「七夕の国」岩明均が紡ぐ、カササギと人間性の深遠なる物語

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岩明均が贈る衝撃作「七夕の国」。一見役立たずな超能力が引き起こす、不可思議な事件の数々。そして、その背後に潜む驚愕の真実とは…? 現代社会への鋭い洞察と人間の本性への深い考察が織り込まれた、唯一無二のSFミステリー作品をご紹介します。

もくじ

「七夕の国」はどこで読める?

「七夕の国」はビッグコミックスピリッツにて1996年第38号から1999年第6号にかけて不定期連載された。
1997年から1999年にかけてコミックス全4巻が刊行され、2003年に同社より上下2巻の「完全版」が刊行されている。
2024年7月4日より、Disney+にて実写ドラマが配信開始。

以下の方法で読むことができます

  • 電子書籍:KindleeBookJapanブックライブなどで配信中。
    多くの電子書籍ストアでは、無料で試し読みできます。
  • 紙の書籍:全国の書店で発売中。オンライン書店でも購入可能です。

4巻完結

七夕の国
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作品基本情報

タイトル:「七夕の国」

著者:岩明均

ジャンル:
SFミステリー
超常現象

ターゲット読者層:
複雑な物語展開や謎解きを好む読者
哲学的な問いや社会批評に関心のある読者
超能力や超常現象をテーマにした作品を楽しむ読者
岩明均の他作品(「寄生獣」など)のファン

登場人物

南丸 洋二(みなみまる ようじ)

南丸洋二(ナン丸)

南丸 洋二は、『七夕の国』の主人公で、大学4年生です。「新技能開拓研究会」というサークルの部長を務めています。彼は、手を触れずに物体に小さな穴を開けるという不思議な超能力を持っています。

南丸は、のんびりとした性格で楽天的ですが、根はしっかりとした考えを持つ常識人です。物語の序盤では、自身の能力を十分に活用できていませんでしたが、東丸高志から力の本当の使い方を教わり、その能力を飛躍的に向上させていきます。

彼は、丸神正美教授の失踪をきっかけに、「丸神の里」と呼ばれる謎の多い田舎町を訪れ、そこで自身の能力の真の姿や、里に伝わる奇妙な伝承の秘密に迫っていきます。南丸は、強力な能力を手に入れながらも、それに振り回されることなく、凡人であり続けることを選択します。これは、彼の強い意志と信念を示しています。

物語が進むにつれて、南丸は自身の能力の使い方や、その力が持つ意味について深く考えるようになります。彼は、力を悪用せず、人命救助など善意の目的にのみ使用することを決意します。この姿勢は、物語のテーマである「力の使い方」と「人間性の保持」を体現しています。

東丸 幸子(ひがしまる さちこ)

東丸幸子

東丸 幸子は、丸川町の喫茶店でアルバイトをしている女性です。彼女は「窓の外を見る能力」を持っていますが、「手が届く能力」は持っていません。

幸子は気丈な性格で、丸神の里のしきたりや超能力に対して否定的な態度を取っています。これは、幼少期に兄の高志から能力を使った虐待を受けた過去が影響しています。

物語の中で、幸子は南丸洋二に丸神の里の事情を教える重要な役割を果たします。彼女は、里の秘密を知る人物として、南丸たちの調査に協力しつつも、能力の使用には慎重な姿勢を示します。

幸子は、物語の終盤で丸神頼之の「新しい世界」に行こうとする誘いに一時的に惹かれますが、最終的には南丸に止められ、現世に留まることを選択します。この選択は、彼女の中にある里への複雑な感情と、新たな人間関係への希望を表しています。

丸神 正美(まるかみ まさみ)

丸神正美

丸神 正美は、南丸洋二が通う大学の歴史・民俗学の教授で、丸神ゼミの講師を務めています。彼もまた「窓の外に手が届き、見ることができる」能力の持ち主です。

正美は、自分の家系について調べるために丸川町を訪れますが、そこで失踪してしまいます。彼の失踪が、物語の重要な起点となっています。

能力の使用による変異が南丸よりも進んでおり、眼球の大きさや口元のサイズ、構造に明確な変化が見られます。これは、能力の過剰な使用がもたらす代償を示唆しています。

正美は、丸神の里の歴史や能力の起源について深い知識を持っており、物語の終盤で「カササギ」と呼ばれる存在と能力の関係について重要な推論を展開します。彼の研究と推論は、物語の謎を解き明かす鍵となっています。

