「ぼくらの」死と向き合う子供たちの壮絶なSF人間ドラマ

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「ぼくらの」は、巨大ロボット「ジアース」を操縦する15人の子供たちの物語。操縦が即ち死を意味する過酷な設定の中で、生と死、犠牲と救済、個人と社会の関係を探求する。SF要素を通じて人間性の深淵に迫る、哲学的で重厚な青年向け作品。

もくじ

「ぼくらの」はどこで読める?

「ぼくらの」は月刊IKKI(小学館)において2004年1月号から2009年8月号まで連載。
11巻完結。2007年にテレビアニメ化された。

以下の方法で読むことができます

  • 電子書籍:eBookJapanブックライブhontoなどで配信中。
    多くの電子書籍ストアでは、無料で試し読みできます。
  • 紙の書籍:全国の書店で発売中。オンライン書店でも購入可能です。

11巻完結

作品基本情報

タイトル:「ぼくらの」

漫画:鬼頭 莫宏

「ぼくらの」は、自然学校に参加した15人の子供たちが、巨大ロボット「ジアース」のパイロットとして地球を守る戦いに巻き込まれる物語です。しかし、ジアースの動力源はパイロットの命であり、操縦するたびに命を落とすという過酷な運命が待ち受けています。

ジャンル:
SFロボット漫画⁠
人間ドラマ⁠​
哲学的・思想的作品

対象読者層:
青年層(高校生以上)
深い人間ドラマや哲学的テーマを好む読者
生と死、人間性について考えることに興味がある人
過激な描写や重いテーマに耐えられる成熟した読者

主要キャラクター

ココペリ
洞窟に住む謎の男で、子供たちをジアースの戦いに誘い込みます。細身の体型で伊達眼鏡をかけています。実は平行世界の人間で、以前にジアースを使って戦っていた契約者の一人です。

コエムシ
拳大ほどの小さな体を持つ生物で、子供たちにジアースの戦闘方法を教えます。可愛らしい外見とは裏腹に、口が悪く残忍な性格をしています。

和久 隆(わく たかし)
サッカー好きの明るい性格の男子中学生で、子供たちのムードメーカーです。最初のジアースパイロットとなります。

矢村 大一(やむら だいいち)
屈強な体を持つ男子中学生で、貧しい家庭環境のため弟妹を養うためにアルバイトをしています。

小高 勝(こだか まさる)
建設業社長の息子で、冷静な性格ですが時に常軌を逸した行動を取ります。ジアース操縦時に一般人を踏み潰すなど、残虐な一面も見せます。

半井 摩子(なからい まこ)
ポニーテールが特徴の生真面目な女子中学生です。模範的であろうとする態度が時に反感を買うこともあります。

加古 功(かこ いさお)
学校でいじめを受けている男子中学生で、足が速いことからパシリにされています。本田千鶴に恋心を抱いています。

本田 千鶴(ほんだ ちづる)
左目の下に泣きボクロがある華奢な女子中学生です。明るい性格ですが、過去に教師との性的関係や性的暴行を受けた経験があります。

町 洋子(まち ようこ)
そばかすが特徴の中学1年生で、実はココペリと同じ平行世界の人間です。契約者を探す役割を担っており、コエムシの妹でもあります。

あらすじ

自然学校に参加した15人の子供たちは、ココペリという謎の人物からジアースというロボットによるゲームに誘われます。しかし、それは地球を守るための過酷な戦いの始まりでした。ジアースの動力源がパイロットの命であることを知った子供たちは、死と向き合いながら戦いを続けていきます。

物語が進むにつれ、敵が平行世界の地球人であることが明らかになります。子供たちは自分たちの命と引き換えに地球を守る使命を背負い、それぞれが葛藤しながら戦いに身を投じていきます。

戦いの中で、子供たちは成長し、命の尊さや家族の絆、友情の大切さを学んでいきます。同時に、彼らの犠牲的な戦いが必ずしも全ての人々から感謝されるわけではないという現実にも直面します。

最後まで生き残った子供たちは、全ての真実を知り、最終的な選択を迫られることになります。この物語は、避けられない死に直面した子供たちの姿を通じて、生きることの意味や人間の本質を深く問いかける作品となっています。

「ぼくらの」アニメ化について

ぼくらのの原作とアニメの違いは何ですか?

