「チ。 地球の運動について」知の革命、魂の闘争
15世紀ヨーロッパを舞台に、地動説をめぐる人々の物語を描く歴史漫画。科学と信仰、知識と権力の対立を通じて、人間の知的探求心と社会の壁との闘いを描く。個性豊かなキャラクターたちの内面描写が秀逸で、現代にも通じる普遍的なテーマを探求する傑作。
「チ。 地球の運動について」はどこで読める?
「チ。 地球の運動について」はビッグコミックスピリッツで連載、コミックスは8巻完結。
以下の方法で読むことができます
- 電子書籍:Kindle、eBookJapan、ブックライブなどで配信中。
多くの電子書籍ストアでは、無料で試し読みできます。 - 紙の書籍:全国の書店で発売中。オンライン書店でも購入可能です。
8巻完結
作品基本情報
タイトル:「チ。 地球の運動について」
著者:魚豊
ジャンル:
歴史漫画
科学フィクション
哲学的ドラマ
教養漫画
ターゲット読者層:
歴史や科学に興味のある成人読者
思想や哲学的な物語を好む知的読者
社会問題や人間の本質に関心のある読者
複雑な物語構造を楽しめる熟練した漫画読者
教養を深めたい若年層から中高年層まで
主要キャラクター 相関図
ラファウ
物語の始まりを担う12歳の神童。大学に入学し神学を専攻する予定でしたが、フベルトとの出会いをきっかけに地動説の美しさに魅了され、自らの命を賭して研究を続けることを決意します。
オクジー
代闘士として働く大柄な男性。文字を読むことは苦手ですが、優れた視力を持っています。空を見ることを恐れており、現世では何も期待しておらず、早く天国に生きたいと願っているネガティブな性格の持ち主です。
バデーニ
右目に眼帯をした修道士。並外れた知識量と計算力を持つ傲慢な性格の持ち主で、純粋に「知」を追い求めたことにより眼を焼かれて田舎に左遷となりました。基本的に傲慢で、知識を他人と共有することに興味がありません。
ヨレンタ
天文学研究の助手として働く少女。優れた洞察力を持っていますが、女性であるという理由で研究の機会を制限されています。施設の中でも指折りの頭脳を持つにもかかわらず、性別を理由に満足に研究をさせてもらえず悲しい思いをしています。
あらすじ
15世紀のP王国を舞台に、C教が支配的な世界。地動説は異端とされ、研究者は拷問や処刑の対象となる。12歳の神童ラファウが大学に入学し、地動説の研究に巻き込まれていく。
ラファウと地動説との出会い
ラファウは異端者フベルトと出会い、地動説の美しさに魅了される。フベルトの処刑後、ラファウは極秘に研究を続けるが、義父ポトツキの密告により異端審問官ノヴァクに捕まる。裁判で地動説を信じると宣言したラファウは、翌日毒を飲んで自殺する。この出来事は、地動説の真理を追求する者たちの命がけの戦いの始まりとなる。
オクジーとバデーニの研究
ラファウの死から10年後、代闘士オクジーと修道士バデーニが地動説の研究を引き継ぐ。バデーニは惑星の楕円軌道を発見し、地動説を完成させる。しかし、ノヴァクに捕まり、二人は処刑される。バデーニは研究資料を60ページの手紙に凝縮し、後世に残すことに成功する。この出来事は、知識の伝承の重要性を示し、物語の中心テーマを強調する。
ヨレンタと異端解放戦線の結成
オクジーとバデーニの死から25年後、ヨレンタ(ノヵァクの娘)が異端解放戦線を組織し、地動説を広めようとする。ヨレンタは活版印刷技術を使って「地球の運動について」を出版しようとするが、ノヴァクに阻止される。ヨレンタは自爆して逃げるが、ノヴァクは彼女が自分の娘だと気づく。この出来事は、世代を超えた知識の継承と、信念と血縁の葛藤を描く。
ドゥラカの加入と地動説の伝播
移動民族の少女ドゥラカが、オクジーの本の写本を発見し、異端解放戦線に加わる。ドゥラカは地動説の重要性を理解し、その普及に尽力する。この出来事は、地動説の思想が社会の様々な層に浸透していく過程を示す。