丸神 頼之(まるかみ よりゆき)

丸神家の当主で、かつては里の神官を務めていました。しかし、4年前に突如失踪し、外部の勢力と手を組むという禁忌を犯して一連の騒動を引き起こした張本人です。

頼之は「窓の外に手が届き、見ることができる」数少ない能力者の一人で、特に「手が届く」能力に関しては代々の神官の中でもずば抜けた力を持っています。彼は航空機や船などを丸ごと消し去るほどの巨大な「窓」を作り出すことができます。

能力の過剰な使用により、頼之の外見は完全に人間離れしており、常にコートやマスクで全身を隠しています。しかし、彼自身はこの変化を受け入れており、周囲の人々も彼を特別視することはありません。

頼之の目的は、丸神の里に縛られずに自由になることでした。彼は「窓の外」を新しい世界への入り口と解釈し、そこへ行くことで積年の鬱屈した感情から解放されようとします。物語のクライマックスで、頼之は巨大な「窓」を作り出し、自ら消滅していきます。

頼之の行動と選択は、能力がもたらす力と責任、そして自由と束縛の狭間で苦悩する人間の姿を象徴しています。

東丸 高志(ひがしまる たかし)

幸子の兄で、「手が届く」能力の持ち主です。彼はお調子者で皮肉屋、短気で扱いにくい性格の持ち主です。

高志は、南丸洋二に「手が届く」能力の正しい使い方を教える重要な役割を果たします。彼の指導により、南丸は能力を飛躍的に向上させていきます。しかし、高志自身はモラルに欠け、かつては能力を使って妹の幸子を虐待していた過去があります。

物語の中で、高志は南丸の能力の成長を見守りつつ、時に彼を利用しようとする複雑な立場にあります。彼は超能力セミナーの片棒を担ぐなど、能力を私利私欲のために使用することも厭いません。

高志の存在は、能力の使い方によって善にも悪にもなり得ることを示しており、物語のテーマである力の使用と倫理の問題を浮き彫りにしています。彼の行動と選択は、南丸が正しい道を選ぶための対比として機能しています。

用語集

丸神の里

『七夕の国』の物語の主な舞台となる場所です。正式名称はA県丸川町で、「丸神の里」と呼ばれています。この里には、「窓の外を見る能力」と「手が届く能力」という2つの特殊な能力が代々伝わっています。里の人々は、これらの能力を持つ者を特別視し、神官として崇めています。丸神の里は、外部の権力に取り込まれないよう、1000年以上もの間中立を保ってきました。

窓の外を見る能力

丸神の里の多くの住民が持つ特殊な能力です。この能力を持つ者は、共通して「怖い夢」を見ます。夢の内容は口では上手く説明できないものの、夢の中に時々現れる「カササギ」を、この地(丸神の里)で待たずにはいられないと感じます。この能力は、里の人々を丸神の里に縛り付け、カササギが作った人工地形を守り続けさせる役割を果たしています。

手が届く能力

丸神の里の一部の人間だけが持つ特殊な能力です。この能力を使うと、「窓」と呼ばれる不可思議な模様の球体を作り出すことができます。この「窓」を物体に当てると、「窓」と同じ容積分の物質が消失します。能力の強さには個人差があり、作り出せる「窓」の大きさも人によって異なります。この能力を多用すると、使用者の身体に変異が現れ、人間離れした姿になっていきます。

カササギ

丸神の里の能力の起源に関わる謎の存在です。丸神正美教授は、カササギを里の住民に能力を与えた者の仮称としています。カササギの正体は不明ですが、宇宙人である可能性が示唆されています。「窓の外を見る能力」は、カササギへの忠誠心を人間に植え付けるためのものであり、「手が届く能力」はカササギに忠誠を誓った人間に与えられた武器だと推測されています。

七夕祭り

丸神の里で毎年行われる特殊な祭りです。通常の七夕とは異なり、毎年夏至をはさんだ7日間に行われます。祭りの期間中は、丸神山の山頂で神官が取り仕切る独自の儀式が行われ、部外者の立ち入りは禁止されます。この祭りは約1000年もの間、途切れることなく続けられてきました。七夕祭りの目的は、カササギの来訪を待ち続けることにあると考えられています。