『ぼくらの』は地球を守るために戦う15人の子供たちが活躍し、さまざまな敵も登場します。 そんな『ぼくらの』の原作とアニメの違いを端的に説明すると、15人の子どもたち全員が死ぬのが原作、ひとりだけ生き残るというのがアニメです。

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2023年2月、本作にもとづいてNetflixオリジナルアニメシリーズが製作され、同年に公開されることが発表された。同年10月26日より配信開始。

【ゆっくり解説】「ぼくらの」原作とアニメ版の違い

見どころ

「ぼくらの」の最大の見どころは、避けられない死に直面した子供たちの姿を通じて、生きることの意味や人間の本質を深く問いかける点にある⁠。この作品は、一見するとSFロボットものに見えるが、実際には人間ドラマとしての側面が非常に強い。

特筆すべきは、主人公たちが直面する状況の過酷さだ。ジアースの操縦が即ち死を意味するという設定は、読者に強烈な衝撃を与える⁠⁠。この極限状態で、各キャラクターがどのように反応し、成長していくかが物語の核心となる。

また、キャラクターの多様性も本作の魅力の一つである。サッカー好きの明るい和久⁠、貧困家庭出身の矢村⁠⁠、複雑な過去を持つ本田⁠⁠など、それぞれが固有の背景と個性を持っている。これにより、死に直面した際の反応や葛藤が多角的に描かれ、読者に深い共感を呼び起こす。

さらに、本作は単なるヒロイック・ファンタジーではない。子供たちの犠牲的な戦いが必ずしも全ての人々から感謝されないという現実的な描写は⁠、ヒーロー物語の常套句を覆し、より深い社会批評性を帯びている。

最後に、平行世界の存在や、ココペリやマチの正体など⁠⁠、徐々に明かされていく真実が読者の興味を引き付け続ける。これらの要素が絡み合い、単なるロボットアクションを超えた、深遠な人間ドラマを形成しているのである。

感想・考察

「ぼくらの」は、SF要素を巧みに用いながら人間性の深淵を探る野心的な作品である。本作の評価すべき点は、その大胆な設定と、それを通じて描き出す人間ドラマの奥深さにある。

まず、ジアースの操縦が即ち死を意味するという設定は、読者に強烈な衝撃を与えると同時に、生命の尊さを改めて考えさせる⁠。この極限状況下での人間の反応を丹念に描くことで、作者は人間の本質に迫ろうとしている。これは、単なるエンターテインメントを超えた、哲学的な問いを投げかける作品であると言える。

キャラクターの描写も秀逸だ。和久、矢村、本田など、それぞれが固有の背景と個性を持つキャラクターたちの葛藤は、読者の共感を誘う⁠⁠。特に、過去にトラウマを抱えるキャラクターたちが、死と向き合う中で成長していく様は、人間の強さと脆さを同時に描き出している。

しかし、本作には批判すべき点もある。極端な設定や残酷な描写は、一部の読者にとっては受け入れがたいものかもしれない。また、複雑な展開と多数のキャラクターは、時として物語の焦点をぼやけさせる危険性もある。

それでも、「ぼくらの」が投げかける問いの重さは無視できない。生と死、犠牲と救済、個人と社会の関係など、本作が提示するテーマは普遍的かつ重要なものばかりだ。これらのテーマを、SF的な設定を通じて探求する本作のアプローチは、漫画表現の可能性を広げるものとして高く評価できる。

総じて、「ぼくらの」は読者に深い思索を促す野心的な作品であり、その芸術的価値は高いと言えるだろう。ただし、その重厚なテーマと時に過激な描写ゆえに、万人向けではない点には注意が必要である。