ノヴァクの葛藤と最後の選択
長年異端審問官として地動説を弾圧してきたノヴァクが、自身の行為の意味を問い直す。娘ヨレンタの死を知り、深い葛藤に陥る。最終的に、ノヴァクは地動説の真実を認め、その普及を阻止しないことを選択する。この出来事は、物語の主要な対立の解決と、人間の成長の可能性を示す。
物語の結末
物語は、コペルニクスの師匠アルベルト・ブルゼフスキの時代まで続く。地動説は徐々に受け入れられ始め、科学的真理の追求が社会に浸透していく。多くの命と時間をかけて築かれた知識が、次世代に引き継がれていく様子が描かれる。物語全体を通じて、真理の追求、知識の伝承、そして信念と疑問の均衡の重要性が強調される。
見どころ
歴史を超えた知の継承
本作の最大の魅力は、地動説という一つの真理を巡って、時代を超えて命を懸ける人々の姿を描いていることだ。ラファウから始まり、オクジー、バデーニ、ヨレンタへと受け継がれていく知識の連鎖は、人類の知的探求の壮大さを感じさせる。読者の一人は「人間の知の営みはこれに尽きる」と評しており、私もその感動を共有する。
人物描写の深さ
各時代の主人公たちの心理描写が非常に丁寧で、読者を物語に引き込む力がある。特に印象的なのは、異端審問官ノヴァクの人物像だ。当初は冷酷な弾圧者として描かれるが、娘ヨレンタとの関係を通じて、彼の内面の葛藤が徐々に明らかになっていく。この複雑な人物像は、善悪の二元論を超えた人間の奥深さを表現している。
テーマの普遍性
地動説を巡る争いは、単なる歴史上の出来事ではなく、現代にも通じる普遍的なテーマを内包している。「迷いの中に倫理がある」という言葉に象徴されるように、絶対的な信念を持つことの危険性と、常に疑問を持ち続けることの重要性が説かれている。これは科学と宗教の対立だけでなく、現代社会における様々な価値観の衝突にも通じる問題提起だ。
文字と知識の力
本作では「文字は奇跡」という言葉が繰り返し登場する。これは単なる識字能力の賛美ではなく、知識を記録し、伝承することの重要性を強調している。バデーニが研究成果を60ページの手紙に凝縮したエピソードは、その象徴的な場面だ。この視点は、現代のデジタル社会においても、情報の保存と伝達の意義を問いかけている。
作画の力強さ
多くの読者が指摘しているように、本作の作画は非常に印象的だ。特に登場人物の表情や、夜空を見上げるシーンなどは、言葉以上に雄弁に登場人物の内面を表現している。また、タイトルの出し方が映画的で、読者を物語の世界に引き込む効果がある。
結論として、『チ。-地球の運動について-』は、歴史的な題材を通じて普遍的な人間の姿を描き出し、読者に深い思索を促す作品である。知的好奇心を刺激するストーリーと、心を揺さぶる人間ドラマが見事に調和した本作は、間違いなく読む価値がある。
「チ。 地球の運動について」アニメ化情報
2022年にマッドハウス制作によるアニメ化が発表されていた漫画「チ。―地球の運動について―」が、テレビアニメとして10月からNHK総合テレビでスタートすることが分かった(毎週土曜午後11時45分から放送予定)。主要キャストとあわせて、ティザービジュアルとPVも公開されている。
感想・考察
『チ。-地球の運動について-』は、魚豊が描く壮大な歴史ドラマであり、知識の追求と伝承をテーマにした作品である。
ストーリー展開と構成において、本作は非常に独特な手法を採用している。時代とともに主人公が入れ替わり、地動説という一つの真理を巡る人々の物語が世代を超えて描かれる。この構造は、知識の継承という主題を効果的に表現しており、読者を飽きさせない工夫となっている。また、各時代の社会背景や価値観の変化も丁寧に描かれており、歴史の流れを感じさせる。
