさせる。脇を固める宮前弁護士や桃山など、個性的なキャラクターたちも物語に厚みを与えている。

社会問題への鋭い切り込み

本作は単なるサスペンス作品にとどまらず、児童相談所の問題や司法制度の抜け穴など、現代社会の問題にも鋭く切り込んでいる。これらのテーマは物語に深みを与え、読者に考えさせる機会を提供している。

緻密な伏線と驚きの展開

物語が進むにつれて、真珠の過去や事件の真相に関する伏線が次々と回収されていく。特に、真珠が未成年である可能性が浮上する展開は衝撃的で、それまでの物語を覆す驚きを与えてくれる。こうした緻密な構成は、読者を飽きさせない要因となっている。

繊細な心理描写と表情の演出

作者の乃木坂太郎氏の繊細な心理描写と表情の演出は、本作の大きな魅力の一つだ。特に真珠の表情の変化は見事で、読者の多くが「不気味かわいい」と評している。こうした細やかな描写が、キャラクターの内面をより深く理解させ、物語への没入感を高めている。

結論として、本作は複雑な心理戦と緻密な構成、社会問題への切り込みを巧みに織り交ぜた作品であり、サスペンスやミステリーファンはもちろん、人間の心理に興味を持つ読者にとって非常に魅力的な一作である。

映画「夏目アラタの結婚」について

ワーナー・ブラザース映画
映画『夏目アラタの結婚』オフィシャルサイト 9月6日(金)公開!国内外から絶賛のベストセラーコミックスが映画化!初めてプロポーズした相手は連続殺人事件の死刑囚だった―― natsume-movie.jp #夏目アラタの結婚

基本情報

  • 監督:堤幸彦
  • 脚本:徳永友一
  • 主演:柳楽優弥(夏目アラタ役)、黒島結菜(品川真珠役)
  • 公開日:2024年9月6日
  • 上映時間:120分
  • 配給:ワーナー・ブラザース映画

ストーリー

児童相談所職員の夏目アラタが、連続バラバラ殺人事件の犯人「品川ピエロ」こと品川真珠と接触。被害者の遺体の一部を探すため、アラタは真珠に獄中結婚を申し込む。面会を重ねるうちに、真珠の innocence や過去が明らかになっていく。

原作との主な違い

  • 面会室でのやり取りの緻密さが映画では簡略化されている
  • 原作に含まれるエロティックな描写が映画では排除されている
  • アラタが真珠に惚れる過程が映画ではやや唐突に感じられる

観客の感想

  • 予想外に重厚なテーマ性と展開に驚いた
  • 柳楽優弥と黒島結菜の演技力が高く評価されている
  • ラストに関しては賛否両論あり、感動した人と物足りなさを感じた人に分かれる
  • 原作ファンからは、尺の都合で削られた部分を惜しむ声も
  • サスペンスとラブストーリーの融合に成功しているという評価が多い

総評

原作の魅力を損なわずに映画化に成功した良作という評価が多数。主演二人の演技や、緊張感のある展開、社会性のあるテーマなどが高く評価されている。一方で、原作の緻密さや深みが十分に表現しきれていない部分もあるという意見も。全体としては、予想以上の出来栄えに満足した観客が多いようだ。

映画『夏目アラタの結婚』本予告 2024年9月6日(金)公開

感想・考察

ストーリー展開と構成

『夏目アラタの結婚』は、児童相談所職員の夏目アラタと連続殺人犯の品川真珠との奇妙な関係を軸に展開するサスペンス作品である。物語は、アラタが被害者の子どもの代わりに真珠と面会することから始まり、情報を引き出すために結婚を申し込むという衝撃的な展開を見せる。この予想外の展開から、読者を一気に引き込む構成力は見事というほかない。ストーリーは、アラタと真珠の駆け引きを中心に、過去の謎解きと現在の法廷劇が絡み合いながら進行し、次々と明かされる真相に目が離せなくなる。

キャラクターの魅力や成長

主人公のアラタと真珠は、非常に魅力的かつ複雑な人物として描かれている。アラタは、荒んだ家庭環境で育った経験から、虐待された子どもたちに強い共感を示す一方で、時に暴力的な一面も見せる。真珠は、一見すると幼く可愛らしい外見とは裏腹に、高い知性と狡猾さを持ち合わせた謎めいた人物として描かれる。二人の関係性の変化や、真珠の過去が明らかになっていく過程で、キャラクターの奥深さと成長が感じられ、読者を惹きつけて離さない。

テーマや作品が伝えようとしているメッセージ

本作は、「結婚」というテーマを通して、人間関係の複雑さや信頼の難しさを探求している。また、虐待や犯罪といった社会問題にも深く切り込んでおり、人間の善悪や正義の在り方について読者に問いかけている。真珠の過去や行動の背景には、社会や家庭の歪みが潜んでおり、単純に善悪を判断できない状況が描かれている。これらのテーマを通じて、作品は読者に深い思索を促している。

作画や演出の特徴

乃木坂太郎の作画は、キャラクターの微妙な表情の変化や心理描写を巧みに表現している。特に、真珠の多彩な表情や、アラタとの駆け引きの場面での緊張感のある演出は秀逸である。また、法廷シーンや過去の回想場面など、状況に応じて雰囲気を巧みに変化させる演出力も本作の魅力の一つである。

本作の優れている点は、予想を裏切る展開と深い心理描写にある。読者の期待を常に上回る展開は、物語に対する興味を持続させ、一気に読ませる力を持っている。また、キャラクターの内面描写の深さは、単なるサスペンス作品を超えた人間ドラマとしての側面も持たせている。