ぼくらの
コミック・トライアル作成のイメージ画像

読者の声

これぞトゥルーエンド

これも鬼頭先生自身が「病んでた」と語る時期に描かれた作品
でもなるたると違って主人公、家族などの関係者、仲間達やサポートする大人たちの心情や背景が丁寧に描かれていて、どこか救いもあります
本当に胸糞だったのは例の先生くらいかな
ハッピーエンドとは程遠いですが一人一人にちゃんとしたトゥルーエンドがあり、一人一人の死を無駄にしてない
なるたるのレビューで「命の軽さ、呆気なさを描いてる」と書いたのですが、こっちはその対になってるというか
「代替がきく」という部分は同じでもなるたるが個を諦めたような結末であるのに対し、ぼくらのは個を諦めてないというか
なるたると同じように雑にまとめて人類が殺されるシーンがあって、馬鹿にしたように命を呆気なく描かれてもぼくらのの登場人物たちは「だからなんだ、俺たち私たちは自分が満足できるようにやるだけだ」という何くそ根性を見せてくれてるようなんですよね
読んだあとなんとも言えない寂しさで胸がいっぱいになります
決して鬱漫画だからじゃなく
これを鬱漫画として敬遠してはもったいない
Amazonより引用

 死を意識することで世界が違って見える

少年少女ごとに主人公が変わるスタイルなので
その人物のレビューにします。
なので、全編を通じての縦軸となるネタバレはしてません。

9人目:切江洋介編
大人しくて鈍くさく思われている少年
生きることに確信を持てず、同級生にもいじめられる

こうった、物語の主人公になりにくいキャラクターで
単なる気弱にしか思えない少年が、実は深い悩みを抱え
考えながら行動していっている姿はとてもおもしろかった。

10人目:古茂田孝美編
海軍の高い地位を持つ軍人である父を持つ少女

彼女が、死を意識しそれを受け入れた時
世界が違って見え、愛おしい世界に感じる

このくだりは映画『アメリカン・ビューティ』の
風に舞うビニール袋を思い起こさせるくらい印象的で心に残った。
Amazonより引用

重いテーマを背負いつつ爽やかな読後感。コエムシについて。

↓長いです・・・すみません。。。しかも少しネタばれ気味かもです・・・。 

今更ながら、全巻読みました。
この最終巻はウシロのエピソードが主です。
敵のパイロットがとった行動については、彼の姿を見れば想像に難くなく・・・。
他者を排除することの罪深さ。残酷さ。生きるものの責任や意味、生と死を考える象徴的な戦いとして
ウシロ戦は全編を代表するにふさわしく、読みごたえがありました。

けれど、わたしはそのあとの最終話が、実は一番好きです。
この短い一章がなかったとしたら、子供たちを偲びながらも、テーマの重さと喪失感の波に見舞われつつ、読了したことでしょう。
ですが、最後のコエムシのエピソード。これがあったために読者としては、気持ちが大変救われました。

マチの件は自分の責任・・・つらい後悔の果てにコエムシも成長します。彼もまた命のはかなさを最も近いところで体感しました。
「傍にいるうちにもっと喜ぶことをしてあげたかった」という辛くもやさしい、今はもういない人への思いやりの心。
これは、近しい人・大切な人がいなくなって、はじめて身にしみる想いです。コエムシもおそらく感じたに違いありません。
彼は最愛の妹が感じていた罪の意識も自らが引き受けることを選び、
ウシロをはじめとする他者に対して、素直なやさしさを持って努めるようになります。

けれども、彼がそれまでマチ以外の他者に対して、本当に残酷で無関心な性格であったかというと、
決してそうではなかったことが、前巻のウシロと同様に、最終巻にしてささやかに、しかし随所で伝えられています。
過去の自分たちの戦い。「コエムシ」に対する認識の程度。彼の素顔など・・・
思えば前巻でも他者を恨むことはしなかった彼に、理知と潔さを感じたものでした。
どうしようもなく持て余す心を暴力で解消しようとするウシロ。憎まれ口でそれを隠そうとするコエムシ。
ウシロが「ぼくら」を代表する存在なら、コエムシもまた影の主役であったように思います。