キャラクターの魅力や成長も本作の大きな見どころである。特に印象的なのは、異端審問官ノヴァクの人物像だ。当初は冷酷な弾圧者として描かれるが、娘ヨレンタとの関係を通じて、彼の内面の葛藤が徐々に明らかになっていく。この複雑な人物描写は、善悪の二元論を超えた人間の奥深さを表現しており、読者に深い思索を促す。
本作のテーマは、知識の追求と伝承の重要性、そして信念と疑問の均衡である。「迷いの中に倫理がある」という言葉に象徴されるように、絶対的な信念を持つことの危険性と、常に疑問を持ち続けることの重要性が説かれている。これは科学と宗教の対立だけでなく、現代社会における様々な価値観の衝突にも通じる問題提起であり、読者に深い考察を促す。
作画や演出の特徴も本作の魅力の一つである。多くの読者が指摘しているように、登場人物の表情や、夜空を見上げるシーンなどは、言葉以上に雄弁に登場人物の内面を表現している。また、タイトルの出し方が映画的で、読者を物語の世界に引き込む効果がある。
本作の優れている点は、歴史的な題材を通じて普遍的な人間の姿を描き出し、読者に深い思索を促すことにある。一方で、時代や登場人物が頻繁に変わるため、物語の流れを追うのが難しいと感じる読者もいるかもしれない。これは改善の余地がある点かもしれない。
個人的に、この作品は知識の力と、それを追求し伝承することの尊さを強く感じさせた。特に「文字は奇跡」という言葉には深く共感し、知識を記録し伝えることの重要性を改めて認識させられた。
現代社会との関連性で言えば、本作は科学技術の進歩と倫理の問題、情報の自由と規制の問題など、現代にも通じるテーマを多く含んでいる。例えば、「プラネテス」や「オッペンハイマー」のような作品と同様に、科学技術の進歩に向かう人間の狂気性を描いているという指摘もある。
結論として、『チ。-地球の運動について-』は、歴史的な題材を通じて普遍的な人間の姿を描き出し、読者に深い思索を促す傑作である。知的好奇心を持つ読者、歴史や科学に興味がある読者、そして人間の本質について考えたい読者に強くお勧めできる作品だ。
読者の声
この物語はPKディックの高い城の男やWギブスンのディファレントエンジン、或いはWCフラナガン(小林信彦)のちはやぶる奥の細道の様な平行世界SFです。
しかし、著者が余りにも丹念に資料を集め物語の基盤を創り上げてしまったが為に、史実を基に描かれていると勘違いしてしまった方が多数発生したのではないかと。★のレビューがほとんど八つ当たりな内容で埋め尽くされているのはそのせいではないかと愚考します。
で、内容ですが、間違いなく面白いです。一気に読んでしまい本当に200ページ近くあるのが信じられないほどでした。
Amazonより引用
「哲学というか、真理? が強いのは、
知りたいという本能が求めるからです。
具体的にいうとこのマンガのとおりです」
と子らに説明しました。現代を生きる我々はもっと自由な感じで研究熱心でいいんじゃないかと 固くなった頭を殴られた気もしました。
学校では習えない歴史の暗部 という毒々しさがいい感じに中高生らに刺さると思います。
また、フィクションとはいうものの、人の有り様という点では 真実との乖離度はそう大きくないと感じました。
万人受けはしないと思いますが、こういうマンガが売れる国の未来は 暗くない そう思える内容です。
まずは大人の皆様 ぜひ一読を。
Amazonより引用
久しぶりにマンガを読んでいます。タイトルは「チ。」。地球の「チ」、知識の「チ」、血の「チ」……を表すそうです。副題は「地球の運動について」。副題から想像できるように、プトレマイオスの宇宙論(天動説)がコペルニクスの宇宙論(地動説)にとってかわられる道筋を描いたものです。名もなき人々が生死をかけて地動説を伝え広めてゆく物語です。伝えてゆく人々の中には女性も登場します。その点では、科学史における昨今のフェミニズムも取り入れられています。