あらすじ


南丸洋二の不思議な能力

大学4年生の南丸洋二は、手を触れずに物体に小さな穴を開ける不思議な能力を持っています。この能力は祖父から教わったものですが、南丸はその使い道がわからず、就職活動もせずに怠惰な学生生活を送っていました。彼は「新技能開拓研究会」というサークルの部長を務めていますが、その能力の実用性の低さから一部の後輩に馬鹿にされています。

丸神正美教授の失踪

ある日、南丸は同じ大学の民俗学教授・丸神正美から突然の呼び出しを受けます。しかし、南丸が研究室を訪ねると、丸神教授は不在でした。後に、丸神教授が自分の家系について探るため、「丸神の里」と呼ばれる場所を訪れた後に失踪したことが判明します。

丸川町での殺人事件

丸神教授の失踪と同じ頃、A県丸川町(かつての「丸神の里」)で奇妙な殺人事件が発生します。丸川町でカントリークラブの建設を企てていた男性が、何者かの特殊な力で殺されたというニュースが報道されます。この事件は、南丸の能力と何か関連があるのではないかと疑念を抱かせます。

丸神の里への旅立ち

丸神ゼミの講師・江見早百合らと交流を重ねるうち、南丸は丸神教授も自分と似たような能力を持っていることを知ります。さらに、丸神家と南丸家が東北地方のある豪族を共通の祖先に持つ可能性があることも判明します。南丸は自分の能力との関連を気にかけ、失踪した丸神教授の消息を探るため、丸神ゼミのメンバーと共に丸川町を訪れることにします。

東丸幸子との出会い

丸川町で南丸は、喫茶店でアルバイトをしている東丸幸子と出会います。幸子は南丸に「手が届く者」という言葉を告げ、丸神の里の不思議な力について語り始めます。幸子自身は「窓の外を見る能力」を持っていますが、「手が届く能力」は持っていません。彼女は丸神の里のしきたりや能力について否定的な態度を示し、南丸に深く関わらないよう忠告します。

東丸高志との出会いと能力の覚醒

幸子の兄である東丸高志も登場し、南丸に能力の本当の使い方を教えます。高志は「手が届く能力」の持ち主で、南丸に「窓」と呼ばれる不可思議な模様の球体を作り出す方法を指南します。南丸は自分の能力が「手が届く能力」と呼ばれるものだと知り、その力を飛躍的に向上させていきます。しかし、高志はモラルに欠け、能力を悪用する傾向があります。

丸神頼之の出現と事件の激化

丸神家当主の丸神頼之が登場します。頼之は4年前に失踪しており、「手が届く能力」を極めた人物です。彼は外部の勢力と手を組み、里の掟を破って様々な事件を引き起こしていました。頼之の出現により、物語は急展開を迎えます。彼は強大な力を持ち、車や飛行機、ビルなどを次々と消し去っていきます。頼之の目的は、里に縛られずに自由に生きることを証明することでした。

能力の真実と里の秘密

丸神教授の説明により、丸神の里には「カササギ」と呼ばれる異種族が現れ、その影響が里の人間全員に宿っていることが明らかになります。「手が届く者」は能力を使いすぎると、徐々にカササギに近づき、異形の存在になってしまうのです。この能力の正体は、カササギが人間に与えた「玄関」であり、新しい世界への入り口だったのです。丸神の里の人々は、1000年以上もの間、この力を守り、毎年夏至を挟んだ7日間に「七夕祭り」を行い、カササギの来訪を待ち続けていたのです。

南丸の葛藤と決断

南丸は、自分の能力の真の姿を知り、その力をどう扱うべきか葛藤します。彼は能力を使って人命救助をしたり、詐欺に利用されそうになったりと、様々な経験をします。しかし、最終的に南丸は「こんな物に人間が振り回されるべきではない」という考えに至ります。彼は力に振り回されることなく、凡人であり続けることを選択します。

頼之との対決と物語の結末

クライマックスで、南丸と丸神頼之が対決します。頼之は「窓の外」を死ではなく新しい世界への入り口と解釈し、自ら生み出した巨大な「窓」に飛び込もうとします。幸子も一時的に頼之についていこうとしますが、南丸に止められます。最終的に頼之は一人で「窓」に飛び込み、消滅します。

南丸は最後まで自分の信念を貫き、普通の生活を選択します。物語は、不思議な力の真相が明かされつつも、まだ多くの謎を残したまま幕を閉じます。南丸は能力を使わなくなったことで、一時的に現れていた額の変形も自然に消え、元の姿に戻ります。

実写ドラマ版について

岩明均の漫画「七夕の国」が、ディズニープラスにて実写ドラマ化されました。「寄生獣」で知られる岩明均の作品を、「ガンニバル」で実績のあるディズニープラスが手がけた本作は、原作の持つ不気味な超常ミステリーの雰囲気を実写で再現しようと試みています。

ディズニープラス
『七夕の国』公式サイト|ディズニープラス 『七夕の国』公式サイト。ディズニープラスで独占配信。岩明均によるSF漫画「七夕の国」を主演・細田佳央太、監督・瀧悠輔で実写ドラマ化。未曾有の危機をもたらす“球体”の...