彼は、誰もが口をつぐみたい真実を伝えることで、死のバトンを渡す責任を果たします。
それは人として素直に「かっこいい」と思える姿でした。
その時の彼の言葉と表情には、どこかはかなさと無常感が伴い、読者としては切なくなる瞬間もありましたが、
同時に覚悟を決めた潔さにも満ち、同じ言葉を発した登場時とは印象がまったく異なっています。

かつてササミ氏がつぶやいた言葉を受けて「ココペリ」が照れながら発する最後の言葉と、最後の章のタイトル。
それはこの物語の重いテーマをも突き破り、未来に向けて命を継いでゆくことへの希望を感じさせるものでした。
爽快感をもって物語は終了します。

読み終えた後は、全編を通して、コエムシの言葉と行動、表情ともつかない表情を、
もう一度「ぼくらの」仲間として、追ってみたい気になりました。
このような爽やかな結末が、最後にやって来るとはうれしい驚きで、
作者さまには、僭越ではありますが感謝と拍手をさしあげたい気持ちでございます・・・。

余談・・というか、ほとんど蛇足ですが、アニメではコエムシの設定が激しく違うようですね。
動く「ぼくらの」を観たい気持ちはありますが、
わたしにとっては、まったく違う話になっていそうで、なかなか観ることができません。
一ファンからの声としては、再度、原作同様の結末で創作し直してほしいなぁ・・。そうしたらぜひ観てみたいですね。
Amazonより引用

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作者について

鬼頭 莫宏

きとう もひろ

日本の漫画家。男性。愛知県出身。
名古屋工業大学在学中の1987年、『残暑』が小学館新人コミック大賞に入選。同作が「週刊少年サンデー」に掲載され、漫画家デビュー。大学卒業後は、サラリーマンやきくち正太のアシスタントなどを経験。1995年、『ヴァンデミエールの右手』でアフタヌーン四季賞・秋のコンテストで準入選を受賞。同作が「アフタヌーン」にて『ヴァンデミエールの翼』のタイトルで不定期連載化され、連載デビューする。1998年より、「アフタヌーン」で本格連載を開始した『なるたる』で人気を博し、2003年にはテレビアニメ化もされた。2011年、『ぼくらの』で第14回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。その他の代表作に『終わりと始まりのマイルス』『なにかもちがってますか』『のりりん』などがある。

作者のSNSリンク

「ぼくらの」はどこで読める?総括

  • 連載状況:月刊IKKI(小学館)で2004年1月号から2009年8月号まで連載。
  • 作者:鬼頭莫宏(きとう もひろ)
  • コミックス情報:全11巻で完結
  • 受賞歴:第14回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。
  • 関連情報:2007年にテレビアニメ化。原作では全員が死亡するが、アニメでは1人が生き残るという違いがある。
  • 読むには:eBookJapan、ブックライブ、hontoなどの電子書籍ストアで配信中。多くのストアで試し読みも可能。
  • 作品の魅力:巨大ロボットを操縦する代償として命を失う子供たちの過酷な戦いを描き、生と死、犠牲と救済といった深いテーマに挑む哲学的SF作品。SFロボットものとしての魅力と、深い人間ドラマが融合している。
  • キャラクター:15人の子供たちはそれぞれ個性豊かなバックグラウンドを持ち、死に直面しながらも成長し、葛藤する姿が描かれている。特に、サッカー好きの和久や、トラウマを抱える本田など、キャラクターの内面描写が秀逸。
  • テーマ性:物語を通して、生きる意味や命の尊さ、個人と社会の関係を深く問いかける。命を犠牲にして戦うという極端な設定が、現実社会へのメタファーとして機能している。
  • ジャンルの新規性:SFロボット漫画でありながら、単なるアクションではなく、哲学的要素や人間ドラマに重きを置いており、青年層や成熟した読者に向いている作品。
  • 読者の感想:重いテーマにもかかわらず、読後に爽やかな余韻を残すとの評価が多い。過酷な設定や残酷な描写に対して、命の尊さやキャラクターの成長を感じるという声が強い一方、描写の過激さに対しては賛否もある。
  • 今後の展望:既に完結しているため、続編の可能性は低いが、アニメ再制作を望む声もある。
もくじ