何故このマンガに興味を持ったかというと、中岡哲郎という人に科学史を習ったことがあったからです。中岡は当時、筑摩書房の「展望」に、確か、「物の見えてくる過程」という連載をしていて、その中に、プトレマイオスの宇宙論とコペルニクス・ガリレオ・ケプラーの宇宙論はほぼ同値であるということも書かれていました。つまりたとえば惑星の位置について普通に生活している庶民とってはどちらも同じというわけです。
拷問や処刑など残酷な場面も描かれていますが、そのような苦難にもかかわらず、地動説はそれを“信じる”人々によって伝えられていきます。「科学的な真理を信ずる」というあたり、とても面白いテーマをはらんでいます。
また、次回予告がとてもいい。この趣向、嫌いじゃないです。
6巻を読み終り、あと2巻。二つの宇宙論が同値であるので庶民の生活には響かないという大団円のオチになったら困るけれど、どうなるのかワクワクしています。
(追伸)7巻、最終巻の8巻を読み終って。あーこんなふうにこの物語は終るのか。考えてもみない終り方をするんだな… 最後に、私はいい加減な読み手なのでわからないのかもしれませんが、ひとつ疑問に思っているのは、伝書鳩が届ける手紙って、誰宛の、どんな手紙なんでしょうか。
Amazonより引用
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作者について
魚豊
(うおと、1997年5月29日 – )
日本の漫画家。東京都出身。
幼少期から絵を描くことが好きで、漠然と漫画家になりたいと思っていた。中学1年生の時にアニメ『バクマン。』を偶然見て、漫画家になるまでの流れを知り、作品の投稿を始める。
2017年に週刊少年マガジン新人漫画賞で入選した読み切り作品「佳作」が『別冊少年マガジン』(講談社)に掲載され、デビュー。2018年上半期ごろには『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』のアシスタントも務めた。
他作品:ひゃくえむ。、ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ
作者のSNSリンク
「チ。 地球の運動について」はどこで読める?総括
- 連載状況:「チ。 地球の運動について」はビッグコミックスピリッツで連載していた
- 作者:魚豊
- コミックス情報:現在8巻まで発売、完結している
- 読むには:eBookJapan、ブックライブ、hontoなどの電子書籍ストアでお得に読める
- 作品の魅力:
15世紀ヨーロッパを舞台に、地動説をめぐる人々の物語を描く歴史漫画
科学と信仰、知識と権力の対立を通じて、人間の知的探求心と社会の壁との闘いを描く
個性豊かなキャラクターたちの内面描写が秀逸
現代にも通じる普遍的なテーマを探求する - キャラクター:
ラファウ:12歳の神童、地動説の美しさに魅了される
オクジー:代闘士として働く大柄な男性、優れた視力を持つ
バデーニ:右目に眼帯をした修道士、並外れた知識量と計算力を持つ
ヨレンタ:天文学研究の助手として働く少女、優れた洞察力を持つ - テーマ性:
知への探求心と既存の価値観への挑戦
科学と信仰の対立
個人の信念と社会の慣習の衝突 - ジャンルの新規性:
歴史漫画と科学フィクション、哲学的ドラマの要素を融合
歴史や科学に興味のある成人読者、思想や哲学的な物語を好む知的読者に向いている - 読者の感想:
歴史漫画の新たな地平を切り開いた傑作という評価が多い
緻密な人間ドラマと科学史の融合が高く評価されている
読了後に深い余韻を残す作品という意見が多い - 今後の展望:
アニメ化が決定しており、2024年10月からNHK総合テレビで放送予定
アニメ化により、さらに多くの読者を獲得する可能性がある