キャスティング

主演の南丸洋二役を細田佳央太が、ヒロインの東丸幸子役を藤野涼子が演じています。特筆すべきは、人気俳優の山田孝之が重要な役どころである丸神頼之を演じていることです。

  • 南丸洋二役:細田佳央太
  • 東丸幸子役:藤野涼子
  • 東丸高志役:上杉柊平
  • 江見早百合役:木竜麻生
  • 亜紀役::鳴海唯
  • 多賀谷役:濱田龍臣
  • 桜木知子役:西畑澪花
  • 増元邦忠役:深水元基
  • 東丸隆三役:伊武雅刀
  • 丸神正美役:三上博史
  • 丸神頼之役:山田孝之

原作との比較、読者の反応

実写版は原作漫画に忠実な作りを心がけており、特に「手が届く能力の球体」や「カササギと化した丸神頼之」といった重要な要素を現代のCGを駆使して再現しています。一方で、原作にない新たなシーンの追加や一部キャラクターの改変があり、これらの変更点に対しては賛否両論があります。

序盤の謎めいた展開や、SFとミステリーを融合させた独特の世界観を評価する声がある一方で、後半の展開や結末に物足りなさを感じる意見も多く見られます。CGの質や俳優の演技に関しても評価が分かれており、特に若手俳優の演技力に疑問を呈する声も上がっています。

実写版まとめ

「七夕の国」の実写ドラマ化は、原作の持つ独特の世界観や謎めいた雰囲気を忠実に再現しようと試みた意欲作と言えます。しかし、原作漫画が持つ「すかされた感じ」や「意味が分からない」という要素も同時に引き継いでしまった感があり、視聴者を完全に満足させるには至っていないようです。それでも、岩明均作品特有のダークな雰囲気や、考察の余地を残す展開は、一定のファン層には支持されています。

見どころ

不思議な能力に目覚める主人公

『七夕の国』の主人公、南丸洋二の能力の成長過程がとても印象的です。最初は単に物体に小さな穴を開けるだけだった能力が、物語が進むにつれて「窓」と呼ばれる球体を作り出し、物体を消失させるまでに進化していきます。この能力の描写が本当に面白くて、私はページをめくるたびにワクワクしました。特に、南丸が初めて大きな「窓」を作り出すシーンは鳥肌が立つほど興奮しましたね。

丸神の里の謎めいた雰囲気

舞台となる丸神の里の設定が本当に魅力的です。1000年以上も外部の権力に取り込まれずに中立を保ってきた里の歴史や、毎年行われる特殊な七夕祭りなど、謎に満ちた雰囲気が物語全体を包み込んでいます。里の人々が共通して見る「怖い夢」の正体や、カササギと呼ばれる謎の存在など、読み進めるほどに深まる謎に引き込まれてしまいます。この独特の世界観が、SFとミステリーが絶妙に融合した物語を生み出しているんです。

能力者たちの葛藤

超能力を持つキャラクターたちの心理描写が秀逸です。特に、強大な力を持ちながらも普通の人間として生きることを選択する南丸の姿勢には、深く考えさせられました。一方で、能力に振り回され、最終的に「新しい世界」を目指す丸神頼之の行動からは、力の持つ危うさを感じずにはいられません。東丸幸子の、能力に対する複雑な感情も印象的でした。これらのキャラクターを通して、力の使い方や人間性の保持という重いテーマが、読者の心に静かに問いかけてくるんです。

岩明均ワールド全開の作画

『寄生獣』で知られる岩明均さんの独特な作画スタイルが、この作品でも存分に発揮されています。特に、能力を使用する際の描写や、能力の影響で変異していく人体の描写は、不気味さと美しさが同居していて目が離せません。また、日常的な場面と超常的な場面の落差が見事に表現されていて、現実と非現実の境界線が曖昧になっていく感覚を味わえます。岩明さんの繊細なタッチが、この不思議な物語世界をより深く、より魅力的なものにしているんです。