一方で、改善の余地がある点としては、時折複雑になりすぎる展開や、真珠の行動の動機づけがやや不明確な部分があることが挙げられる。しかし、これらの点も物語の謎として機能しており、必ずしも大きな欠点とは言えない。

この作品は、読者に強い感情を喚起させる力を持っている。真珠の狂気と魅力、アラタの葛藤、そして二人の関係性の変化は、恐怖や戸惑い、そして共感を呼び起こす。特に、真珠の過去が明らかになっていく過程では、彼女の行動の背景にある悲しみや苦しみに触れ、複雑な感情を抱かざるを得なくなる。

結論として、『夏目アラタの結婚』は、サスペンスとヒューマンドラマが絶妙に融合した傑作である。予想を裏切る展開、深い心理描写、そして社会性のあるテーマ設定により、単なるエンターテインメントを超えた作品となっている。本作は、心理サスペンスや社会派ドラマを好む読者はもちろん、人間の内面や社会問題に興味を持つ幅広い読者層にお勧めできる作品である。その独特な世界観と深い洞察は、読者に強い印象を残し、長く心に残る作品となるだろう。

夏目アラタの結婚
コミック・トライアル作成のイメージ画像

読者の声

最終話まで一直線

無料公開時に1巻のみを読んで気になってはいたが、全巻~23%還元+12冊購入でボーナス還元のタイミング(’24年9月上旬)に思い切って12巻全巻を一括購入。

無駄なエピソード、キャラクターは無く最終回まで一直線に展開するストーリーに引き込まれて一気読みしてしまった。ダラダラと巻数ばかり重ねる作品が多い中、中だるみも消化不良も無く12巻で気持ちよく完結する本作は貴重な存在である。

本作が実写映画化されていることを購入後に知ったが(というか映画公開に合わせての漫画セールだったのか)、この作品を実写でしかも2時間でまとめるのは至難の業と思われ、私は観ようという気には全くなれない。
Amazonより引用

また泣けた

乃木坂先生って、他にも親子関係を取り上げた作品を描いてらっしゃるけど(読んだのは、『幽霊塔』『第3のギデオン』)、どれも泣けるんだよね。
今回も、真珠と母親の環の話をどんどん掘り下げてほじくり返していくんだけどさ、母も娘もどっちも切ないよね。
で、今回いちばん刺さったのが、藤田さんの「子供って、いいなぁ…って!!」の場面。私も
子供がいないから、産まなかったことを今になって後悔している口でさ。共感してぐさっときました。
それに対するアラタの「戦士だよ」にも涙腺がゆるんだ。
親子をテーマにした作品は他にもいっぱいあるけど、ここまでエンタテインメント性が高くて、読む人の心に響くものを描ける乃木坂先生は天才としか思えない。
Amazonより引用

展開が読めない 想像を超えて来る‼️

設定がありえないところか、スタートして展開が読めない?
でも、読み始めたら止まらない!
奇想天外なのに、キャラクターの心理は分かる、最後まで期待してOKのストーリーでした‼️
Amazonより引用

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作者について

乃木坂 太郎

のぎざか たろう

概要
日本大学藝術学部映画学科卒業。1999年、「週刊少年サンデー超」に『HOOP STAR』を連載開始し、漫画家デビュー。2002年より、「ビッグコミックスペリオール」にて『医龍-Team Medical Dragon-』(原案:永井均)を連載開始。本格的な医療ドラマ作品で人気を博し、2005年には第50回「小学館漫画賞」一般向け部門を受賞。2006年にはテレビドラマ化もされた。そのほかの代表作に、黒岩涙香の『幽霊塔』を翻案したミステリー作品『幽麗塔』、革命期のフランスを舞台にした『第3のギデオン』などがある。

作者のSNSリンク

「夏目アラタの結婚」はどこで読める?総括

  • 連載状況:「夏目アラタの結婚」はビッグコミックスペリオールにて、2019年14号から2024年4号まで連載。12巻完結
  • 作者:乃木坂太郎。
  • コミックス情報:12巻完結。2024年3月時点で、単行本の紙と電子書籍を合わせた累計部数は230万部を突破している。
  • 受賞歴:「次にくるマンガ大賞2020」コミックス部門でU-NEXT特別賞を受賞。
  • 関連情報:2024年9月6日に実写映画化。
  • 作品の魅力:複雑な心理戦と謎めいた展開が特徴で、読者を引き込む巧みなストーリー構成が魅力。
  • キャラクター:主人公の夏目アラタと連続殺人鬼の品川真珠を中心に、深みのある人物描写が特徴的。
  • テーマ性:結婚、愛、正義、罪と罰などの重いテーマを扱いながら、人間の心理や社会の闇を探求している。
  • ジャンルの新規性:サスペンス、ミステリー、心理戦、恋愛要素を融合させた独特のジャンル。成人向けの重厚な内容が特徴。
  • 読者の感想:展開の予測不可能さや登場人物の心理描写の深さに魅了される意見が多い。一方で、過激な描写や複雑な展開に戸惑う声もある。
  • 今後の展望:完結した作品だが、その独特の世界観や人気から、スピンオフや関連作品の可能性も考えられる。実写映画の反響次第では、さらなるメディア展開も期待できる。が、劇場アニメ版の反響次第では関連作品の可能性もある
    • 心を動かされた、感動したという意見が多い
    • 漫画表現の新たな可能性を感じたという評価
    • 映画版も高評価
もくじ