衝撃的なクライマックス

物語のクライマックスで、丸神頼之が巨大な「窓」を作り出し、自らその中に消えていくシーンは圧巻でした。そこに幸子もついていこうとする展開には、思わず息を呑んでしまいました。南丸が幸子を引き留めるシーンは、この物語のテーマが凝縮された瞬間だと感じます。力の使い方、人間性の保持、そして選択の重要性。これらのメッセージが、静かでありながら強く心に響いてくるんです。このクライマックスは、長い余韻を残し、読み終わった後も私の心に深く刻まれています。

『七夕の国』は、独特の世界観と魅力的なキャラクター、そして深いテーマ性を持つ作品です。岩明均さんの繊細な描写と、徐々に明かされていく謎の数々が、読者を物語の世界に引き込んでいきます。SFやミステリー好きはもちろん、人間ドラマを楽しみたい方にもおすすめの一冊です。

感想・考察

力の使い方と人間性

まず強く感じたのは「力の使い方」についての深い問いかけです。主人公の南丸洋二が、強大な能力を持ちながらも普通の人間として生きることを選択する姿に、とても心を打たれました。

この選択には重要な意味があると思います。なぜなら、力を持つことと、その力をどう使うかは全く別の問題だからです。南丸の選択は、力そのものよりも、その使い方こそが人間性を定義するという考えを示しています。

例えば、南丸が交通事故に遭った子どもを助けるために能力を使用するシーンがありました。この場面は、力を持つことの責任と、その正しい使い方を象徴していると感じました。

結局のところ、『七夕の国』は、私たちに「人間らしさとは何か」を問いかけているのではないでしょうか。力を持っていても、それを抑制し、他者のために使う選択こそが、真の強さなのかもしれません。

謎めいた世界観と現実との融合

「七夕の国」の世界観は、現実と非現実が絶妙に融合していて、本当に魅力的でした。丸神の里という古い伝統を持つ場所と、現代社会が交錯する様子が印象的です。

この設定が効果的なのは、非日常的な出来事を、より身近に感じさせてくれるからです。例えば、超能力を持つ人々が普通に暮らす里の描写は、不思議でありながらどこか親近感を覚えます。

特に印象的だったのは、毎年行われる特殊な七夕祭りのシーンです。現代の日本でも行われている伝統行事に、異世界的な要素が加わることで、現実と非現実の境界線が曖昧になっていく感覚がありました。

この独特の世界観は、私たちの日常にも不思議な出来事や謎が潜んでいるかもしれないという想像力を掻き立ててくれます。『七夕の国』は、現実世界の中に隠れた異質なものの存在を、巧みに描き出しているのです。

人間関係と絆の深さ

超能力をテーマにしながらも、その根底には人間関係や絆の深さについての考察があると感じました。特に印象的だったのは、南丸と東丸幸子の関係性です。

二人の関係は、単なるロマンスではなく、もっと深いものを感じさせます。なぜなら、彼らは能力を通じて互いの内面を理解し、支え合っているからです。幸子が自身の能力に対して抱く複雑な感情を、南丸が受け止める場面には心を打たれました。

また、丸神頼之と里の人々との関係も興味深いものでした。頼之が里を出ようとする際、人々が示す反応には、長年培われてきた絆の強さが表れています。

このような人間関係の描写を通じて、「七夕の国」は私たちに「つながり」の大切さを教えてくれているように思います。超能力という非現実的な要素を通して、むしろ人間関係の機微や絆の深さという、とてもリアルなテーマに迫っているのです。

打ち切り 理由

「七夕の国」が全4巻で終了した理由について、いくつかの要因が考えられます。

まず、作品の構成上、主要な謎や伏線が4巻で概ね解決されており、これ以上の展開が難しかった可能性があります。

連載当時の「ビッグコミックスピリッツ」の編集方針や、岩明均氏の他の作品(「ヒストリエ」など)との兼ね合いも影響した可能性があります。

しかし、多くの読者が「何度も読み返したくなる」「印象に残る」作品として評価していることから、4巻という比較的短い巻数でも作品としての完成度は高く、むしろコンパクトにまとまることで独特の魅力を放っているとも考えられます。

七夕の国
コミック・トライアル作成のイメージ画像

読者の声

私の知る限り、およそ名作とは世界にそれほど多くは存在しない。
稀代ともなれば尚更である。
本作品はただの傑作ではなく、名作。それも稀代の名作である。
私が批評するのは僭越ではあるが、カフカの言う所の「絶望の表現」を持って返させて欲しい。

「七夕の国」という作品は、初夏のとある村で起こる話である。
前半には様々な伏線が張り巡らされており、後半にはそのほとんどが回収される。
「ほとんど」というのは、この話の中の一番重要な「窓の外」の具体的な内容だけが言及が無い。
ただ、その「窓の外」の説明は無くとも作品としては違和感が無い上に、むしろその方が作品の完成度の高さには何も影響が無い。

岩明均氏の作品には一貫したテーマを感じ取られる。
それは、強固なプロットとリアリティと心情描写である。
民俗学、SF、ミステリーと多種多彩なエッセンスが散りばめられた、とてもしっかりしたプロットの上に話が成り立っている。
突飛もない設定にも関わらず、その因果関係をしっかりと練っており、リアリティを高めている。
各々のキャラクターの背景を作り込んでおり、心情描写が細かく現れている。

本作品の内容の詳しい言及は避けたい。
ネタバレを防ぎたい訳では無く、作品への冒涜を避けたいだけだ。
それほどにこの作品は素晴らしい。
民俗学、SF、ミステリー、岩明作品のどれか一つ好きなだけでもこの作品を読む動機としては十分である。
Amazonより引用

岩明氏の代表作「寄生獣」と比べると知名度は低いものの、完成度は劣らない名作だと思います。
「寄生獣」がバトル寄り、本作がミステリー寄りというのが大雑把な分類かもしれませんが、
謎が解消されるカタルシスは本作の方が強いと思うので、緻密な構成の作品が好きな方には特におススメです。
Amazonより引用

めちゃくちゃ面白い。
なぜだろう。スラムダンク ばりに
何回も読み返し、その度に面白い。
人間世界と「あちら」側の間にある
モヤモヤを上手く表現してあるのか
知らないけれど、

この漫画のバックにたたずむ雰囲気と
そこにある人々、
そして、本当にこんな村、
こんな国があるかのような
感じさえ漂う。
 
村に伝えてある
カササギの旗の物語
最後まで、毎回面白い。

上手く言えないけど、
漫画は、めったに読み返さないけど
この漫画は、
何回も読みたくなる
不思議な魅力がある

あなたも、
この不思議な魅力に
触れてみてはどうだろうか?
Amazonより引用

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作者について

岩明 均

(いわあき ひとし)

1960年7月28日東京都生まれ。
1985年、ちばてつや賞に入選した「ゴミの海」がモーニングオープン増刊(講談社)に掲載されデビュー。1993年、月刊アフタヌーン(講談社)にて「寄生獣」連載開始。異形の怪物が日常に潜む恐怖に、多くの読者が引き込まれヒット作になる。その後モーニング(講談社)、ヤングチャンピオン(秋田書店)、ヤングアニマル嵐(白泉社)などで連載を重ね、2003年再び月刊アフタヌーンにて「ヒストリエ」の連載を開始。「寄生獣」にて1993年第17回講談社漫画賞および1996年第27回星雲賞コミック部門を受賞している。

作者のSNSリンク

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「七夕の国」まとめ

  • 連載状況:ビッグコミックスピリッツにて1996年第38号から1999年第6号にかけて不定期連載された
  • 作者:岩明均
  • コミックス情報:1997年から1999年にかけてコミックス全4巻が刊行され、2003年に同社より上下2巻の「完全版」が刊行されている
  • 読むには:割引クーポンを使えば、eBookJapanでお得に読める
  • 関連情報:2024年7月4日より、Disney+にて実写ドラマが配信開始
  • 作品の魅力:緻密に張り巡らされた伏線とその見事な回収、日常と非日常が交錯する独特の世界観が特徴
  • キャラクター:主人公の南丸洋二(ナン丸)は物体に穴を開ける能力を持つ大学生。冷静で思慮深い性格
  • テーマ性:超能力という非現実的な要素を通じて、人間の本質や生き方への問いかけを行う
  • ジャンルの新規性:SF、ミステリー、民俗学など多様なジャンルの要素が融合した独創的な作品。複雑な物語展開や謎解きを好む読者、哲学的な問いや社会批評に関心のある読者に向いている
  • 読者の感想:何度読み返しても新たな発見があり、読む度に面白さが増す奥深さがあると評価されている
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